「中身が空っぽ」と批判されてきた女性の表現を「がらんどう」の構造を持つ作品から考える。池田ひとみ、田代葵、中村洋子による展覧会「Empty Inside」
NeoL / 2024年10月24日 12時0分
池田ひとみ
コロ猫 クロッシェレース、樹脂 2024
eitoeikoでは10月19日より11月16日まで、三名の作家による展覧会「Empty Inside」を開催。
糸や紙や金網でつくられた表面だけで成り立ち、がらんどうになった、中身が空っぽの展覧会。その作品を前に、作品の中身とは何かを考える。
池田ひとみ、田代葵、中村洋子ら三人 が作品に用いる素材は、その強度や特徴、成り立ちなどそれぞれ異なるが、素材が導くテーマや性質を利用した作品は、私たちが社会を生きるヒントを与えてくれるのではないだろうか。
池田ひとみは、クロッシェレース(レース編み)を樹脂で固定した作品を制作している。空間の中にものの表層だけを浮かび上がらせたかのような作品は、目には見えないが記憶に残っている思い出のようなものの形 なのかもしれない。素材の軽さも物質とのギャップを感じさせる要素となっている。
田代葵は、商品を購入するたびに貯めていったレシートの紙を織った織地を立体作品として発表。衣食住から学習や娯楽まで、生活の全般に関わる行為を社会の「おもて」側にたとえるならば、その消費の記録、あるいは代償を示し、ある意味「うら」側として発行されるレシートを使って新たな一面を生み出した作品からは、その営為にこめられた幾層もの社会構造が垣間見える。
田代葵
Self Portrait 10
平織り H100×W100×D100 mm 2024
中村洋子は建築材料である、頑丈で重量のある金属メッシュを、柔らかに曲げていき、布地のように軽やかな曲面を描く作品を制作。作品は重力や固さ、強度といった要素を脱臼させて、日常を錯覚させていく。またそこに陶土を付着させ焼き上げる作品からは、年代や技法に対しても思い込みから意外性をもたせている。
中村洋子 ふたたび漂う
金属メッシュ、陶 56×50×41cm 2010-2015
中身が空っぽの中に、何が見えてくるか。そこにこめられているものを想像して楽しんでほしい。
池田ひとみ、田代葵、中村洋子
Empty Inside
www.eitoeiko.com
2024年10月19日(土)~11月16日(土)
開廊:12:00〜19:00
休廊:日月祝
場所:eitoeiko 〒162-0805 東京都新宿区矢来町 32-2
電話:03-6873-3830 |
お問い合わせ ei@eitoeiko.com
池田ひとみ
1983年長崎県生まれ。2006年早稲田大学卒業。クロッシェレース(レース編み)を用いた立体作品を制作している。
毛糸模写 CCC静岡市文化・クリエイティブ産業振興センター 2022、ニャンともならニ ャイ eitoeiko 2022、CATastrophy QiPO メキシコシティ 2023など。
田代葵
1994年兵庫県生まれ。2020年京都市立芸術大学大学院修了。レシートを織ったタペストリーを制作している。都市のポートレイト KUNST ARZT 2022、第 17 回国際タペストリートリエンナーレ Central Museum of Textiles ウッヂ(ポーランド) 2022、織りなすカタチ ギャラリーパウゼ 2023、習慣 KUNST ARZT 2024 など。
中村洋子
1950 年石川県生まれ。1971 年東横学園女子短期大学(現東京都市大学)国語国文学科卒業。 1972 年同家政学科専攻科卒業。陶芸と金属メッシュを加工した作品を制作している。雨引の里と彫刻 2006、08、11、13、15、19、生への言祝ぎ 大分県美術館 2016、加藤亮+中村洋子 House on the sea トキ・アートスペース 2018、来るべき世界:科学技術とAI、人間性 青山学院大学青山キャンパス 2019、桜を見る会 eitoeiko 2021、加藤亮+中村洋子 Brackish water 象の鼻テラス 2023 など。
関連記事のまとめはこちら
https://www.neol.jp/art-2/
外部リンク
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