現実と幻想、現代性と土着性。岡田杏里による個展『目をつぶって、本のように 地層を開く』
NeoL / 2023年6月6日 12時0分
横浜マリンタワー2階のアートスペースにて、アーティスト・岡田杏里の個展『Cerrar los ojos, abrir las capas de la tierra como un libro / 目をつぶって、本のように 地層を開く』が6月1日(木)から6月30日(金)まで開催。
メキシコ、グアテマラへの留学や研修を経験した岡田は、その土地に息づく先住民の神話や詩、非日常の風景など、独特の文化に深く触れながら精力的にジャンルを超えた作品を生み出してきた。
メキシコでの滞在を通じて「同じ空間の中に原始の世界から現代社会までが共存し、街中でもジャングルの村でも、時折幻を見ているかのような不思議な気分になる」と語る岡田の作品には、メキシコの風⼟と⽂化から受けた影響が表れている。
本展では、2019年から2022年にメキシコと日本で制作された絵画作品の中から近作48点を展示。
アーティスト・ステートメント
ある日、メキシコシティで暮らしていたアパートの壁の一部が剥がれ落ち、そこから青い壁が顔を覗かせた。わたしはそこに何層にも重なっているペンキの層がまるで地層のようだと思った。昔ここにあった風景、人々の記憶がそこにある気がした。
ある日、移動中の車の中、外を見たらひらひらと小さな黄色い蝶が一頭飛んでいた。どこからきたのか。わたしはその時灰色の風景の中に突如現れた黄色い蝶に大いなるものを感じた。
風景が語りかけてくる。
わたしはその声に耳を澄ます。
本展では、暮らしと旅のなかで記憶に残った風景、詩や言葉、神話や伝説を基に描いた作品を、一冊の記憶の本というイメージで構成した。わたしは作品の中で、現実と幻想、現代性と土着性をテーマに、光と影、生と死など相反する事柄が交錯する世界を表現したいと思っている。
岡田杏里
岡田杏里
1989年埼⽟県生まれ。2016年東京藝術大学大学院美術研究科を終了。2014年に⽯橋財団国際交流油画奨学生としてメキシコ、グアテマラへの留学、2016年ポーラ美術振興財団在外研修員としてベラクルス州立大学美術研究所(メキシコ)での研修を経て、2021年吉野石膏美術振興財団在外研究員としてはメキシコにて研修。現在は日本とメキシコを拠点に活動している。
国内外での個展、グループ展、滞在制作のほか、2014年以降は壁画アートプロジェクト「ヘキカキカク」を通じてメキシコ、グアテラマ、ネパールなど世界各国でパブリックアートとしての壁画を制作するなど、多方面で活躍をみせる。「現実と幻想」「現代性と⼟着性」をテーマに、現代社会への違和感や現実世界で起こる様々な事象、訪れた⼟地の⽂化や風習、⾮日常の風景、先住⺠の神話や詩などを⾏来しながら、絵画、壁画、インスタレーション作品の制作を⾏う。
主な近年の展示会に、「Sonar dentro de la tierra/土の中で夢をみる」(ポーラ美術館アトリウムギャラリー/2022)、個展「El yo y el Yo」(銀座 蔦屋書店 GINZA ATRIUM/2020)、「房総里山国際芸術祭いちはらアートミックス2020+」(月出工舎/2021)などがある。2016年杜賞受賞。
岡田杏里『Cerrar los ojos, abrir las capas de la tierra como un libro / 目をつぶって、本のように 地層を開く』
期間|2023年6月1日(木)~6月30日(金)
時間|10:00~22:00
会場|横浜マリンタワー2F アートギャラリー
入場|無料
企画協力|CCCアートラボ
【横浜マリンタワー施設概要】
所在地:神奈川県横浜市中区山下町14番地1
展望営業時間:デイチケット入場時間午前10時~午後6時(午後5時半最終入場)、ナイトチケット入場時間午後6時~午後10時(午後9時半最終入場)
WEBサイト:https://www.marinetower.yokohama/
関連記事のまとめはこちら
https://www.neol.jp/art-2/
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