太陽系誕生のきっかけはやはり超新星爆発? 東大などが有力な証拠を発見
マイナビニュース / 2025年1月31日 17時6分
この相関は、26Alの起源となった天体で46Tiと50Tiも核合成され、その天体の放出物が原始太陽系円盤の外側に、より多く混入したことを示すとする。チタンの各同位体の合成量は、恒星の温度や密度などの環境によって異なる。原始太陽系円盤における46Tiと50Tiの存在量の変動は、重力崩壊型超新星爆発を起こす恒星、特に太陽の約25倍の大質量星で合成されるチタンの生成量で最も良く説明できることがわかった。そしてこれは同時に、26Alの起源も重力崩壊型超新星爆発であることを意味するとする。
さらに研究チームは今回、アルミニウムとチタン同位体の相関を利用し、超新星爆発の起きた年代とその放出物の太陽系への混入割合を一緒に求める宇宙核時計を新たに考案したとのこと。その宇宙核時計を適用した結果、超新星爆発の年代は、太陽系で最も古い隕石の形成年代と比べて約90万年古いことが計測された。この年代差は、天体観測から推定されている、分子雲の収縮によって星が形成され始めてから、その星周円盤で固体物質が形成され始めるまでの典型的な時間スケールと同程度とする。つまり、超新星爆発とほぼ同時期に太陽系が生まれたことが示されているとした。
また、超新星爆発の放出物の太陽系への混入割合は、超新星と太陽系間の距離に依存することから、その距離が100光年より短いと推定された。近年の天体観測では、重力崩壊型超新星爆発の残骸の周りで次世代の恒星が生まれる姿が捉えられていることから、今回の研究成果により、太陽系もまた前の世代の大質量星の死によって生まれたことが示唆された。
26Alはこれまで、太陽系初期に形成された隕石の年代を高精度に測定する時計としても利用されてきた。しかし同測定では、26Alが原始太陽系円盤において均質に分布していたと仮定されていたという。しかし、近年その不均質分布が明らかになり、隕石年代値の改訂が迫られている。今回の研究で発見されたアルミニウム‐チタン同位体の相関は、隕石年代値の改訂に応用できるとする。同手法により精確な隕石の年代が判明すれば、より信頼性の高い惑星形成理論の構築につながることが期待されるとしている。
(波留久泉)
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