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京大と鹿島、月や火星上の人工重力施設に関する共同研究を本格スタート

マイナビニュース / 2024年12月20日 18時25分

画像提供:マイナビニュース

京都大学(京大)と鹿島建設(鹿島)の両者は12月19日、2022年に両者が発表した共同研究「月や火星に住むための人工重力施設を京都大学と鹿島が共同研究」におけるこれまでの概念検証から進展し、将来的な実現に向けて月面での人工重力居住施設の構造成立性、施工成立性、居住性、人体への影響評価、閉鎖生態系(ミニコアバイオーム)を確立するための共同研究を開始したことを発表した。

同成果は、京大大学院 総合生存学館の山敷庸亮専攻長(同館 ソーシャルイノベーションセンター(SIC) 有人宇宙学研究センター センター長兼任)および関連部局(工学研究科、理学研究科、防災研究所)、鹿島 イノベーション推進室の大野琢也担当部長(宇宙)らの共同研究チームによるもの。

月や火星のような低重力環境は、人体にとって有害である可能性が懸念されているが、微小重力環境とは異なり、どのような影響が出るのかはまだよくわかっていない。そうした中、天体上で垂直軸を中心に回転させることで遠心力を発生させ、その天体の重力と合算することで1G環境を構築し、その中で人々が暮らすという人工重力居住施設「ルナグラス」(月面用)や「マーズグラス」(火星用)を2022年に提案したのが、共同研究チームだった。

ルナグラスやマーズグラス内での真下は、遠心力との合算となるため、その天体上での真下から真横までの90度の範囲内のどこかになる。低重力であればあるほど遠心力の割合が増えるので、施設の滞在者はその天体の地平線に対して真横に近くなっていく点が特徴的だ。

またこのコンセプトは、地球上においても1G以上の荷重力環境を作り出せることから、骨粗鬆症の抑制など、健康増進につながる可能性もあるとする。そこで研究チームは今回、世界に先駆けて日本での人工重力施設実現を目指すため、2022年に発表したコンセプトのさらに本格的な共同研究を始めたとする。

京大 SIC有人宇宙学研究センターが、宇宙居住において最低限必要なコアコンセプトとして掲げているのが、以下の3つだ。

社会制度(コアソサエティ)
基幹技術(コアテクノロジー)
基幹生態系(コアバイオーム)

この中で人工重力施設は、最も重要な基幹技術として位置付けられている。なお遠心力を利用した人工重力施設のコンセプトは、宇宙空間用としてはシリンダー型やトーラス型などが古くから知られているが、天体上用としては、共同研究チームのコンセプトは他に類を見ず、鹿島が特許技術として申請中とした。

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