「こどものきもち」 Vol.1 DJ DARUMA

NeoL / 2015年3月31日 4時42分

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「こどものきもち」 Vol.1 DJ DARUMA

「悩みがなかったこどもの頃に戻りたい」なんて台詞をよく聞くけれど、子ども時代にも悩みはもちろんあったのを大人になって忘れているだけだと思う。小さいながらにプライドも心配かけたくないという想いもあって、誰にも相談できないこともあるかもしれない。子どもに笑顔で過ごしてもらうにはどうしたらいいのか。これから全6回にわたり、子どもを持つ親であるクリエイターに登場してもらい、日頃どんな風に子どもと接しているか、親子関係で大切にしていることなどを語ってもらう。第一回目はDJやプロデュースはもちろんのこと、インスタグラムで新しいスタイルの家族像を打ち立て幅広い層に支持されているDJ DARUMAをフィーチャー。


 

 

——インスタグラムにお子さんたちとの写真をよくアップされていますね。ストリートカルチャーの第一線で活躍しながら良き父としての姿を両立しているところに新しいスタイルを感じました。

DJ DARUMA「今までに無い“お父さん像”というのは実はちょっと意識しているところでもあるんです。というのも、ダンスやスケートボード、DJなどのストリートカルチャーをずっと楽しんできていたのに、子どもが生まれたことをきっかけにやめてしまう人ってすごく多いように感じていて。それは子どもだけに限らず、就職や結婚が理由になることもありますが。もちろん、それをきっかけに夜遊びに行く回数なんかは絶対的に減ってしまうんですけども、意識的に100%辞めてしまう必要は全然ないのではないかと考えていて。カルチャーは子どもや家族と一緒になっても楽しめるものですし、自分がそれを体現することで、新しいスタイルとしてもっと広まってくれたらいいなと思っているんです。僕のインスタグラムでは刺青だらけの僕がクラブや様々な現場で仲間達と撮った写真と、子どもたちの楽しそうな笑顔の写真が並んだりするんですけど、それを見た人が『こういうのもアリだよね』って思ってくれたら」

——これまで、日本でそういったモデルケースになるような人がいませんでしたね。

DJ DARUMA「そうかもしれませんね。なので家族巻き込んだストリートカルチャーとの接し方や楽しみ方という新しいモデルケースになるつもりでやっています」

——そういう意識はいつ頃から生まれたんですか。

DJ DARUMA「そのツールとしてインスタグラムを始めたのが結構大きかったと思います。あくまで個人的な感覚ですがブログだと発信する側からの一方的な感じがありすし、ツイッターはネガティブな要素が流れてくることも多くて。それと言葉ってこちらの思う通りに受け取ってもらえなかったり、誤解を招いたりすることもありますが、インスタグラムのように写真だと、こちらのポジティブなバイブスがストレートに伝わる気がして。それにダイレクトな反応も頂けますし、やっているこちらも伝え方を考えることが楽しくなってきたというのがありますね」




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——早い時間のパーティーには子どもを連れて行ったりしていますよね。楽しそうなお子さんの姿が印象的です。

DJ DARUMA「でも子どもにとってはつまらないときもあると思いますよ(笑)。つい最近某美術館に連れていったときは、『わけわかんない』ってすごく退屈してそうでしたし(笑)。確かに難しかったかなって。そこはトライ・アンド・エラーでいろんなところに連れていって、子どもが一緒に楽しめるところを学んでいくしかないでしょうね。ただ、子どもたちにとっても幼いうちから、さまざまなカルチャーに触れられることはいいことだと思うんです。もちろん、言葉使いやマナー、ちゃんと人に挨拶ができるとか、嘘はつかないとかそういう人として当たり前の大切な部分をしっかり教えるということは大前提ですが、それを踏まえた上でいろんなカルチャーに接することが将来の糧になると思うし、なってほしい。様々なカルチャーに触れて育った僕らの世代の子どもたちが、大きくなったらまたいろいろと面白いことをやってくれると思うんです。きっと想像もできなかったような新しいものを生み出してくれそうで、それが楽しみなんですよ」

