アーロン・ファウラー、アレックス・アンダーソン、エイプリル・ストリート、デヴェンドラ・バンハート、エリン・デズモンド、セ イヤー・ゴメス。ロサンゼルスの多様な都市景観を共に探求し、精力的に表現してきたアーティストたちによる「SYNTH」展
NeoL / 2023年6月27日 20時0分
アーロン・ファウラー、アレックス・アンダーソン、エイプリル・ストリート、デヴェンドラ・バンハート、エリン・デズモンド、セ イヤー・ゴメス。ロサンゼルスの多様な都市景観を共に探求し、精力的に表現してきたアーティストたちによる「SYNTH」展
Gallery COMMON では、グループ展「SYNTH」を2023年7月1日から30日まで開催。本展は、ロサンゼルスを拠点にするインディペンデントキュレーターAMADOURが手がけ、アーロン・ファウラー、アレックス・アンダーソン、エイプリル・ストリート、デヴェンドラ・バンハート、エリン・デズモンド、セイヤー・ゴメスの合計6名のアーティストによる作品を展示する。
「SYNTH」展には、ロサンゼルスの多様な都市景観を共に探求し、精力的に表現してきたアーティストたちを集めている。絵画、彫刻、陶器、写真を用いて南カリフォルニア州の豊かな自然の地形や都市の視 覚文化、映画のようなロマン主義を展示する本展は、こうした景観を東京に紹介するような役割をもつだろう。
Aaron Fowler. El Camino. 2016-17. Courtesy of the artist.
アーロン・ファウラーは、捨てられた日用品を素材に巨大な作品を制作している。その作品の中心的なモチーフに「靴」がある。これは、彼のアイデンティティを同定するアフリカ系アメリカの文化とヒップホップ文化において重要な意味を持つひとつのシンボル。今回の展示では、ヒップホップと原宿ファッションの結びつきに対するオマージュとして長さ2メートルの靴を制作したほか、原宿の近所で見つけたエル・カミーノを壁面彫刻 にした。この彫刻作品は、東京で調達した車の部品で作られ、それらを、ファウラーが実際に原宿の屋上で描いたその街の空と建物の風景画が補強している。
Sayre Gomez. World 1. 2022. Silkscreen print. 121.90 x 91.45 cm.
Erin Desmond. 2023. Print on wood. 30.48 x 45.72 x 6.4cm.
Devendra Banhart. Vajra Heels. 202. Oil on canvas. 40.64h x 30.48w cm.
セイヤー・ゴメスとエリン・デズモンドは、ロサンゼルスの風景を描いてきた自分たちの作品を通じて、原宿の街並みを描いた絵画に応答しようと試みる。ゴメスの作品がロサンゼルスの人工的な側面に視線を向けるのに対して、デスモンドの写真では、裸体がカリフォルニアの夕焼けや草木をアーチ状に囲い、私たちを自然へと引き戻す。
April Street. The Whistler’s Garden at 6a.m. 2023. Watercolor, Flashe, scratched into fresco-style archival mediums on canvas. 186.06 x 122.5 x 12.7 cm. Courtesy of the artist.
Alex Anderson. Black Heart. 2017. Stoneware, porcelain, glaze. 43.2 x 25.4 x 22.9 cm.
