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大河原克行のNewsInsight 第345回 パナソニックの業務用冷蔵庫と空質空調事業、片山社長が進める改革の現在

マイナビニュース / 2024年12月31日 23時5分

画像提供:マイナビニュース

パナソニックは、ルームエアコンや空気清浄機、A2W(Air to Water=ヒートポンプ式温水給湯暖房機)などを担当する空質空調社と、小売店向けの冷凍/冷蔵ショーケースをはじめとした「食のサプライチェーン」を支える事業を行うコールドチェーンソリューションズ社の事業戦略について、両社の社長を務める片山栄一社長が、それぞれに説明を行った。

とくに、空質空調社については、2024年7月から、同社社長に就任してから、片山社長による事業説明は初めてのこととなった。

成長路線を進むコールドチェーンソリューションズ社と、構造改革に取り組む空質空調社という、フェーズが異なる2つの事業の舵取りを、片山社長が同時に推進することになる。

○パナソニックの空質空調、グローバル化の課題

空質空調社は、6つの事業を擁し、ルームエアコンやコマーシャルエアコン、A2Wといった大手空調企業との競合領域と、空質機器やデバイス、環境エンジニアリングといった非競合領域の事業で構成している。売上げの約7割が競合領域、約3割が非競合領域となっている。

中期経営計画の最終年度となる2024年度の当初計画は、売上高1兆円、調整後営業利益555億円、EBITDA835億円としていたが、これを下方修正し、2024年度見通しは売上高で8900億円、調整後営業利益が170億円、EBITDAは510億円としている。

片山社長は、「低収益化が進み、計画に対しては4%の乖離がある。欧州のA2Wへの投資負担の増加、空質空調融合商品の負担増、ルームエアコンの国内生産回帰への投資負担などが利益率の悪化要因となっていた。また、2024年度上期は2桁の増収となったが、それに対して調整後営業利益率が低いのは、収益性が低い製品が増収のドライバーとなっていたことが原因である。下期は欧州事業の回復と、非競合事業の成長が貢献し、固定費削減効果も出始めており、増益が見込める」と述べた。

過去3年間に渡る売上伸長率が低く、収益性が悪化している理由については、「日本への依存度が高く、米国やアジアなどの高成長市場での比率が低い。しかも、開発リソースの半分が日本に割かれている。トップラインを伸ばすビジネス構造になっておらず、固定費のアロケーションがミスマッチを起こしている」と指摘した。

空質空調社では、地域軸経営による意思決定の迅速化や事業成長の加速を目指してきたが、競合他社に比べて事業規模が圧倒的に小さく、それを地域に分散して競争力を強化するといった方針は、ハードルが高いチャレンジになると判断。2024年7月以降、商品軸の競争力強化を考え、事業軸をグローバルに最適化する方向へシフトしているという。

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