科学、物語、地元の人々との交流、気象データを融合させた、エレナ・ノックス 個展 「あざらし話」
NeoL / 2023年5月19日 12時0分
《あざらし話》 2020
7-channel video installation with robot performance ©︎Elena Knox
ANOMALYでは、2023年6月3日 (土) − 6月24日 (土)、エレナ・ノックス個展 「あざらし話」を開催。
エレナ・ノックス(b1975-)は、デジタル・メディアやパフォーマンス、立体、音楽、インスタレーションなど様々な表現形態を用い、われわれの人間社会に潜む問題を掘り起こし、その姿をユーモラスに、そしてアイロニカルに作品として提示するアーティスト。
国内における発表は2019年「未来と芸術展:AI、ロボット、都市、生命 −人は明日からどう生きるのか」(森美術館、東京) での人間型ロボット (アクトロイド) と人間が演じる老いをテーマにしたビデオ作品《Pathetic Fallacy (感傷的虚偽) 》、2020年「ヨコハマトリエンナーレ」(神奈川) でのセックスレスのエビのための観客参加型のプロジェクト《ヴォルカナ・ブレインストーム (ホットラーバ・バージョン) 》、そして昨年2022年には「ICCアニュアル 2022 生命的なものたち」(NTTインターコミュニケーション・センター、東京) において、ホログラムとして表示されるAIキャラクターとノックス自身との関係を進行形で鑑賞できるインスタレーション《The Masters》を発表した。
ノックスのANOMALYでの初個展となる本展では、昨年「大地の芸術祭 越後妻有2022」で発表した、コンパニオンAIロボット 「パロ」* と7チャンネルの映像で構成されるインスタレーション《あざらし話》を再構築する。
《The Masters》 2021
Interactive installation, Gatebox, live stream, soft furnishings (variable) ©︎Elena Knox
「ICCアニュアル2022 生命的なものたち」展示風景、NTTインターコミュニケーション・センター(ICC)、東京、2022
撮影:木奥惠三 Courtesy of NTTインターコミュニケーション・センター(ICC)
《あざらし話》でノックスは、人の心を癒すために開発されたタテゴトアザラシのAIロボット「パロ」と共に、東京から北極圏までの長い旅にでました。近代化以降、人々の営みによりオゾン層は破壊され、「地球温暖化」は深刻化の一途をたどる中、北極圏で強烈な日差しに晒される生身のアザラシたち、刻々と溶けゆく北極圏の氷、そんな状況を目にするロボット「パロ」は何を思うのだろうか。そして「パロ」とノックスの旅を通してその変わりゆく世界を見るわれわれは何を感じるのだろうか。
《あざらし話》 2020
7-channel video installation with robot performance ©︎Elena Knox
科学、物語、地元の人々との交流、気象データを融合させたこの《あざらし話》では、人間、環境そして機械(ロボット)の関係性と、感覚的な現象を理論化するメディアとしての存在をパロの中に見出している。
エレナ・ノックスは、本作のような社会問題を積極的に扱った作品を制作しますが、彼女の作品の特徴は、その問題の構造の解体を試み、歪さを露出し、その結果鑑賞者に(当たり前だと思っていた) その構造に違和感を生じさせ、複雑な感情を抱かせるところにある。例えばジェンダー問題を扱う際には「女性の地位向上」、「性差別反対」といった標語化/表象化を行うのではなく、女性に(社会が)与えている「記号」を解体する作業を行います。人間が創り、手に負えなくなったそのシステムの解体を、同じく人間が創りしロボットやテクノロジーを多用して試みるのだ。
また本展では、コロナ発祥の地と言われる中国・武漢の廃墟となったホテルのプールで撮影した作品《Chinoiserie(ode to Wuhan)》(2019) も併せて国内初公開。本作では発展著しい同地の、新旧入り混じる混沌とした中国社会が捉えられ、建物の外からは人々の生活の有様が聞こえる中、映像は進行する。《あざらし話》での北極圏での映像と併せ見ることで、「発展」という名のもとに行う人間の行為の虚しさも感じることだろう。