エイプリル・ストリートの作品は、デズモンドの写真作品に続くかたちで、ロサンゼルスの牧歌的な色調と呼応しながら鮮やかな植物の生い茂る幻想的なジャングルに私たちを引き込む。その一方、アレックス・アンダーソンはどちからといえばゴメスの見方に近く、彼の作品にも反映されているだろう。一見かわいらしく見える彼の陶器は、よく見ると暗いモチーフによって私たちを裏切り、大都市が提供する華やかだけれども、浅はかなライフスタイルについて考えさせる。ベネズエラ系アメリカ人ミュージシャン兼アーティストのデヴェンドラ・バンハートの作品は、社会と私たち個人の関係を力強い図面で描いており、情緒的で精神的な仕方で本展の最後のピースをはめてくれる。
ロサンゼルスと原宿という二つの都市は、自由と自己表現の理想郷というステレオタイプの認識を共有しているために、文化の重要なミューズのような場所であるという独特な特徴をどちらも持っている。多くの人々が、インスピレーションを得るため、あるいは夢を追い求めるために、両都市に集まり続けている。外からの影響やインフラの変化によって両都市が変貌するなか、創造的な都市の核となるものが一体何なのかを再考することはこれまで以上に重要。本展が、アートを通じて両都市を繋げるとともに、それぞれの特徴を考えるきっかけになれば。
Devendra Banhart Alex Anderson
ABOUT THE ARTISTS
AARON FOWLER / アーロン・ファウラー
1988年アメリカ、ミズーリ州セントルイス生まれ。ロサンゼルスとセントルイスを拠点に活動。ファウラーの巨大な絵画、彫刻、インスタレーションは、廃棄された日用品から作られ、自分自身や愛する人の人生に起きて欲しい出来事や行動を描いている。また、「N2EXISTENCE」という地元のアートを支援する地域一体型のプロジェクトも運営。作品はこれまでハマー美術館(ロサンゼルス)、ニュー・ミュージアム(ニューヨーク)、Saatchi Gallery (ロンドン)、 Salon 94 (ニューヨーク)などで発表している。
ALEX ANDERSON / アレックス・アンダーソン 1990年アメリカ、ワシントン州シアトル生まれ。ロサンゼルス在住。日系・アフリカ系アメリカ人であり、そしてゲイのアイ デンティティを持つアンダーソンは、アメリカにおけるアイデンティティ・ポリティクスやセクシュアリティの問題も意識しながら陶芸作品を制作している。バロック美術や日本のポップアート、現在流行っているファッションやデザインからの影響がみられ、一見すると遊び心に溢れる作品は、西洋社会が非西洋圏文化やマイノリティ文化に向ける眼差しに対して根本的な問いを投げかける。アンダーソンは、中国の景徳鎮にある景徳鎮陶芸大学で学び、杭州の中国美術アカデミーとの提携でフルブライト奨学金を授与された。彼の作品は、ロング・ビーチ美術館とアメリカン・ミュージアム・オブ・セ ラミック・アートで展示されている。
APRIL STREET / エイプリル・ストリート
1975年アメリカ、バージニア州生まれ。ロサンゼルス在住。ブロンズ鋳造を中央イタリアで、絵画をシカゴ芸術学院で学ぶ。ストリートは素材による実験を通じて、冒険や神話というテーマを思考し、さらには、第二波フェミニズムや17世 紀オランダの静物画といった歴史的運動を参照して制作を行っている。最近の展覧会では、サンタ・バーバラ美術館(アメリカ)、Various Small Fires(ロサンゼルス)、The Underground Museum(ロサンゼルス)などがある。
DEVENDRA BANHART / デヴェンドラ・バンハート
1980年アメリカ、テキサス州ヒューストン生まれ。ロサンゼルス在住。バンハートは、2000年代の「フリーク・フォーク」 と「ニュー・ウィアード・アメリカ」という音楽史のムーブメントの先駆者としてもっとも知られている著名なミュージシャンであるが、その音楽的追求の傍らで、ペインティングやドローイングも行ってきた。これまで、MoMA(ニューヨーク)、 MoCA(ロサンゼルス)、 ハマー美術館(ロサンゼルス)、LACMA(ロサンゼルス)、The Broad Museum(ロサンゼルス)などで公演を行っている。
ERIN DESMOND / エリン・デズモンド
1985年生まれ。ロサンゼルスを拠点に活動。写真、彫刻、インスタレーション、パフォーマンス、ソマティック・ヒーリング (SE療法)の方法論を用いて、女性性の治癒、接続、回復をもたらすような体験を創り出す。UCLAで学士号、イェールで修士号を取得後、非営利団体Somatic Experiencing Internationalでさらに研究を重ねる。これまでフラッグ・アート財団(ニューヨーク)、Diane Rosenstein Gallery(ロサンゼルス)、Barcú(ボゴタ、コロンビア)などで作品を発表している。
SAYRE GOMEZ / セイヤー・ゴメス
