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知って納得、ケータイ業界の"なぜ" 第187回 事業好調にもかかわらず社長交代を発表したKDDI、AI時代のトップに必要なものとは

マイナビニュース / 2025年2月7日 18時56分

AI関連企業と渡り合うにはグローバルの経験と若さが重要

その理由として高橋氏が挙げていたのが“若さ”である。松田氏は53歳と、高橋氏と比べるとおよそ10歳若返ることになるのだが、時代の変化に対応する上ではその若さが重要な意味を持つようだ。

過去を振り返るに、田中氏が社長に就任した時はフィーチャーフォンからスマートフォンへというデバイスの変化を迎えた時期、高橋が就任した時は携帯電話事業の軸がネットワークインフラからサービスに移る時期でもあった。市場のパラダイムシフトに合わせて若い社長へとバトンタッチするというのがKDDIのセオリーだったといえる。

そして現在、新たなパラダイムシフトとなっているのはやはりAIだろう。KDDIも最近ではELYZAの子会社化やシャープ堺工場跡地へのデータセンター構築に向けた基本合意書を締結するなど、モバイル通信以上にAI関連事業への積極投資が目立っている。

そして高橋氏は、「AI(関連企業)の人達と話をすると、みんな若い」と話している。AIは新しい技術ということもあって、それに取り組む企業も若い経営者が多い。国内外の若い経営者が運営するAI関連企業と渡り合っていくには、語学力などグローバルで通用するセンスに加え、技術や知識などの面でも若いセンスが必要と高橋氏は考えたようだ。

その点松田氏は技術畑の出身であり、なおかつ米アップルや米グーグルなどの大手IT企業との関係構築に携わってきた経験を持つ。最近ではスペースXとの提携に大きく関わり衛星通信の「Starlink」を活用した事業展開に大きく貢献しており、それら経験が買われての社長起用となったようだ。

では松田氏の体制で、KDDIはどのような事業強化を図ることになるのだろうか。これまでの他社の傾向を見るに、社長就任までの経歴が事業にも色濃く反映される傾向が強いように感じている。

例えばソフトバンクは2021年に、現在の代表取締役社長執行役員兼CEOである宮川潤一氏が就任しており、技術畑の宮川氏らしくネットワークやIT技術を生かした「次世代社会インフラ」構想を打ち出すなど、営業力で成長してきた同社の事業に変化を与えている。一方でNTTドコモは2024年に前田義晃氏が代表取締役社長に就任しているが、前田氏はコンテンツやサービスの事業を長く手掛けていたこともあり、スタジアム運営やエンタテインメントの興行など、コンテンツサービス関連の事業強化に動いている。

そして松田氏も技術畑の出身ということ、そしてAI時代の変化を意識した交代ということもあって、やはりAIを主体とした技術を生かしたサービス開発に注力するものと考えられる。それに加えて松田氏は、スペースXをはじめとした海外企業とのつながりを持つだけに、海外企業の技術を積極的に取り込みつつ、国内向けにアレンジすることでサービス拡大へつなげていくなど、高橋氏の路線をある程度継承していくことになるのではないかと筆者は予想する。

ただ現時点ではまだ松田氏は社長に就任しておらず、松田氏の体制によるKDDIの方向性が見えてくるのはやや先となる。まずは4月の社長就任以降、KDDIがどのような変化を見せるのかを見守っておきたい。
(佐野正弘)



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