国内外から約300組が集結。「TOKYO ART BOOK FAIR 2024」開催
NeoL / 2024年11月13日 20時0分
11月28日(木)から12月1日(日)にわたり、東京都現代美術館にて第14回TOKYO ART BOOK FAIR(以下、TABF)が開催。国内外から約300組の出版社、ギャラリー、アーティストが一堂に集まり、アートブックやZINEの魅力を来場者に向けて直接伝える。
ひとつの国や地域に焦点を当て出版文化を紹介する企画「Guest Country」第8弾では、ドイツを特集。日本でも高い人気を博すアーティストのステファン・マルクスやベルリンのアートブックフェア「MISS READ」、老舗出版社「Verlag der Buchhandlung Walther und Franz König」、世界一美しい本を作ると謳われる「Steidl」など、ドイツのアート出版を牽引する多様なブックメイカーたちを紐解く展示を開催する。
そのほかにも前述のマルクスや、「MISS READ」を主宰し、自らもアーティストであるミハリス・ピヒラー、キュレーターの中島点子、書店の「do you read me?!」、クリエイティブエージェンシーの「Studio Yukiko」がキュレーターとなり選書したコーナーでは、現代ドイツのインディペンデント出版シーンを垣間見れるだろう。
東京都現代美術館で12月21日(土)より開催される展覧会「坂本龍一 | 音を視る 時を聴く」に先駆けた「坂本図書分室」による図書にまつわる展示のほか、New Balance、花椿、BEAMS CULTUART、THREEによるスペシャルブースも登場。さらに、トークショーやワークショップ、サイン会、ライブパフォーマンス、地域連動企画「ネイバーズ」など多様なプログラムを展開し、全ての参加者の方たちとともに、進化を続けるアートブックの現在地と可能性を探求するプラットフォームを目指す。
TOKYO ART BOOK FAIR 2024
会期・時間:2024年11月28日(木)12:00-19:00 最終入場時間:18:30
2024年11月29日(金)- 12月1日(日)11:00-18:00 最終入場時間:17:30
会場:東京都現代美術館 企画展示室B2F、エントランスホール ほか
住所:〒135-0022 東京都江東区三好4-1-1
公式サイト:https://tokyoartbookfair.com/
入場料:一般 1,000円(税込) オンライン事前予約制
※チケットの発行手数料に別途165円(税込)がかかります。
※当日券は1,200円で、若干数ご用意する予定です。
※一部のイベントには別途参加費が必要です。
※チケット販売は11月14日(木)12:00よりスタート予定。
公式サイト、SNSにて詳細をご案内いたします。
<展示エリア>主催:一般社団法人東京アートブックフェア、公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館
<公募ブースエリア>主催:一般社団法人東京アートブックフェア/ 特別協力:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館
協賛:New Balance、BEAMS CULTUART、株式会社 資生堂、THREE、Blackmagic Design、芝パークホテル
協力:L.PACK、SIGMA、NORDISK、NORDISK CAMP SUPPLY STORE、OIL MOUNT PRINTERS、Woset、株式会社子どもの文化普及協会、株式会社トーキョーバイク
〈EXHIBITORS〉
国内外から約300組の独創的なアートブックを制作する出版社、ギャラリー、アーティストが一堂に集結。
〈GUEST COUNTRY vol.8 GERMANY〉
TABFでは、2015年からひとつの国や地域に焦点を当て出版文化を紹介する「Guest Country」という企画を行っている。これまでにスイス、ブラジル、アジア(中国、韓国、台湾、シンガポール)、アメリカ、オランダ、フランス、北欧5カ国(ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、デンマーク、アイスランド)を特集。
