近代から現代までの美術家たちが獲得してきた「色彩」とその表現から色彩の役割を考察「カラーズ―色の秘密にせまる 印象派から現代アートへ」
NeoL / 2024年11月28日 12時0分
ベルナール・フリズ《Ijo》2020年 ポーラ美術館 Photo: Ken Kato
© Bernard Frize / ADAGP, Paris, 2024 Courtesy of the artist and Perrotin
ポーラ美術館にて2024年12月14日(土)より企画展「カラーズ―色の秘密にせまる 印象派から現代アートへ」が開催される。
本展覧会は、近代から現代までの美術家たちが獲得してきた「色彩」とその表現に注目し、色彩論や色を表現する素材との関係にふれながら、色彩の役割についてあらためて考察するもの。チューブ入りの油絵具を巧みに扱い、さまざまな色彩によって視覚世界を再構築した19世紀の印象派や新印象派をはじめ、20世紀のフォーヴィスムの絵画や抽象絵画、そして色彩の影響力によって観る者の身体感覚をゆさぶる現代アートにいたる近現代の色彩の歴史を、おもに絵画や彫
刻、インスタレーションによって読み直す。
COLORS
The Secrets of Color
from Impressionism to Contemporary Art
「カラーズ ― 色の秘密にせまる 印象派から現代アートへ」
会期:2024年12月14日(土)~ 2025年5月18日(日)
会場:ポーラ美術館 展示室 1, 2, 3, アトリウム ギャラリー
所在地:神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285
https://www.polamuseum.or.jp/sp/colors/
開館時間:午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
入館料:大人¥2,200(シニア含む)/大学・高校生¥1,700/中学生以下
無料/障害者手帳をお持ちのご本人および付添者(1名まで)¥1,100※すべて税込 団体割引あり
TEL:0460-84-2111
公式Webサイト:https://www.polamuseum.or.jp/
【本展のみどころ】
①初公開作品10点とともに、印象派から現代美術までの展開をダイナミックに紹介
ポーラ美術館のコレクションには、モネ、ルノワールをはじめとした19世紀フランスの印象派や、スーラおよびシニャックに代表される新印象派、20世紀のフォーヴィスムや戦後の抽象表現主義など、近代から現代にかけての西洋美術の歴史をたどることのできる主要な画家の重要な作品が数多く含まれている。本展覧会では、ポーラ美術館の名品を中心に、近年新たに収蔵した10点の初公開作品を加え、近現代美術における「色彩」の変遷をダイナミックに紹介。
②絵具の革新と色彩論の発達―絵画の歴史をひもとくキーワード
19世紀の初頭、フランスでは光の作用が引き起こす色を科学的に解明しようとする試みがなされる。これは、色を色相(青、黄、赤など)によって分類するだけではなく、明度や彩度といった新たな軸を用いて分析する「色彩論」が発達したもので、補色関係などの色同士の組み合わせや新たな色彩の効果が発見された。こうした色の科学は現代のデジタル技術にも活かされている。さらに、19世紀半ばから科学の進歩によって登場した新しい絵具は、画家たちのパレットを豊かにし、色彩論に基づく理論上の色彩効果を画面上に実現させることに貢献。本展覧会では、近代から現代までの西洋絵画の色彩における革新の歴史をひもとく。
③画家たちの新たな表現方法の探求に注目
20世紀前半のヨーロッパやアメリカでは、合成顔料の開発による彩度の高いあざやかな油絵具をはじめ、新たな人工素材であるアクリル樹脂を使用した絵具などの研究が進んだ。戦後アメリカの抽象表現主義の画家たちは、そのような新しい絵具による表現の可能性を求めて、ポーリング(流し込み)やドリッピング(たらし)、ステイニング(染み込み)をはじめとするさまざまな技法を試みた。そこには、絵画における伝統的な手法から脱却し、イーゼルに向かって制作する従来の画家のイメージを覆しつつ、大型の画面を実現しようとする風潮もあった。新しい描法を駆使し、形式に収まらない自由で開放感のある表現は、現代の作家たちの作品にも受け継がれていく。
