「気持ちが切れなかったのが勝因」 高見七段が粘りの一手で伊藤叡王破って本戦進出 第18回朝日杯将棋オープン戦二次予選
マイナビニュース / 2024年12月10日 11時30分
第18回朝日杯将棋オープン戦(主催:朝日新聞社・日本将棋連盟)は二次予選が大詰め。12月9日(月)にはBブロックの3局が東京・将棋会館で行われました。伊藤匠叡王と高見泰地七段の間で行われた1回戦は129手で高見七段が勝利。高見七段はこのあと行われた2回戦も制して本戦進出を決めています。
○注目の叡王経験者対決
伊藤叡王は一次予選で行方尚史九段ら3名に勝っての登場、高見七段は本局からの登場です。振り駒が行われた本局は先手となった高見七段が相掛かりに誘導、右銀を4筋に上がって持久戦を志向します。これを見た後手の伊藤叡王は飛車先に合わせの歩を放って軽いジャブ、直後に端攻めを絡めて積極的に局面を動かしにかかりました。
持ち時間40分の早指し戦らしくテンポよく指し手が進みます。伊藤叡王は大駒の活用で盤上左辺からの敵陣突破に成功しますが、戦いの中で自陣もかなり乱されており実戦的には形勢不明の展開。むしろ実戦はここからの高見七段の粘り強い指し回しが光りました。7筋に歩を垂らして開き直ったのが「勝つならこの手しか」(局後の高見七段)という勝負手です。
○ベスト16出揃う
長い辛抱を実らせ反撃の手番を得た高見七段はここから鋭い指し回しで優勢を確立します。自動記録の機械による秒読み音が響くなか、竜取りを手抜いて銀打ちで寄せの網を絞ったのが「終盤は駒の損得より速度」の格言通りの決め手。後手玉に17手に及ぶ詰み筋が生じているため伊藤叡王はこの竜を取り切ることができません。
終局時刻は12時0分、最後は攻防ともに見込みなしと認めた伊藤叡王が投了。勝った高見七段は午後に行われた本田奎六段との予選決勝も制して本戦最後の1枠を勝ち取りました。高見七段の初戦の相手は永瀬拓矢九段と決まっています(永瀬―高見戦は愛知県名古屋市の「名古屋市国際展示場」での開催)。
水留啓(将棋情報局)
(将棋情報局)
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