第8回「Guest Country」では、ドイツをフィーチャー。1450年代にグーテンベルク印刷機が誕生し、高い印刷技術や真摯なものづくりを誇る同国は、現代アートの豊かな土壌があり、革新的な表現やカルチャー、多様なコミュニティを寛容に受け入れてきた。TABFでは複数の展示を通して、決して一括りにはできない、多様性に富んだドイツのアート出版の状況を紹介する。
Photo: Taku Matsuda
① Stefan Marx, Die Hefte
ステファン・マルクスは、ドイツ・ベルリンを拠点に活躍するアーティスト。優れた観察力によって日常生活を切り取ったユーモアのある知的なドローイングや言葉は、本やキャンバス、ビルボード、スケートボード、Tシャツ、レコードカバーなど多様なメディアを介して広く知られ、世界中の人たちを魅了している。Hatje CantzやNievesを始めとする出版社から定期的にアーティストブックを刊行し、アートブックフェアにも積極的に参加するマルクスは、国際的なインディペンデント出版において重要なアーティストのひとりであることは誰もが認めることだろう。
ドイツ語で冊子を意味する「Die Hefte」と名付けた本展では、マルクスがこれまでに手がけた約90冊のアーティストブックを一堂に集めて展示し、それらをまとめたZINEもTABFより刊行。また、マルクスとアーティストのリバティ・アドリアンによる共同プロジェクト「Liberty Flower Shop」も展開する。花をモチーフとしたイラストがスクリーン印刷され、花の形に手作業でカットされたものを好きなようにリボンで綴じた、まるでブーケのようなアーティストブックを楽しむことができる。
② MISS READ, posters & from 2009-2024
年に一回ベルリンで開催される「MISS READ: The Berlin Art Book Fair & Festival」は、2024年には50カ国以上から340を超える出展者を迎え、他に類を見ないほど国際色豊かで多様性に富む、世界最大規模のアートブックフェアとしての地位を確立した。2009年に創設された「MISS READ」は、コミュニティの構築とアーティストブック、コンセプチュアルな出版物、芸術的・政治的実践としての出版についてなど、さまざまな議論が繰り広げられる開かれた場の創出に力を注いでいる。
「MISS READ」は、毎年異なるアーティストのポスターを制作。これまでにポスター制作に参加したアーティストは、アジザ・アーマッド、ナタリー・チェック、マイラ・フラゴソ・ペーニャ、カール・ホルムクヴィスト、オーセ・エグ・ヨルゲンセン、アヒム・レンゲラー、ミハリス・ピヒラー、rakete/エーリック・シュタインブレッヒャー、ジェイ・ラミーエ、シア・リンネ、ローレンス・ウィナー。本展では、これらのポスターのほか、「MISS READ」が出版界を牽引する人物たちにアートの実践としてインタビューを行った映像や、『Decolonizing Art Book Fairs』、『Publishing Manifestos』などの書籍も展示。また、今回のTABFに合わせて、『Publishing Manifestos』の一部を日本語に翻訳した『Publishing Publishing Manifestos』を刊行する予定。
③ Verlag der Buchhandlung Walther und Franz König Archive
Verlag der Buchhandlung Walther und Franz Königはアート、建築、映画、ファッション、写真関連の本を扱う書店を営んでいたヴァルター・ケーニッヒと、兄弟のカスパー・ケーニッヒの二人が1968年に設立した出版社。現代美術の発展の過程において、その最前線で寄り添ってきたこの出版社は、マルティン・キッペンバーガー、ギルバート&ジョージ、ゲルハルト・リヒター、河原温、ローレンス・ウィナー、ウォルフガング・ティルマンスを始めとする多くのアーティストから厚い信頼を寄せられている。TABFの展示では、過去の貴重なアーカイブから100冊以上の書籍を時系列で展示し、出版社の軌跡とアーティストとの関係性を辿る。