④現代の作家たちの新作を数多く紹介—これからのアートの可能性を探る
本展覧会では、近代から戦後の美術家たちの絵画にインスピレーションを受け、色を表現する素材や色彩構成の研究にいそしむ現代の作家たちに焦点をあてる。伝統的な色材や新たに開発された材料を選択し、それらを自由に組み合わせながら形式にこだわらずに独自の芸術を具現化しようとする作家たち。その一方で、もっぱら「用と美」の美意識にもとづく工芸あるいは色彩豊かな立体作品を手がけながらも、総合的な空間装飾への関心を背景として、素材の特性から
立ち現れる伝統的な色合いをとどめた平面あるいは半立体の造形に美を求める作家もいる。彼らの色彩に向き合う姿勢や色彩を活かした創作活動から、これからの現代アートの可能性を探る。
【展覧会構成】
プロローグ
光の色 ―杉本博司「Opticks」
杉本博司「Opticks」シリーズより10 点を展示(展示替えあり)。
杉本博司《Opticks 026》2018年 ポーラ美術館
© Hiroshi Sugimoto / Courtesy of Gallery Koyanagi
杉本博司《Opticks 029》2018年 ポーラ美術館
© Hiroshi Sugimoto / Courtesy of Gallery Koyanagi
杉本博司《Opticks 082》2018年 ポーラ美術館
© Hiroshi Sugimoto / Courtesy of Gallery Koyanagi
杉本博司《Opticks 048》2018年 ポーラ美術館
© Hiroshi Sugimoto / Courtesy of Gallery Koyanagi
第1部 光と色の実験
おもな出品作家(順不同): ウジェーヌ・ドラクロワ / クロード・モネ / ジョルジュ・スーラ / ロベール・ドローネー / ワシリー・カンディンスキー / アンリ・マティス / モーリス・ルイス / ヘレン・フランケンサーラー / ケネス・ノーランド / アド・ラインハート / ダン・フレイヴィン / ドナルド・ジャッド / ゲルハルト・リヒター / ベルナール・フリズ / 白髪一雄 / 田中敦子 / 桑山忠明 / 前田信明
クロード・モネ《サルーテ運河》1908年 ポーラ美術館
[展示期間: 2025年1月下旬-5月18日]
ロベール・ドローネー《傘をさす女性、またはパリジェンヌ》1913年 ポーラ美術館
アンリ・マティス《リュート》1943年 ポーラ美術館
ゲルハルト・リヒター《ストリップ(926-3)》2012年 ポーラ美術館
© Gerhard Richter 2024 (18062024)
第2部
色彩の現在
おもな出品作家(順不同): 草間彌生 / ヴォルフガング・ティルマンス / 丸山直文 / グオリャン・タン / 山口歴 / 流麻二果 / 門田光雅 / 坂本夏子 / 山田航平 / 川人綾 / 伊藤秀人 / 中田真裕 / 小泉智貴 / 山本太郎
草間彌生《無限の鏡の間 ―求道の輝く宇宙の永遠の無限の光》 2020年 作家蔵
©YAYOI KUSAMA Courtesy of Ota Fine Arts
ヴォルフガング・ティルマンス《フライシュヴィマー 74》2004年 ポーラ美術館
© Wolfgang Tillmans, Courtesy Wako Works of Art
グオリャン・タン《It Moves it》2023年 作家蔵
©Guo-Liang Tan, Courtesy of Ota Fine Arts Singapore/ Tokyo/ Shanghai
山口歴《MÖBIUS No. 18》2021年 夢工房蔵
©︎ 2021 MEGURU YAMAGUCHI ©︎ 2021 GOLD WOOD ART WORKS Photo 浦野航気
小泉智貴《Multicolored Ruffle Cape》2020年 作家蔵
関連記事のまとめはこちら
https://www.neol.jp/art-2/
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