托卵の事情が全て明らかに…“共感のパワーバランス”が崩壊する『わたしの宝物』第9話
マイナビニュース / 2024年12月12日 6時0分
女優の松本若菜が主演するフジテレビ系ドラマ『わたしの宝物』(毎週木曜22:00~ ※TVer・FODで見逃し配信)の第9話が、きょう12日に放送される。
夫以外の男性との子どもを夫の子と偽り産み育てる「托卵」をテーマにした今作だが、いよいよ“本当の父”が誰なのかが知るところとなり、妻と夫、本当の父、それぞれのエンディングへ向かって大きく舵を切る――。
○秀逸だった田中圭のキャラクター造形
まずは、これまで視聴者が誰に対してどれだけ気持ちを乗せていたかという、“共感のパワーバランス”について振り返りたい。
第1話から第2話にかけての序盤は、当然主人公である美羽(松本若菜)に対するものが大きかっただろう。それは不倫の末に夫を偽り子どもを産む「托卵」という、ある意味“ありえない”障壁を乗り超えるために、夫・宏樹(田中圭)の描写をより冷酷にしなければならなかったからだ。
だが第2話ラスト、子どもの栞が生まれ“父性”が目覚めたその瞬間から、共感の比重は一気に宏樹へと傾いた。あれだけ美羽に対して冷酷だったはずの宏樹が栞によって何もかもが浄化され、“本当の父”ではないという“かわいそう”な背景を抜きにしても、宏樹に感情移入せざるを得ない良い夫/父に成長していった。これは、宏樹に共感させることで、美羽が犯した罪の大きさをより強調させるためだった。
しかしその“共感のパワーバランス”においては、制作側が意図する以上のものだったのではないかと推測する。なぜなら今作の主人公は“悪女”とは言え、本来であれば主人公に対しての思い…共感の余地はもっと残さねばならなかったはずだ。だが宏樹を演じる田中圭の冷酷さと温かさの二面性があまりに巧み過ぎたがゆえに、冷酷な扱いを受けていたはずの主人公以上に、宏樹に対し“幸せになってほしい”と思うまで“感情移入させてしまった”のだ。
それほど今作における田中圭の宏樹のキャラクター造形は秀逸で、だからこそ視聴者の心を揺さぶる“味わい”を残すことにも成功した。このように物語後半は、“共感のパワーバランス”を宏樹が独占していったと言っても過言ではないだろう。
○冬月の“本当の思い”がようやく吐露される
この“共感のパワーバランス”を、大きく揺るがすのが、今回の第9話だ。そのきっかけとなるのが、ここまで“共感の対象”となっていなかった、“本当の父”である冬月(深澤辰哉)だ。 “あえて”と言っていいだろう、これまで冬月の心情を描かなかったことで、共感の矛先は全て宏樹へと向かっていたのだが、不倫という事実以外何も知る由のなかった「托卵」の事情が今回全て明らかとなることで、ようやく冬月に対してスポットライトが当たり、美羽よりも宏樹よりも、冬月に対する“思い”がなだれ込んでくる。
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
「托卵」を納得させた“用意周到”な構造 『わたしの宝物』がトリッキーな不倫ドラマにならなかった理由
マイナビニュース / 2024年12月22日 6時0分
-
賛否両論は避けられない「托卵」の結末…『わたしの宝物』役者たちのイメージから“答え”が導かれる最終話
マイナビニュース / 2024年12月19日 6時0分
-
『わたしの宝物』第9話 “美羽”松本若菜、“宏樹”田中圭に栞を1人で育てていくことを伝える
クランクイン! / 2024年12月12日 6時30分
-
避けて通れない“本当の父”問題…『わたしの宝物』なぜ水木が…冬月の“人格”から見えてくる第8話
マイナビニュース / 2024年12月5日 6時0分
-
最も衝撃であるはずのラストが自然な流れだった…『わたしの宝物』美羽が追い出された“その先”を描く第7話
マイナビニュース / 2024年11月28日 6時0分
ランキング
-
1木村拓哉登場に新宿・歌舞伎町が大歓声!「皆に久々に会えてうれしいですし、また会える場所を与えて頂いてありがたいです」
スポーツ報知 / 2024年12月21日 20時28分
-
2GACKT NHKに“出禁”だったのに大河ドラマに出演できた理由に有働アナ「縦割りだから…」
スポニチアネックス / 2024年12月21日 21時4分
-
3香取慎吾 SMAP時代を回顧「凄い空気なんだから5人集まると!」旧ジャニーズ事務所後輩4人と共演
スポニチアネックス / 2024年12月21日 20時4分
-
4サンド・富澤 「M-1」審査員辞退の胸中語る 「事務所に1回休ませてほしいと…」
スポニチアネックス / 2024年12月21日 18時20分
-
5声優・山口由里子 チャリティーバザーの商品が転売され怒り「悲しすぎる」正式に警告で出品取り下げ
スポニチアネックス / 2024年12月21日 17時48分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください