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千葉大、JWSTにより約65億光年の銀河で40個以上の星の観測に成功

マイナビニュース / 2025年1月8日 16時37分

その遠方銀河は、アーベル370の強力な重力レンズ効果により、その見た目が引き伸ばされて見え、その特徴的な形状から「ドラゴン」の愛称で呼ばれている。今回の研究では、JWSTにより2022年と2023年に撮影されたドラゴンの画像が慎重に解析された。その結果、見かけの明るさの大幅な変動が捉えられ、ドラゴン内に存在する44個の星が確認されたのである。

それらの星々は重力レンズ効果によって数百~数千倍に明るくなっていたことに加え、同効果の時間変動によって見かけの明るさが時間変化していたことが、今回の解析で捉えることができた理由だという。つまり、それらの星々は重力レンズ効果により遠方銀河内で特定の期間だけ見かけ上明るくなっていたということで、その星の光がまたたく瞬間が、JWSTによる高感度かつ高分解能観測により捉えられたことになる。今回の発見は、遠方銀河内の個々の星を捉えた観測としては過去の記録を大幅に塗り替えた形で、それと同時に、遠方銀河内の星々を大量に観測し、統計的な研究が行えることが実証されたことにもなった。

また、今回発見された星の色(質量が大きく若い星ほど青白く、質量が小さいか晩年を迎えた星ほど赤くなる)の解析も詳しく行われ、そのいくつかはオリオン座の「ベテルギウス」に代表される、星の一生の末期にある赤色超巨星であることが突き止められた。これまでの重力レンズ効果で発見された遠方銀河内の個々の星々の多くは、オリオン座の「リゲル」に代表される青色超巨星であり、その点でも新しい発見としている。波長の長い光を効率よく捉えられるJWSTだからこその発見だったとした。

研究チームは今後も、アーベル370とドラゴンの観測結果のさらなる解析を進める計画だ。ちなみに今回の発見は、それぞれ異なる研究チームが行った観測計画によるもので、同じ対象の観測を複数回行うことは当初まったく意図しておらず、偶然得られた研究成果だったとする。そのため、今後は綿密な計画で何百という個々の星の詳細な観測を行う予定とした。また、重力レンズ効果によりまたたく星がどのように分布しているのかを詳しく解析することで、ダークマターの正体に迫ることができる可能性もあるといい、これらの応用に向けた詳細な解析を引き続き進めていくとしている。
(波留久泉)



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