1982年アメリカ、イリノイ州シカゴ生まれ。ロサンゼルス在住。ゴメスの絵画や彫刻、そして映像作品は、ハリウッドの背景幕や商業的な看板、自動車の塗装などを参照し、主にロサンゼルスという都市を舞台にしたり主題にしたりすることで、知覚と表象をめぐる問いを投げかける。シカゴ美術館附属美術大学で美術学士号、カリフォルニア芸術大学で修士号を取得。作品はこれまで、LACMA(ロサンゼルス)、ハマー美術館(ロサンゼルス)、ルーベル・ファミリー・コレクシ ョン(マイアミ)の常設展示で発表されている。
ABOUT THE CURATOR
AMADOUR / アマドール
1995年アメリカ、ネバダ州スパークス生まれ。ロサンゼルスとニューヨークを拠点に活動。絵画、音楽、彫刻、パフ ォーマンスを手がけるインディペンデント・キュレーター、アーティスト、ライター、そしてミュージシャンでもある。雑誌『Frieze』『The Brooklyn Rail』『Cultured Magazine』のライターとして、ジョージ・コンド、ウィリアム・ケントリッジ、ジュリアン・レノンなどのアーティストにインタビューを行ってきた。ミュージシャンとしては、デビューEP 『Western Movie Dream』を最近リリースし、評価を受けている。2018年にUCLAの芸術&建築学部で舞台美術 と美術史の学士号を同時に取得。国際美術評論家協会(AICA)のメンバーでもある。
「SYNTH」
Aaron Fowler, Alex Anderson, April Street, Devendra Banhart, Erin Desmond, Sayre Gomez
Curated by AMADOUR
2023年7月1日(土)~7月30日(日)
開廊時間: 12:00-19:00 (水~日) *月、火 休廊
オープニングレセプション: 6月30日(金)19:00-21:00
Gallery COMMON
住所:150-0001東京都渋谷区神宮前5-39-6 B1F
関連記事のまとめはこちら
https://www.neol.jp/art-2/
外部リンク
- ジュリア・チャンの4年ぶりとなる新作個展「Remember That Time When What」
- 「グッチ銀座 ギャラリー」をオープン。羽生結弦をフィーチャーした写真展を開催
- アーロン・ファウラー、アレックス・アンダーソン、エイプリル・ストリート、デヴェンドラ・バンハート、エリン・デズモンド、セ イヤー・ゴメス。ロサンゼルスの多様な都市景観を共に探求し、精力的に表現してきたアーティストたちによる「SYNTH」展
- 花井祐介が6年分の思いを込めた個展『PebbLes AND RiPPLes』を開催
- グラスゴー在住のアーティスト Al Whiteによる日本初個展 “Auto Outer Rail”
この記事に関連するニュース
-
「Made in 青森 −自然と歴史の交差点」開催のご案内
PR TIMES / 2024年12月25日 14時45分
-
大阪に印象派の作品が大集合!モネ『睡蓮』も並ぶ展覧会は、火~金の17時以降なら撮影OKで今だけプレゼントも
isuta / 2024年12月13日 16時45分
-
日本で印象派が人気な理由とは? 西洋のサロンを震撼させた「浮世絵の構図法」
PHPオンライン衆知 / 2024年12月5日 12時0分
-
【銀座 蔦屋書店】ユーモアと想像力を散りばめて社会風刺に満ちた世界観を描くアーティスト、大岩オスカールの個展「ライトショップ」を12月21日(土)より開催。20日(金)夜にはトークイベントも決定。
PR TIMES / 2024年12月3日 13時45分
-
【新宿高島屋】かつてオネアミスの翼(山賀博之監督)で仕事をし世界中で高い評価を受けた『大西信之 の世界ーTimeless World of Light&Shadowー』12/18(水)~ 作家来場決定
PR TIMES / 2024年12月2日 10時15分
ランキング
-
1新幹線の帰省ラッシュは“地獄”。泣き出す子供、指定席なのに「譲っていただけませんか?」に困惑
日刊SPA! / 2024年12月28日 8時53分
-
2Wi-Fiルーターを設置しているのに、あまりネットを使用していない実家の両親。ネット回線を使っていないときも「電気代」はかかっているのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年12月26日 5時30分
-
3「ゴミ屋敷に彼女呼びたい」2時間で片付けた結果 無気力になり依頼してきた男性が見せた"変化"
東洋経済オンライン / 2024年12月28日 11時0分
-
4エアコン暖房「つけっぱなし」と「こまめに消す」どっちが節電になる?プロに聞いた節電方法
女子SPA! / 2024年12月28日 8時47分
-
5圧巻の光景! 陸自唯一の“機甲師団”が射撃競技会開催 大迫力の動画も公開
乗りものニュース / 2024年12月26日 6時42分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください