未来の描写から課題を浮かび上がらせる。牧田愛、井田大介、アンドレア・サモリー「来たる世界2075 テクノロジーと崇高」
NeoL / 2025年1月20日 12時0分
Ai Makita / Dynamic Equilibrium #b 2025
GYRE GALLERYにて「来たる世界2075 テクノロジーと崇高」が開催される。
ある未来都市では雨が絶え間なく降り続いている。大洪水は現在では何年も続き、人々の想像力や欲望を変え、無限に乾燥した砂漠を夢見ている。映画館では、バッハのコラール前奏曲によって描写される「ソラリス(Solaris)」や「ラ・ジュテ(La Jetée)」のシークエンスがループしている・・・「来たる世界」の断片的描写。「来たる世界」とは、私たちと自然との関係というテーマに真の緊急性を与え、気候変動、種の絶滅、汚染、再生可能エネルギー、人口過剰などの課題を浮かび上がらせる。私たちはこのように自然を明確に関係的な観点から考えることができ、それによって、自然に対する超越的知識と日常的知識の両方の中で、新しい知識とテクノロジーを生み出すことができる。その結果、テクノロジーは、「来る世界」の自然環境に適応できる私たち人間の心身の変容をもたらすこととなる。
テクノロジーの驚異的な進化は、私たちが理解できる範囲を超え、しばしば「不気味さ」を伴う存在になりはじめている。20世紀の心理学者ジグムント・フロイトが「不気味なもの」(The Uncanny)として言及した、見慣れたものが一変して異質に感じられる現象は、AIやバイオテクノロジーが日常生活に深く浸透する現代において、強く現れる美学的な主題である。技術が人間のスケールや理解の限界を超え、引き起こす畏怖や不安を、本展では、「技術的崇高」と呼び、それを感じさせる現代アートを考察し、現代の美と畏れについて問い直そうとするものである。
Andrea Samory / Chimera 1.1 2023
Daisuke Ida / Synoptes 2023
「来たる世界2075 テクノロジーと崇高」
会期:2025年2月11日(火) - 3月16日(日) ※休館日:2月17日(月)
会場:GYRE GALLERY
住所:東京都渋谷区神宮前5-10-1 GYRE 3F Tel. 0570-05-6990 ナビダイヤル(11:00-18:00)
主催:ジャイルギャラリー / スクールデレック芸術社会学研究所 企画・キュレーション:飯田高誉(スクールデレック芸術社会学研究所所長) アソシエイトキュレーション:高橋洋介
PRディレクション:HiRAO INC
展覧会出展作家:牧田愛、井田大介、アンドレア・サモリー
牧田愛
牧田愛はキャンバスに油彩で絵画制作をしている。彼女の作品は、機械的なモチーフを用いることで、無機的な要素 から有機的なイメージを生み出すことを目指す。また、二次元のデジタルデータを基に、物質的で身体的な作品を創造することも彼女のテーマの一つ。特に、自ら撮影した金属やプラスチックなどの人工物を構成して、デジタル画像をキャンバス上の絵画として現実空間へ引き出すことを追求。最近では生成AIを作品制作に取り入れ、キャンバス絵画にとどまらず、ビデオやプリント、インスタレーションなど、そのスタイルは多岐にわたっている。 テラダ・アートアウォード、岡本太郎現代芸術賞、ポーラ美術振興財団海外派遣助成、Rijksakademie(オランダ 王立アカデミー)ファイナリスト、ART CAKE (ニューヨーク)、The Fores Project (ロンドン)など、数々の賞や助成、 レジデンスプログラムに選出。
井田大介
1987年鳥取県生まれ、東京都在住。2015年東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了。彫刻という表現形式を問いながら、彫刻・映像・3DCGなど多様なメディアを用いて、目には見えない現代の社会の構造やそこで生きる人々の意識や欲望を視覚化。最新の個展に「SYNOPTES」(2023、TEZUKAYAMA GALLERY)など。主なグループ展に「遠距離現在 Universal / Remote」|(2024、国立新美術館)、「日本国憲法展」(2023、青山|目黒、東京)、「Grid Island」(2022、ソウル市美術館、韓国)など。
アンドレア・サモリー
1991年生まれ、イタリア出身。東京を拠点に活動。2017年イタリア・フェラーラ建築大学建築学修士号修了。インターネット以後の情報化された「自然と人間」をテーマに、神話的な作品を制作。主な個展に「Overgrowth」 (Contrast、東京、2023年)など。主なグループ展に、「One Art Taipei」(2024年、台湾)、「Art Central HK」(2024年、香港)、「Generation(Z)」(2023年、イタリア)など。
「99 Future Blue Chip Artists 2024」(ロンドン)最終選考選出。
関連記事のまとめはこちら
https://www.neol.jp/art-2/
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