超大質量ブラックホールM87*の降着円盤は一部が逆回転している可能性が判明
マイナビニュース / 2025年1月23日 16時14分
研究チームによると、SMBHの周囲には降着円盤があるとされ、乱流に満ちた非常にダイナミックな環境であるとのこと。そこで今回は、事象の地平線近くを周回するガスの構造と運動状態に関して、その1年の間に発生した現象を解析することを目的として、理論解析を行ったという。
今回の研究では、スーパーコンピュータを用いて、2017年の観測を解釈するために生成された画像の3倍の規模に相当する約12万枚もの理論シミュレーション画像が新たに生成された。この膨大な画像と2017年・2018年両方の観測データと照合して理論を精査した結果、M87*の自転軸が地球とは反対方向を向いていることが再確認されたとのこと。そして今回の成果は、SMBHとその周囲を支配する極限的な物理過程の理解を大きく進展させ、新たな視点を提供するものだという。
2018年の観測でも、2017年に続いて明るいリングの存在が確認され、その直径は約43マイクロ秒角だった。これは太陽質量の約65億倍というSMBHが作るシャドウのサイズは1年で大きく変化しないという理論予測と一致していた。特に注目すべき点は、リングの最も明るい場所が2017年は6時の方向にあったのに対し、2018年の画像では約30度異なる5時の方向にあったことだという。この最も明るい場所の変化は、SMBH周辺の降着円盤で乱流が発生していることが考えられるとする。
SMBHは理論上、事象の地平面近傍のガスを必ず自身の自転と同じ向きに回転させるが、少し離れた場所ではガスが逆向きに回転している可能性もあるといい、この場合は当然ながら乱流が激しくなり、今回の観測結果と一致しやすいことが明らかにされた。また、この時に生成されるジェットの構造や特性は、ガスが順回転している場合とは異なるため、さらに考察を進める必要があるとしており、今回の研究成果は、SMBH周辺の複雑な運動状態を解明する上で大きな前進となるとしている。
(波留久泉)
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