科学者のフィールドワークが生んだ異色の映画音楽を解体 「『AKIRA』の音 不朽のアニメ映画を彩る未知のサウンド」
NeoL / 2021年4月7日 12時0分
(C)1988 マッシュルーム/アキラ製作委員会
日本科学未来館は、2021年3月29日(月)から、常設展3階「未来をつくる」のギャラリー、零壱庵(ゼロイチア ン)(※)の新展示「『AKIRA』の音 不朽のアニメ映画を彩る未知のサウンド」を公開。映画「AKIRA」の音楽は、作曲家独自の制作手法とフィールドワークで収集した世界の民族音楽手法をもとに生まれ、「AKIRA」ならではの世界観を支えている。本展示では、その制作背景を展示映像で読み解き、高解像度の音体験を提供。
1988年公開の映画「AKIRA」は、大友克洋による漫画が原作のアニメーション作品。その舞台となる2019年の混沌としたネオ東京は、現在の東京と重なる部分がある。そして緻密な筆致による画風は、その後の漫画やアニメ作品に多大な影響を与えた。また、山城祥二(芸能山城組主宰)作曲のサウンドトラックは海外で近年再発売されるほど人気だ。
「AKIRA」の音楽を制作した山城(本名:大橋力)は、自然科学者としてホモサピエンスのとるべきライフスタイルとは何かを探る研究を行いながら、音楽の専門教育を受けないまま芸能山城組を創立して音楽活動をしていた。その活動の中で大友監督からの依頼を断り切れず、映画音楽を勉強しながら制作することに。この映画音 楽の制作のためサウンドモジュールという方式を考案し、世界中のさまざまなコミュニティを巡るフィールドワークで実際に体験した音(声や民族楽器など)を使い、既存の映画音楽とは異なる作品が成立した。作曲家という立ち位置だけでなく研究者の視点ももつという、いままでにない観点による音楽制作の背景を展示で読み解く。
展示内では、映像制作・堀田英仁、アートディレクション、デザイン・安田昂弘の指揮のもと、3面にプロジェクターで投影する映像によって制作背景を紹介。山城自身が設計した可聴域以上をも再生可能な6台のスピーカー によるサラウンドの音を体で感じることができる。高解像度の音体験をお楽しみあれ。
[山城祥二] 科学者/作曲家。1933 年、栃木県生まれ。東北大学農学部農芸化学科卒業。文部省放送教育開 発センター教授等を経て、公益財団法人国際科学振興財団情報環境研究所所長。文明科学研究所所長。
[堀田英仁] 映像作家。1988 年生まれ、東京出身。明治大学卒。作る作品は、ドキュメンタリー、MV、CM など。
[安田昂弘] アートディレクター/グラフィックデザイナー。クリエイティブアソシエーション「CEKAI」所属。
※零壱庵は、アート作品を通して、科学技術とともに変わり続ける人の認識や社会について考えるギャラリー。
零壱庵 「『AKIRA』の音 不朽のアニメ映画を彩る未知のサウンド」
2021年3月29日(月)〜
日本科学未来館3 階 常設展示ゾーン「未来をつくる」
10:00~17:00 (入館券の購入は閉館時間の 30 分前まで)
大人 630円、18歳以下 210円
※オンラインによる事前予約が必要です
総合監修 伊東順二(東京藝術大学 COI拠点 特任教授)
特別協力 芸能山城組(山城祥二、仁科エミ)
企画制作 日本科学未来館
日本科学未来館
〒135-0064 東京都江東区青海2-3-6 TEL:03-3570-9151 FAX:03-3570-9150 URL:https://www.miraikan.jst.go.jp/
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