既存のシステムが綻びをみせ、従来の価値観が揺らぐいま、多角的で開かれた視点をもち、重層的なコンセプトを忍ばせるエレナ・ノックスの世界を堪能してほしい。
《Chinoiserie (ode to Wuhan)》 2019
Digital video, stereo, 18min 13sec ©︎Elena Knox
エレナ・ノックス 個展
「あざらし話」
会期:2023年6月3日 (土) − 6月24日 (土)
〒140-0002 東京都品川区東品川1-33-10 Terrada Art Complex 4F
tel & fax 03-6433-2988
火 − 土 12:00 − 18:00
日月祝休廊
http://anomalytokyo.com/
*パロ:
国立研究開発法人 産業技術総合研究所 (産総研) の柴田崇徳 教授 開発
心に働きかける「メンタルコミットメントロボット」2002年にギネス世界記録によって「世界で最もすばらしいセラピーロボット」に選ばれる
協力:
国立研究開発法人 科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業(CREST)、早稲田大学、ギャラリースバールバル諸島、越後妻有 大地の芸術祭の里、オーストラリアハウス、豪日交流基金、オーストラリア大使館(東京)
関連記事のまとめはこちら
https://www.neol.jp/art-2/
外部リンク
- 科学、物語、地元の人々との交流、気象データを融合させた、エレナ・ノックス 個展 「あざらし話」
- 資本主義の後の世界「ポスト・資本主義」との向き合い方について提示。ステファン・ブルッゲマン、オリオール・ヴィラノヴァによる展覧会「Economy and Love」
- 「完璧な瞬間」でありながら遠い場所のドキュメント。山内 聡美 写真展「WHEREABOUTS」
- Apple社のオリジナルマグカップに採用され注目を集めたHASAMI PORCELAINによるART MUG 第二弾、写真家・平野 太呂とコラボレーション
- 藝大アーティストが考える「アートと神」とは? 藝大アートプラザ 企画展「藝大神話ーGEISHIN」開催
この記事に関連するニュース
-
動物に影響を与える環境問題を考える ズーラシアで企画展
カナロコ by 神奈川新聞 / 2024年7月16日 11時45分
-
氷河の水で作ったシングルモルトシリーズの最新作「人間の世界 ミッドガルド」
マイナビニュース / 2024年6月26日 13時28分
-
人間国宝・野村万作による袴狂言『釣狐』8K映像作品をNTTインターコミュニケーション・センター[ICC]にて上映 ―文化勲章受章記念上映―
PR TIMES / 2024年6月21日 17時45分
-
河村康輔をイベントディレクターに迎え、GUCCIMAZE、池内啓人、岡﨑龍之祐、玉山拓郎が参加。アートエキシビション「JOHNNIE WALKER BLUE LABEL with Kosuke Kawamura “Blend of Artistry”」
NeoL / 2024年6月20日 20時0分
-
ヨーロッパで即完売続出!氷河の水で作ったシングルモルト最新作のクラウドファンディングを6月30日(日)まで実施
@Press / 2024年6月20日 9時30分
ランキング
-
1去勢された「宦官」は長寿集団だった…女性の寿命が男性よりもずっと長い理由を科学的に解説する
プレジデントオンライン / 2024年7月18日 8時15分
-
21日5分で二重アゴ&首のシワを解消!魔法の顔筋トレ「あごステップ」HOW TO
ハルメク365 / 2024年7月17日 22時50分
-
3「ユニクロ・GU・COSのTシャツ」全部買ってわかった“本当にコスパが高い傑作アイテム”
日刊SPA! / 2024年7月17日 18時37分
-
4ロシア軍の対空ミサイルを「間一髪で回避」ウ軍のドローンが“マトリックス避け”を披露 その後反撃
乗りものニュース / 2024年7月17日 11時42分
-
5結婚相談所は知っている「いつまで経っても、結婚できない男女の“意外な問題点”」
日刊SPA! / 2024年7月18日 15時50分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)