炎の中で死んだ父が自分の中で覚醒――落合陽介ギフレさん、フタをし続けた亡き家族の存在が「かけがえのないものに」
マイナビニュース / 2024年12月1日 6時0分
●心を病んで孤独死した母、20歳で命を絶った弟
フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)で11月17日・24日・12月1日の3週にわたり放送される『炎の中で死んだ父を僕は知らない』。自分の人生を翻ろうし続けた画家の父・落合皎児(こうじ)さんの足跡をたどる“旅”を半年にわたり繰り広げたのが、テレビディレクターの落合陽介ギフレさん(44)だ。
この活動で父や彼の絵への思いにどんな変化があったのか。そして自分自身、何を得ることができたのか。予想外だったという同じような境遇の人たちからの反響なども含め、話を聞いた――。
○常に考えていた「放棄」の選択肢
今年4月、画家・落合皎児さんが火事で亡くなった。長野の実家に駆けつけた息子の陽介ギフレさんに遺されたのは、父が描いた1,000点もの絵と約1,500万円の借金。かつて、ピカソやミロといった巨匠と並ぶ「スペインの現代作家150人」に選出された父だが、もし絵画を相続するなら、父の借金も全額相続することになる。父の絵を守る方法を探して、陽介ギフレさんは生前の父を知る人々を訪ね回る旅に出た。
幼い頃から両親は不仲で、中学校から実家を出た陽介ギフレさんは、父のことをよく知らない。その後、母は心を病み孤独死、弟は20歳で命を絶った。なぜ父は家族をバラバラにしてしまったのか。いつしか息子の旅は、その答えを探す旅へと変わっていた……。
この半年を「親父と絵のことを知る中で、自分自身の心がどこまで腑に落ちるところまで持っていけるかの旅だった」と振り返る陽介ギフレさん。「やれるだけのことをやって、ダメだったら諦めるつもりでずっといました」と、父の遺した借金と絵を放棄するという選択肢も常に抱えていたことを打ち明ける。
○父の親友が自分の親友に
今回の旅を通して、2つの“つながり”を得ることができたという。一つが、今は亡き自身の家族だ。
これまでは、ふとした瞬間に家族について聞かれても、「楽しい飲みの場で話すことではないし、話しにくい話題だった」というが、「そうやって何十年もフタをし続けていたものを今回全部開けて、それをカメラにも公開することで、かけがえのない家族とのつながりが得られました。人生観もすごく変わりましたね」とまで語る。
もう一つは、父の親友たち。特に、最後の最後まで父の面倒を見てくれた居酒屋の主人・譲二さんと、父の日記に「幼なじみ」としてたびたび登場していた倉石さんは、陽介ギフレさん自身も親友と呼べる間柄になった。
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