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人は皆、他人には分からない戦いのさなかにいる。アレックス・カネフスキー日本初個展「The Battle of Shahbarghan」

NeoL / 2024年3月26日 20時0分

人は皆、他人には分からない戦いのさなかにいる。アレックス・カネフスキー日本初個展「The Battle of Shahbarghan」

Alex Kanevsky, Chocorua Sleeper, 2023, oil on wood, 101 x 152 cm, ©︎Alex Kanevsky
 
104GALERIE(東京・中目黑)は2024年4月6日(土)〜5月11日(土)の会期でアレックス・カネフスキー(1963年生まれ、タムワース/ニューハンプシャー、US)の個展「The Battle of Shahbarghan」を開催する。

日本初となるこの個展では最新作のペインティング10点を展覧予定。
 
以下、アーティスト・ステートメント。
 
コロナウィルスが流行していた頃、人と会うことは全くできませんでした。しかしそれは私にとってそんなに難しいことではありません。私がいるニューハンプシャーの山あいの地域は田舎で、人はそんなにたくさんいないのです。森や、湖や、山だけ。
家から出たくなり、次のプロジェクトは屋外で、人のいないところでやろうと思いました。それで家の近くの山の絵を描き始めたのです。野外で、大きな、何か勇壮なスケールの絵を描きたかった。人間より大きなもので、私もこの絵を観る人もみんな包み込むような絵を。あなたの周りにあり内側から体感するような風景です。
私は道具を積んで、車で山の麓にある野原に向かいました。ここではしばしば突風が吹き荒れます。絵が風で飛ばされないように、大きなキャンバスと重たいイーゼルを荷車にベルトで括り付けて制作することにしました。
私は一日中野原で過ごし、山を眺め、絵を描き進めます。奥行きも、光も、色も刻々と変化していきました。
その頃の私の生活にはいろいろなことが起こっていました。良いことも、悪いことも。この世界の全て、私の人生の全て、そしてこの山を囲む風景、何もかもが流動的なもののように感じていました。ただ山は私がここに来る前と何も変わっていませんでしたし、私がいなくなっても同じようにあり続けるのでしょう。だんだん私は山が宇宙の(少なくとも私の宇宙の)中心のように感じ始めました。いわば全てがそのまわりを周っている不動の軸です。それで、絵描きが普通ならするであろう「瞬間を捉え」ようとするのではなく、一瞬いっしゅんのことがまったく関係のない何かを眺めることにしたのです。それは非常に静かで穏やかな時間でした。
この展示でお見せする3枚の山の絵はそのようにしてできました。他の絵もそれぞれのストーリーがあります。私は会話を退屈にするような事柄こそが絵を面白くするのだと心から思っています。人が言葉で表現できるようなことは絵の中では何も成しません。むしろ私が絵という存在で一番愛しているのは、言葉で説明できない何かなのです。
そう言ってしまうとアート・ステートメントを書くのが難しくなりますね。私が説明することができるのは、この絵がどのようにして作られたかという成り行きです。私にとってはこれらの絵はシンプルです。物語を語るわけでもないし、哲学や政治的思想を反映するわけでもない。私は今、自分がどのように山の絵を描いたかを語りました。何が描いてあるのかは、見ることでしか受け取ることができないのです。
-アレックス・カネフスキー
 
展覧会名『The Battle of Shahbarghan -シャバーガンの戦い』とは1646年にインド、ムガール地方で起こったとされる、あまり知られていない戦い。その様子を伝える小さな美しいムガールの絵画が現在メトロポリタン美術館に残されている。『人は皆、他人には分からない戦いのさなかにいる(Everyone we meet is fighting a battle unknown to us.)』という格言について、カネフスキーは私たちのありようをよく表していると言う。本展を構成する10点の作品は互いに関連性がなく、描かれている主題も異なる。それぞれに、外からは分かり得ない紆余曲折や苦しみが内包されているのだ。
今回の展示には、シャバーガンの戦いを伝えるムガールの絵画を下敷きにしている作品もある。
カネフスキーの作品は、メトロポリタン美術館にひっそりと置かれるムガールの小さな絵のように、作品の背景やストーリーそのものよりも遥かに魅力的なものになっているだろう。
さらに本展では、アレックス・カネフスキーの最新作品集『Alex Kanevsky』を限定販売。
4月5日(金)19:00 よりアーティストを囲み、誰でも参加可能なオープニング・レセプションを開催する。
 
【作家プロフィール】
アレックスカネフスキーは、1963年ロシア生まれ。1983年にはアメリカ・フィラデルフィアに移住し、1989年よりペンシルベニア美術アカデミー(ペンシルベニア・US)でペインティングを学んだ。2002年から2017年同校の非常勤講師として学生を指導したり、ウッドミア美術館の公募展の審査員を務めたりと、地域のアートに関する啓蒙・教育にも携わっていた。カネフスキーの作品は、ウッドミア美術館(ペンシルバニア・US)や、サンフランシスコ美術館を構成するリージョンズ・オブ・オーナー美術館(サンフランシスコ・US)などにコレクションされている。

 




Alex Kanevsky, Model with Painting and Mirror, 2024, oil on wood, 61 x 61 cm ©Alex Kanevsky

 
作品集『Alex Kanevsky』
2023年刊行
200+頁、ハードカバー装丁
発行元:DOLBY CHADWICK GALLERY
税込価格17,600円
限定30部、先着順の販売
 



104GALERIE
〒153-0042 東京都目黒区青葉台 1-20-4 FORCE ビル B1F
email: info@104galerie.com
tel: 03-6303-0956
営業時間:11:00 - 17:00
休業日:日曜・祝日 (GW 中は 4/29, 5/3-6 は休業)
website: www.104galerie.com

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