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カイロス2号機現地取材 - 宇宙に到達も軌道には届かず、正念場の2機連続失敗

マイナビニュース / 2024年12月19日 14時30分

飛行中断の原因はどこに? どうなるカイロス3号機

打ち上げ後の記者会見では、同社の遠藤守取締役より、今回のフライトで発生した問題について説明があった。ただ、現時点で分かっているのは、前述のように「ノズルの駆動制御に異常が発生した」ということだけで、それ以上のことは不明。原因については、今後、FTA(故障の木解析)で絞り込んでいくことになる。

カイロスロケットでは、第1段の姿勢制御は、ノズルの向きを変えるTVC(Thrust Vector Control)によって行われる。これはざっくり言うと、指先に傘を乗せて、うまくバランスを取るやり方に似ている。カイロスの詳細な仕様は公開されていないのだが、遠藤取締役によると、このTVCには電動アクチュエータが採用されているそうだ。

なおTVCでは、ピッチ制御とヨー制御はできるが、カイロスのように中央に1基だけノズルがあるタイプだと、ロール制御ができない。カイロスに構成が似ているイプシロンロケットでは、ロール制御のためにサイドジェットが搭載されているのだが、遠藤取締役によると、カイロスの第1段にサイドジェットはなく、ロール制御は行っていないそうだ。

ノズルの向きは、進行方向や姿勢を制御するために少し動くことはあるものの、通常のフライト時には、目一杯振れるようなことはない。しかし今回のフライトでは、搭載されているポテンショメータにより、大きく振れていたことが確認できているという。

ただし、TVCの異常かどうかは、まだ分からない。ロケットの姿勢を検出するセンサー部に異常が発生していたら、姿勢が乱れていると勘違いしてノズルを大きく振ることもあるし、ノズルが破損して横方向の推力が発生していたら、そのトルクを抑えるためにノズルが動くだろう。制御プログラムの問題で動きが発散した可能性もある。

そのあたりの原因の切り分けは、今後のFTAで分析が進むことになるだろう。なお、これまでの2回の打ち上げ延期は高層風の強さが原因だったが、今回の打ち上げではその影響については「まず関係ない」とした。

今後、気になるのは3号機の打ち上げがいつになるかということ。ただ、これについては原因と対策の状況次第のところがあるため、現時点で予測することは難しい。初号機と2号機の打ち上げの間隔は約9カ月だったが、このときはロケット側に変更がなかった。もし設計変更が入ると、より長い期間が必要になる可能性もある。

大塚実 この著者の記事一覧はこちら
(大塚実)



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