賛否両論は避けられない「托卵」の結末…『わたしの宝物』役者たちのイメージから“答え”が導かれる最終話
マイナビニュース / 2024年12月19日 6時0分
女優の松本若菜が主演するフジテレビ系ドラマ『わたしの宝物』(毎週木曜22:00~ ※TVer・FODで見逃し配信)の最終話が、きょう19日に放送される。
夫以外の男性との子どもを夫の子と偽り産み育てる「托卵」をテーマにした今作、とうとう全てが明るみになった妻、実父ではないという事実に苦悩する夫、そして突然何もかもを知ってしまった“本当の父”、それぞれの“答え”がついに出る――。
○松本若菜だからこそ表現できた極端に揺らぐ感情
この物語の結末を見届ける前に、今作のキャラクターとしてではなく“役者”がもたらした影響について考えたい。
まず「托卵」というかつてないほど重いテーマを背負う主人公を演じた美羽の松本若菜。彼女はこれまでのパブリックイメージや、今作とは全く対照的だった前クールの『西園寺さんは家事をしない』(TBS)の好演もあいまって、“なぜこんな重たい作品に…”という声も少なからずあっただろう。
だが、“今作の美羽が松本若菜でなかったら…”と考えると、物語序盤の夫からの冷たすぎる仕打ちに耐えられるだけの強さ、それでも離婚できずにいる弱さ、そして「托卵」を決意したときのし烈さ、それぞれ相反する感情が極端に揺らいでいくその様は、彼女でなければ説得力を持って表現できなかったし、視聴者がついて行けないほど悲壮感が漂うだけのドラマになっていたはずだ。
そして今回の美羽だけでなく、どんなキャラクターにおいても、「松本若菜が演じるからこそどうしても見たい」と思わせるのは、彼女の“笑顔”だ。それをこの過酷な作品の中でも追い求めたからこそ、視聴者は最終話まで見届けたに違いない。それほどの吸引力が彼女だからこそあった。
○田中圭だからこそ成立した“深い情”へのグラデーション
また夫の宏樹を演じた田中圭も、松本と同じくパブリックイメージがまとわりついていたことは否めない。初回の妻に対するモラハラを超えたひどい人格は、これまでの“田中圭”を覆したいがためのキャラクターなのでは?とも思わせたのだが、今作はそれこそが“フック”になっていた。
子どもが誕生して“深い情”を取り戻していくそのグラデーションは、“田中圭”というイメージが事前にあったからこそ自然に表現できたのではないだろうか。そうでなければ、初回と中盤以降でキャラクターが急激に変わってしまった宏樹に、視聴者は困惑させられることになっただろう。
松本同様に、「田中圭に求めているものを見たい」「取り戻してほしい」と、役者へ求めるものがキャラクターへ求めるものとリンクしたからこそ、誰もが間違いを犯しても立ち直ることができる…宏樹という人間味あふれる血の通ったキャラクターに仕上がったのだ。
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