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写真家はなぜMacBook Pro(M4)に買い替え、どこに驚いたのか

マイナビニュース / 2024年12月29日 13時45分

まずはモニターをキャリブレーション。使ったのは「i1 DISPLAY PRO」。Windows用のモニターと一緒に購入した旧製品で、M4には有償アップデートで使えるとのこと。39.99ドルを払ってアップデートし、モニターを測定。そのまま結果を反映させると、購入時より青みが強くなった。Macといえばモニターの色が正確=キャリブレーションをしなくてよい、と思われがちだが、比較的正しいというだけで、“吊るし”で売られている状態が正確という保証はない。一方で、キャリブレーションをすればOKというものでもなく、肝心なのは最終的に仕上げる写真が自分の意図と合致していること。プリントで仕上げるのであれば、プリンターとモニターが合っていることが重要なのだ。キャリブレーション後にプリンターであれこれ印刷してみたが、ほぼ意図した通りに出力できた。実際には用紙でも変わってくるので、展示用のプリントであればあとはテストで追い込むことになる。

そしてペンタブレットを接続。僕はワコムの「Intuos Pro」を使っているが、デスクトップではワイヤレスキーボードを追いやって、モニターの下にタブレットを置く。しかし、M4では少々置き場所に悩んだ。横に置くと腕が画面から遠くなり、手前では目が画面から遠くなる。しかし、部分的な焼き込み・覆い焼きはペンタブレットが圧倒的に楽。最終的には、タブレットを太ももの上に置くということで落ち着いた。

これまで僕は多くの写真展を開いてきたが、ここ数年、AIによるレタッチツールの進化が著しい。そこで今回はAdobe Lighroom Classicの「強化」メニューを多用してみた。細部をシャキッとさせ、大きなプリントで効果がある「Rawディテール」のほか、超高感度で撮影した写真には「ノイズ除去」、古いデータや防水カメラで撮影したため解像度が不足気味な写真には「スーパー解像度」を施した。さらに、肌の調整にはAdobe Photoshopの「ニューラルフィルター」を活用。そのままでは肌がのっぺりしてしまうので、結果をレイヤーで保存して元画像の上に。レイヤーの透明度を調整することで、肌を自然な調子に仕上げた。

「スーパー解像度」は以前から展示はもちろん、仕事でも使うことも多いが、GPUが貧弱な6年落ちWindowsではまあまあな時間がかかる。それがM4では数秒レベル。AIが絵柄の隙間や足りない部分を埋めてくれるので、効果的な場合もあれば、稀におかしな結果になって使えないこともある。ただ、おおむね違和感はなく解像度がアップ。解像度はそのままの「Rawディテール」も、絵柄によって効果に差はあるが、レンズの解像力が追いつかない部分を埋めてくれる。プリントはまだこれからの作業だが、結果のほどはぜひ写真展「この雨が地維より湧くとき」(2025年1月10日~1月23日、ソニーイメージングギャラリー銀座)でご覧いただきたい。

というわけでフィニッシュ作業にまで使っていると、14インチじゃなくて16インチにすればよかったかな…と思わなくもないのが1か月使ってみた感想。そこはまあデスクトップにするのが賢明なのだろうけど、ここまでノートのポテンシャルが高いと、AirDropで連携できるMac MiniかMac Studioにするのがいいのかしら…とまた悩みが増える。皆さんもよいパソコンを買って、よい年末を。

鹿野貴司 しかのたかし 1974年東京都生まれ。多摩美術大学映像コース卒業。さまざまな職業を経て、広告や雑誌の撮影を手掛ける。著書『いい写真を取る100の方法』が玄光社から発売中。 この著者の記事一覧はこちら
(鹿野貴司)



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