33手目の敗着!? 伊藤叡王が石田流封じの快勝で昇級に前進 第83期順位戦B級2組8回戦
マイナビニュース / 2025年1月16日 11時30分
第83期順位戦B級2組(主催:朝日新聞社・毎日新聞社・日本将棋連盟)は、8回戦13局の一斉対局が1月15日(水)に各地の対局場で行われました。このうち東京・将棋会館で行われた伊藤匠叡王―鈴木大介九段の一戦は92手で伊藤叡王が勝利。1敗をキープして昇級に向け一歩前進しました。
○臨機応変の石田流破り
今期のB級2組は伊藤叡王・青嶋未来六段・服部慎一郎六段の3名が首位集団を形成。数名の2敗者が控えるなか、3つの昇級枠を勝ち取るために負けられない戦いが続きます。鈴木九段の先手番で始まった対局は四間飛車対居飛車持久戦の対抗形に進展。鈴木九段が石田流への組み換えを志向したところで、後手の伊藤叡王は独自の力戦策を披露しました。
右金を力強く自陣三段目に押し出したのが「持久戦は玉を固めるもの」という固定観念にとらわれない指し回し。この金は先手の飛車をマンマークする守り駒として抑え込みに一役買うことになります。左辺での折衝が一段落した局面は大きな駒の損得こそないものの、7筋に打たされた歩が重い駒となり振り飛車のさばきが一手遅れた格好です。
○怪力出させず快勝
貴重な手番を得た伊藤叡王は満を持して寄せに乗り出します。5筋に香を叩き込んだのが田楽刺しの基本手筋で、駒得しながら飛車角両方がさばける展開になっては大勢が決しました。終局時刻は17時3分、自玉の受けなしを認めた鈴木九段が投了。最後は盤上の金銀を連続でタダ捨てする華麗な寄せが決まっての終局図となりました。
一局を振り返ると、右金を繰り出すという柔軟な発想を披露した伊藤叡王が中盤から着実にリードを広げる快勝譜に。敗れた鈴木九段は局後SNSを更新し、「序盤の33手目を咎められて以下は粘れもしませんでした」と全体を総括しました。勝った伊藤叡王は今期7勝1敗と好調、この日はライバルの青嶋六段が敗れたため1敗者は伊藤叡王と服部六段の2人に絞られています。
水留啓(将棋情報局)
(将棋情報局)
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