④ Steidl Book Culture
ドイツのゲッティンゲンを拠点とする「Steidl」は、1969年の創業以来、ヴィジュアル「Nieves」ブックの企画、編集、デザイン、印刷、出版までの工程を自社で行う世界屈指の出版社/印刷会社。TABFでは、「Steidl」が手がけたビジュアルブック約1,100タイトルを全て集めたサイトスペシフィックな展覧会「Steidl Book Culture, 2006-2023」を開催する。ロバート・アダムス、ルイス・ボルツ、ナン・ゴールディン、ロバート・フランク、カール・ラガーフェルド、ダヤニータ・シン、ジョエル・スターンフェルド、ユルゲン・テラー、ジム・ダイン、ロニ・ホーン、エド・ルシェなどの著名なアーティストの書籍を含む本展は、現代におけるブックメイキングの歴史に触れられる貴重な機会となるだろう。細部にまでこだわり抜き、アーティストのビジョンを忠実に具現化した、持続的で手頃な価格の民主的なアート作品──「Steidl」の「マルチプル」を手に取って五感で体験してほしい。また、TABFが2016年に開催したダミーブックアワード「Steidl Book Award Japan」に関連した展示も開催する。
「Japan 8 – Steidl Book Award Japan」受賞作品
石塚元太良「Gold Rush Alaska」
小松透「遠い渚」
相模智之「YKTO」
鈴木達朗「Friction / Tokyo Street」
長谷川匠「長谷川匠と世界の著名人」
平野聡「再構築」
森敏明「MBT」
渡部敏哉「あれから Thereafter」
(50音順)
協力:SIGMA
Illustration: Yoko Nakayama
⑤Doitsu Art Buchmarkt
ドイツにおける現代のアートブックシーンを紐解く展示「Doitsu Art Buchmarkt」には、アーティストのステファン・マルクス、ベルリンのアートブックフェア「MISS READ」を主宰し、自らもアーティストであるミハリス・ピヒラー、キュレーターの中島点子、クリエイティブエージェンシーの「Studio Yukiko」、書店「do you read me?!」がセレクトしたアートブックやZINEが並ぶ。それぞれ異なる視点で選ばれたコレクションを通して、ドイツのアートブックの多様な表現に触れる機会が作られる。
キュレーター
ステファン・マルクス
1979年生まれ。現代アーティスト。音楽やZINE、旅、サブカルチャーから多くの影響を受けており、シンプルでありながらも表現力豊かな線描画や手書きの文字などの作品は、鋭い観察力で私たちの生活をユーモラスに切り取る。アーティストブック文化との関わりも深く、多くのアーティストブックやZINEを出版社から刊行するだけでなく、自費出版も手がけている。コム・デ・ギャルソンやThe Ennoy Professionalなどのファッションブランド、ミュージシャンやレコードレーベルとのコラボレーションも行う。マルクスの作品はギャラリーやアートフェアなどでも展示されており、アート、ポップカルチャー、ユースカルチャーを融合する影響力のある人物。
中島点子
ドイツ生まれ。幼少期をベルリン、ロンドン、東京で過ごし、 英国セントラル・セント・マーチンズを卒業。2021年からキュレーターとして活動をはじめ、翌年から拠点を持たず、世界各国にある様々なスペースで展覧会を企画しているノマドギャラリー「Galerie Tenko presents」をスタート。
Studio Yukiko
Studio Yukikoは、ミシェル・フィリップスとヨハネス・コンラッドによって設立されたベルリンを拠点とするクリエイティブエージェンシー。商業および文化的なクライアントを持ち、クリエイティブディレクション、アートディレクション、ブランド戦略、コンセプト開発、グラフィックデザインを手がける。リサーチの際は、現代的なビジュアルストーリーテリングの手法を常に実験的に取り入れ、プロジェクトに関わるオーディエンスについてより深い理解を促す。Studio Yukikoによる作品は、D&AD、ADCドイツ、TDCニューヨーク、Lead Awardsなど、数々の賞を受賞している。
do you read me?!
