邪だったはずのベクトルが誰かの琴線に…『日本一の最低男』粗暴な主人公がセンシティブなテーマと向き合う第2話
マイナビニュース / 2025年1月16日 10時0分
香取慎吾主演のドラマ『日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった』(フジテレビ系、毎週木曜22:00~ ※FODで見逃し配信)の第2話が、きょう16日に放送される。
今作は、ある不祥事で退社に追い込まれてしまった元報道番組のプロデューサー・一平(香取)が、再起を図るため政治家を目指し、その戦略として亡くなった妹の夫と子どもたちと同居し、ニセモノの家族=“ホームドラマ”を演じることを決意する…という物語。
前回で早くもおいっ子との距離を縮め“ホームドラマ”の足固めに成功した主人公だが、今回は全く別の家族の問題に立ち入ることとなる――。
○早い段階でおいっ子との関係構築
第1話において今作が“良心的”だったと言えるのは、他人同士との生活の中で生まれるストレスの描写を長引かせなかった点だろう。
こういった疑似家族を描く場合、特に小さな子どもとの同居となると、その軋轢(あつれき)の一つひとつを描いていくことは当然といえる。まして今作は主人公の“手段”としての疑似家族なのだから、交流の中でのズレはもっと大げさに時間をかけて描き、それ自体をコメディの演出としてデコレーションしてしまってもおかしくはなかった。むしろそうしなければ、いとも簡単に目的が達成されることにもなるため、そのズレこそを物語の縦軸とし、徐々に緩和されていくことを連続ドラマの醍醐味とするのが自然だった。
とはいえ視聴者は、最終的にハッピーエンドになることを予想している。これまで何度も味わってきたそんなズレは、見飽きているという側面もあるに違いない。
そこで今作は、少なくともおいっ子の朝陽(千葉惣二朗)との関係性において、第1話の早い段階で関係性が構築されるという潔い展開を見せた。それは、パブリックイメージそのままの香取慎吾=誰とでも打ち解けられるであろうというキャラクターの特性を利用したのではなく、物語の中でそうなるべく“仕向けられていた”という点が実に良心的だった。
一平にとって家族になることは“手段”に過ぎないのだが、それでも彼の信条である“努力を尽くすこと”が反映され、それが朝陽へ寄り添うことに偶然にもつながってしまう。つまり邪(よこしま)だったはずのベクトルが、“奇跡”のように誰かの琴線と重なるという展開が美しく見事だったのだ。
一見すると戦略家である主人公だが、本人が気付かず意図しない形で、誰かをハッピーにさせている…そのことが「ホームドラマを演じる」と豪語する主人公であっても、共感させることに成功させていたのだった。
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