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土星の環は若くない? - スペースデータが定説を覆す形成メカニズムを提案

マイナビニュース / 2024年12月23日 9時29分

次に、蒸発した塵が形成する蒸発雲の膨張と凝縮を解くまでの、蒸発した塵の進化に関するシミュレーションが実施された。すると、蒸発した塵はナノメートルサイズの凝縮物として再形成され、土星の磁気圏内で帯電することが明らかにされた。

そして最後に、帯電した凝縮物の軌道進化を土星の磁気圏を考慮したシミュレーションが行われた。その結果、帯電した凝縮物は土星の磁気圏との相互作用によって土星圏の外に吹き飛ばされたり、土星に引き込まれたりして、土星の環にほとんど残らないことが突き止められたのである。

今回のシミュレーション結果より、「土星の環は外部の塵によって極めて汚れにくい」ということが示された。つまり、理論的に土星は比較的最近になって環を獲得したのではなく、ほぼ誕生時から持っていたかも知れないという、探査機が到達する以前に唱えられていた説を支持する形となった。なお、今回の研究成果は土星の環だけにとどまらず、宇宙塵が高速衝突する水星、天王星の環、木星や土星の氷衛星にも応用できるといい、従来の見かけに基づいた年齢推定の限界を再認識する必要性があるとした。

今回の研究は、土星の環の進化や他の惑星系における環の形成過程を再考するための新たな基盤を提供するとのこと。土星の環は太陽系の中でも圧倒的に巨大な構造物だ。このような巨大構造物が形成される一大イベントは、太陽系全体に影響を与える可能性が大いにあるとする。つまり、土星の環の形成時期と形成メカニズムを正しく理解することは、太陽系の形成を深く理解することにつながる。さらに、それは地球がいつどのように生命を育む惑星になったのかという問題を解決するきっかけになることも考えられるとしている。
(波留久泉)



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