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アルマ望遠鏡、原始惑星系円盤の磁場の構造や強度の観測に初成功

マイナビニュース / 2025年2月7日 18時50分

今回観測されたHD 142527は、惑星形成の誕生現場である原始惑星系円盤があり、その北側に塵が多く集まっており、ここで惑星の形成が進んでいると考えられている。これまで波長0.9mm、1mm、2mmで観測されていることから、今回は3mmによる観測が行われ、4種類のデータを用いての偏光メカニズムの研究が行われた。その結果、この円盤の南側の塵が少ない領域では、観測波長すべてで同じ偏光パターンを示すことが判明。偏光ベクトルが円盤の動径方向にそろい、10%以上の高い偏光度を示すという特徴的な偏光パターンは、磁場によって生み出されていることが示されているとする。

さらに磁場を詳細に調べたところ、円盤の回転方向に沿って磁場の方向が少し変動していることが発見された。この変動は磁場の三次元構造が原因であると考えられ、回転方向の磁場は0.3ミリガウスほどの強さを持ち、鉛直方向および中心星の方向の強さは0.1ミリガウスほどであることも確認された。このような磁場の三次元構造によって、この円盤では強い乱流場が作られている可能性も浮上したという。

これまで多数の原始惑星系円盤が確認された中で、このように磁場の詳細な構造が突き止められたのは今回の研究が初となる。一方で、HD 142527のような若い星において、磁場が中心星や円盤の鉛直方向にもある程度の強さで向いていることは理論的に予想されておらず、今後のさらなる研究が必要となる。

今回の研究により、原始惑星系円盤で磁場が観測される条件が明らかにされ、さらに磁場の3次元構造や強度を見積もる方法が示された。今後の円盤磁場の観測研究に大きく役立つとする。

一方で、地球のような惑星の形成において、強い乱流状態では星間ダストが互いに高速で衝突することで破壊されてしまい、惑星が形成されない可能性がある。今回の観測では中心星から比較的遠くの磁場が観測されたが、地球のような恒星の近くを公転する惑星が形成される場所での磁場を調べることが、今後は重要となるという。今回の成果について研究チームは、磁場が惑星形成にどのような影響を及ぼすのか、今後の研究を導く重要な観測成果としている。
(波留久泉)



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