イメージのありかたを「描く」ことと「残す」ことの関係から再考する。熊倉涼子と岡田舜による二人展「S(ch)ein」
NeoL / 2023年2月8日 12時0分
TAV GALLERY では、熊倉涼子と岡田舜による二人展「S(ch)ein」を 2月10日(金)~ 26日(日)の期間で開催。本展覧会では、二人の画家の作品を通して、イメージというもののありかたを「描く」ことと「残す」ことの関係から再考することを試みる。
熊倉涼子は、天文学や占星術、錬金術などの科学史的なテーマや、宗教や神話に登場するモチーフを題材に、だまし絵や画中画の方法で絵画を制作。現存しない、あるいは架空の対象を描いた過去のイメージを、現代的な世界観と同列に並置したり、描かれた対象だけでなく、ドローイングやペインティングといった、対象を描く技法をも対象化したりすることで、人類の歴史において生み出されてきた様々な表象が相対化される。それは、イメージというものが、うつろいやすく一時的なものにすぎない一方で、絵という物質のかたちで残るという前提に立っていると言える。
岡田舜は、レトロゲームのバグ画面を再現した絵画を制作している。ただし、単にバグが起きたときの画像を機械的に絵具に置き換えているのではなく、そのとき内面に生じる感覚や感情を含めた体験を表現し、保存しようとしているのだ。その独特の筆触は、ファミコンを接続していたブラウン管テレビの放つ光の質感を想起させるが、技術の進歩とともに使われなくなる装置と結びついた身体感覚が失われつつあるということも、岡田の作品の根底にある。 キャンバスに油絵具という素材は最も頑丈な形式のひとつであり、「絵に描く」ことで「残す」ことができる一方、現象としてのイメージは儚いものであり、残すことはできないとも考えられる。イメージのもつ「存在」(Sein)としての側面と「仮象」(Schein)としての側面との両方を、それぞれ異なるニュアンスで捉える熊倉涼子と岡田舜の作品は、私たちにとってイメージとは何か、そして絵画とは何かを考える契機になるだろう。
熊倉涼子 x 岡田舜「S(ch)ein」
会期:2023年2月10日(金)- 2月26日(日)
会場:TAV GALLERY(東京都港区西麻布2-7-5 ハウス西麻布4F)[080-1231-1112]
時間:13:00 – 20:00
休廊:月、火
レセプションパーティ:2022年2月10日(金)18:00 – 20:00
web:http://tavgallery.com/schein/
参加作家プロフィール
熊倉涼子 KUMAKURA Ryoko
1991年 東京都生まれ
2014年 多摩美術大学美術学部絵画学科油画専攻卒業
個展
2022年 「Mitákuye Oyásʼiŋ」(GALLERY ROOM・A)
2022年 「Transient Images」日本橋三越本店美術サロン
2022年 「Merkmale」RED AND BLUE GALLERY
2019年 「coniunctio」MEDEL GALLERY SHU
2018年 「Pseudomer」RED AND BLUE GALLERY
2016年 「PICTOMANCY」RED AND BLUE GALLERY
2013年 「Frame In-out」GALLERY KINGYO
受賞、その他
2021年 第34回ホルベイン・スカラシップ奨学生
2019年 群馬青年ビエンナーレ 入選
2017年 FACE2017 損保ジャパン日本興亜美術賞 入選
2014年 多摩美術大学卒業制作展 福沢一郎賞
2013年 平成25年度 日本文化藝術財団奨学生
2011年 第47回神奈川県美術賞 準大賞受賞
https://www.kumakuraryoko.com/
岡田舜 OKADA Shun
1992年 茨城県生まれ
2016年 東京造形大学美術学科絵画専攻領域 卒業
2017年 多摩美術大学大学院美術研究科修士課程 修了
個展
2023年 「stage」(京都岡崎 蔦屋書店)
2022年 「Ut0p1a」(CALM & PUNK GALLERY)
2021年 「under/stand」(commune gallery)
2020年 「砂嵐」(commune gallery)
2019年 「RETROJECTIVE」(TAV GALLERY)
https://shunshon.tumblr.com/
関連記事のまとめはこちら
https://www.neol.jp/art-2/
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