イプシロンS第2段の爆発原因調査が開始、能代と種子島で大きく変わったFTA
マイナビニュース / 2024年12月30日 11時0分
(1)点火後約17秒から燃焼圧力が予測より上昇
(2)約48.9秒で燃焼圧力が下降(ガスリーク)
(3)約49.3秒で燃焼圧力が急激に下降(爆発)
注目したいのは、前回(能代)のFTAとの違いだ。能代で爆発した際には、「爆発」をトップ事象として、その下に「モーターケース破壊」と「ノズル破壊・脱落」を置き、最終的には、イグブースタの溶融によってインシュレーション(断熱材)が損傷したというシナリオにたどり着いた。
能代では、上記(2)のガスリークは起きていなかったものの、(1)の燃焼圧力の上昇と、(3)の爆発は同様に発生していた。そして原因調査では、その2つの事象を合わせた形でFTAを展開し、結論を出した。しかし今回は、3つの事象をそれぞれ分けた。
これについて、井元プロマネは「前回は、爆発というトップ事象に対して、(1)を強く関連づけてやっていたが、今回はそこをゼロから考える」と説明。今回の3つのトップ事象には関係があるのか、原因と結果になっているのか、それとも関係のない別の事象なのか、明らかにしていくという。
能代では、「燃焼圧力の上昇」という事実と、「イグブースタの溶融」という事実があって、この2つを結びつけ、原因を特定した。たしかに、この2つに因果関係があるのなら、爆発現象を説明できるだろう。しかしそれは、必ずしも、考えられる原因がこれしかない、ということを意味しない。この2つは本来無関係で、別に原因があった可能性もある。
実際、種子島での再試験では、イグブースタの溶融はなかったことが確認されているのに、ほぼ同様の燃焼圧力の上昇が起きた。現時点では、燃焼圧力が予測より上がったから爆発したのか、それとも燃焼圧力が予測通りでも爆発は起きたのか、それすら分からない。3つの事象を分けて調べるのは、そのためだ。
上記(1)の燃焼圧力の上昇については、「燃焼面積が増加」と「燃焼進行が速い」という2つの要因が考えられ、それぞれ、設計不良、製造不良、組立不良を調べる。(3)の爆発については、壊れた場所の特定を進めるとともに、リークした燃焼ガスが原因か、それ以外が原因なのかを調べる。
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(大塚実)
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