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名工大がレゴリスを用いた月面での建材製造技術を開発 - 高強度を達成

マイナビニュース / 2024年12月17日 15時38分

次に、マイクロ波吸収特性についての詳細な調査が行われた。すると、真空加熱で作製された焼成溶融物は、大気加熱条件に比べ2倍近く高い吸収性を示したとする。また、この吸収特性には強い温度依存性があり、高温になるほど増加する傾向だったとしている。

さらに、マイクロ波の電場成分・磁場成分いずれに対しても高い応答性を示し、わずか90秒で800℃以上に到達したとのこと(マイクロ波電場印加時)。構造解析の結果、真空加熱時の黒色化はマイクロ波吸収性が高い「マグネタイト」(Fe3O4)の形成に由来することがわかった。真空加熱中での酸化鉄の化学構造変化が、マイクロ波吸収性向上に大きく寄与すると同時に、選択的マイクロ波応答による局所加熱・熱暴走を引き起こす要因となり得ることが示唆されたとし、これは生成ガス中に鉄元素が含まれていたこととも一致するとした。

その後研究チームは今回得られた情報を基に、マイクロ波加熱製造技術の限界を克服するための加熱制御法「多段階加熱制御」を考案。それにより、3次元ガラスネットワークの形成促進と熱暴走・形状変化抑制の両立が達成されたとした。その結果、強力な静水圧冷間プレスなどの特殊な前処理なしで、世界トップクラスの機械的性能である圧縮強度(~65MPa)を持つ建材の真空加熱製造に成功したのである。

研究チームは現在、居住施設防護層や月離着陸機の離発着場・運搬路の舗装材の大量製造技術を研究開発中だ。また、レゴリスの鉱物組成は採掘場所によって大きく異なることから、今回の技術の実用可能性を検証するため、さまざまな鉱物組成を持つ月面模擬砂のマイクロ波加熱挙動や力学特性に及ぼす影響調査を網羅的に実施しているとする。さらに今後は、微小重力下での加熱溶融・ガス生成挙動が建材の微細構造や力学特性に及ぼす影響についても詳しく調査していく予定としている。
(波留久泉)



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