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ただの“ケーキ+イケメン”ドラマではなかった 『アンティーク 西洋骨董洋菓子店』2月になると見たくなる理由

マイナビニュース / 2025年2月5日 11時0分

ドラマ化にあたっての大きな脚色は、主人公を橘圭一郎から神田エイジに変えたことと、小野裕介のゲイ要素をほぼカットしたことの2つ。その分、店内外の人生背景や人間模様を充実させることで、性別年齢不問の作品に仕上げていた。

●本広・羽住両監督が手がける映像美
さらに、同作を語る上で見逃せないのは演出の2人。ドラマ・映画『踊る大捜査線』や映画『サトラレ』などを手がけた頃の本広克行監督と、のちに『海猿』シリーズ(フジ)や『MOZU』シリーズ(TBS)などを手がけた羽住英一郎監督によるこだわりの演出が目を引いた。

ケーキや骨董品はファンタジーを思わせるほど美しく、ハンサムなスタッフたちの魅力が引き出され、タイプライターや時計などの音にもこだわる徹底ぶりで、店だけでなく作品全体で独特の世界観を創出。さらに、各話10曲超にわたってMr.Childrenの楽曲を使用するという異例の選曲も含め、斬新なプロデュースが話題になった。これほど特定のアーティストで統一されたドラマは記憶になく、その意味でも今なお記憶に残る作品となっている。

現在は芸能界を引退して見られない滝沢の演技も見どころの一つ。「クールなイケメン」がそろう中、滝沢だけは不遜でだらしないキャラクターを熱量たっぷりに演じて主演らしい存在感を放つとともに、男性視聴者への間口を開いた感があった。

椎名は偏屈なボンボンながら幼少期の事故、藤木は天才的な腕を持ちながらも勤務店を解雇されるなどの悲しい過去を背負う人物を好演。阿部は物陰に隠れながら長身とあやしさでバレてしまう人物を演じたが、押しも押されもせぬ主演俳優になる目前の時期だけに、今では貴重な姿と言っていいだろう。それにしてもメインの4人は23年を超えた今、あらためて映像を見ても全く違和感のないほどの格好良さに驚かされる。

同じ原作者・よしながふみのドラマ化では19年・23年放送の『きのう何食べた?』(テレビ東京)もあり、こちらも美食+イケメンだけに2つ続けて見るのも面白いかもしれない。両作ともに今後も時を超えて愛されるであろう、スタッフとキャストが想いを込めて丁寧に作ったドラマであることは確かだ。

日本では地上波だけで季節ごとに約40作、衛星波や配信を含めると年間200作前後のドラマが制作されている。それだけに「あまり見られていないけど面白い」という作品は多い。また、動画配信サービスの発達で増え続けるアーカイブを見るハードルは下がっている。「令和の今ならこんな見方ができる」「現在の季節や世相にフィットする」というおすすめの過去作をドラマ解説者・木村隆志が随時紹介していく。

木村隆志 きむらたかし コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者、タレントインタビュアー。雑誌やウェブに月30本のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組にも出演。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもある。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』など。 この著者の記事一覧はこちら
(木村隆志)



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