2008年にベルリンで創業し、国際的にも有名なdo you read me?!は、本や雑誌好きにとってオアシスのような書店。この小さな書店の素晴らしい品揃えは、印刷物の愛好家たちの多様な好みに応えている。アート、写真、デザイン、タイポグラフィー、ファッション、建築、文学、音楽、映画、フードなどに関するさまざまな出版物が並ぶdo you read me?!では、現代のインディペンデント出版の素晴らしい眺めを目にすることができる。
ミハリス・ピヒラー
商業的なギャラリーシステムから独立して活動するアーティスト。作家として数多くの本を刊行しており、リバース・コラージュという手法を考案した。また、「MISS READ」「Conceptual Poetics Day」の創立者兼ディレクターでもある。これまでに編集した書籍には、『Books and Ideas after Seth Siegelaub』(Sternberg Press/CBA、2013年)、『Publishing Manifestos』(MIT Press/Miss Read、2019年)、『Decolonizing Art Book Fairs』(Afrikadaa/Mosaiques/Miss Read、2021年)、『Coup de Dés (Collection)』(Spector Books/CBA、2024年)などがある。
来日予定のドイツ出版社
Spector Books / Sorry Press / Volker Renner / Edition Taube / Happy Potato Press / Lubok Verlag / OUTER SPACE PRESS / windpark books / Maximilian Fischer / Cillian / Hua Wang / A—Z Presents / open book society / Local Gr0up / Profundo ediciones / Stefan Marx & Liberty Flower Shop
〈EXHIBITIONS〉
「坂本図書分室」
今回、東京都現代美術館で12月21日(土)より開催される、展覧会「坂本龍一 | 音を視る 時を聴く」に先駆け、「坂本図書分室」では図書にまつわる展示を実施。
「いつか古書店の店主になるのが夢だった」と語るほど、無類の本好きとして知られる坂本龍一が2017年から準備を進めていた、自身の本を多くの人と共有するための図書構想「坂本図書」。昨年9月には、坂本龍一の所蔵していた本を読むことができる図書空間「坂本図書」が都内某所に開館した。
TABFでは、坂本龍一が晩年に愛した私物書籍の一部、実際に使用していた家具などの読書空間が再現されるほか、「坂本図書」に所蔵している書籍と同タイトルの古書・オリジナルグッズの販売を行う。「坂本図書」としての外部出展は今回が初めてとなる。坂本龍一がどのように本に向き合っていたのか。坂本自身の創作や思考の糧となった本の数々から、追体験いただく取り組みとなる。
企画:一般社団法人坂本図書
協力:Kab Inc.
Nieves Zinematic Universe
2001年に設立されたスイス・チューリッヒに拠点を置くは、アーティストブックとZINEに特化したインディペンデント出版社。ZINEのフォーマットを用いたアーティストブックを広めたパイオニア的存在であり、コラボレートしたアーティストはラリー・クラーク、ハーモニー・コリン、スパイク・ジョーンズ、アリ・マルコポロス、ジェフ・マクフェトリッジといった著名人から新進気鋭の作家まで幾多に渡る。2004年1月からは、A5サイズ、ホチキス綴じ、モノクロ印刷のNieves Zine シリーズをスタート。少部数刊行でありながらもアート表現として本を作るアーティストたちを世界中のオーディエンスに向けて紹介し、国際的なインディペンデント出版のコミュニティの発展において多大なる影響を与えた。
今回のTABFでは、ステファン・マルクスと平山昌尚による、同シリーズの400冊目がリリースされたことを記念する展覧会を開催する。400冊のカバーを並べたウォールペーパーを制作し展示するほか、一部のZINEは実際に手に取って見ることができる。同じフォーマットを採用しながらも、400冊のZINEは実にさまざまで多様性に富む。アーティストたちによる、誰にもコントロールされないメディアを通した自由な表現を目撃してほしい。
〈SPECIAL BOOTH〉
New Balance
TOKYO DESIGN STUDIO New Balanceがプロデュースするフリーマガジン「NOT FAR」最新号 #10を世界に先駆けて先行配布するほか、会場である東京都現代美術館からほど近い、ニューバランスのコンセプトストアT-HOUSE New Balance(日本橋浜町)を繋ぐスペシャル企画を実施。
BEAMS CULTUART(ビームス カルチャート)
BEAMSのアートやエンタメ、デザインといったカルチャーの領域を、グローバルに推進するプロジェクト「BEAMS CULTUART(ビームス カルチャート)」。 ブースでは、TABFの常連でもあるTOKYO CULTUART by BEAMSをはじめとした、BEAMSのカルチャーを扱うレーベルが販売しているアートブックを一堂に取り揃え、各々の世界観を表現。
『花椿 2024年号 — CARE』
2024年、『花椿』はその前身である1924年創刊の『資生堂月報』から数えて100周年を迎える。この節目となる年に、初めて海外からクリエティブ・ディレクターとしてフランス人のクラリス・ドゥモリを迎え、新たな『花椿』を制作した。2024年号のテーマは“CARE”。情報にあふれ、忙しい日々を送る現代において、花椿の目を通じて改めてケアの重要性を探り、さまざまな角度から考察。会場では、この特別な号に参加した写真家による作品も展示。
URL: https://tokyoartbookfair.com/
関連記事のまとめはこちら
https://www.neol.jp/art-2/
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