——子どもが生まれてから自分自身が変わったと思うことはありますか。

DJ DARUMA「少し前に、ケンドリック・ラマーのアルバム『Good Kid: M.A.A.D City』を歌詞の対訳を読みながら聴いていて感じたことがあるんです。あのアルバムはケンドリック・ラマー自身のそれまでの人生をモデルにした物語になっていて、スキットで母親や父親の留守番電話のメッセージが入ってくるんです。母親は『貸した車を早く返せ』みたいなことをずっと言っていて、父親は後ろで『オレのドミノゲームはどこだ』なんてことをわめいてる(笑)。でも、最後のスキットで父親がこんなこと言うんです。『“リアル”っていうのは、ストリートで仲間とたむろする事じゃ無くて、家族を守って子どもを育てて、責任を持つことにあるんだ』って。これは親になった今めちゃめちゃ共感することが出来ました。僕自身、子どもが生まれて自分の中の“リアル”という言葉の捉え方がすっかり変わったんですよね。家を買うのか買わないか、子どもの幼稚園をどこにしようか、小学校はどうする? そんなことが、今の僕にとっては“リアル”なんですよ。子どもたちが今後どんな道に進んでどんな人生を歩むかはわかりませんが、自立するまでは僕たち親が見ていかなくてはいけない。そのために何ができるのか。それが我々親にとっての“リアル”なんですよね」




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——音楽的な変化はありましたか?

DJ DARUMA「子どもができたから具体的に音楽的に何かが変わったということはありません。ただ、音楽に対する見方の変化はありましたね。というのも僕や妻が好きで家の中で聴いているテクノやハウスを中心としたクラブミュージックと比べて、人気のあるポップスを聴いたときの子どもの反応がすごくいいんですよ。すぐに覚えて一緒に歌ったりするし。やっぱり多くの人に愛されるポップスのすごさは改めて感じてます」

——子どもが生まれることで、自分になかった目線が増えるということはありますよね。

DJ DARUMA「よく言われることですけど、やっぱり本当に親も子どもと一緒に成長していくんですよね。子どもが生まれたときに親も親としては新米なわけで。いつも長女からは『パパ』と呼ばれているんですが、この間どこかで覚えてきたのか、突然『お父さん』って言われてハッとしましたね。慣れないせいか、なんだか急に責任感がズシッと来たような(笑)」

——仕事柄、夜は一緒にいられなかったり、休日も仕事だったりすることが多いと思いますが、お子さんたちとは日々どのくらいコミュニケーションをとるようにしているんですか。 

DJ DARUMA「基本的には毎日1時間ぐらいは子どもたちと一緒に遊びたいと思っているんですが、やっぱり遅くなったり、本当に疲れたりしているときはなかなかできないですね。それで『あ、昨日も遊べなかったよな……』っていう葛藤があって。コミュニケーションが取れないときが続くときは、せめて風呂だけは一緒に入るようにしたりとか。地方遠征の週末GIGは昔と違って終わったら始発や朝一番の飛行機で帰るようして、日曜日の昼からは時間を作って一緒に遊んだり、どこかに出かけたりするようにはしています。やっぱり平日は妻に子どもたちのことを任せきりしてしまうことも多いので」

——家事の分担などはどうされているのですか?

DJ DARUMA「できる限りはやっているつもりですが、そこは妻に聞いて頂いた方がいいかもしれません(笑)。僕が考えている以上に家の中での妻の負担は大きいでしょうから。僕も子どもたちと一緒に丸一日過ごすことはありますが、やっぱり楽しいだけじゃなくて大変ですよ。それを彼女は毎日やっているわけですから、僕もできるだけのことはしないといけないなとは感じています。実践出来ているかは不明ですが(汗)」




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——仕事と違って子どもは自分の思うようにコントロールできませんからね。

DJ DARUMA「そういう意味では最初の話とつながるんですが、僕も妻もお互いに音楽だったりファッションだったり、自分自身がカルチャー好きでいる事がすごく助けになっている。自分の中で親以外のモードになれるところがあるってすごくありがたいことなんです。心の拠りどころになるし、切り替えもできるし。むしろ子どもが生まれたからという理由でカルチャーとのつながりを完全に切ったりするほうが人生が汲々になってしまうと思うんです。だからこそ、カルチャーとの距離を離さないほうがいいし、子どもたちと一緒に楽しめるものにしていったほうがいい」

——日頃からそういったカルチャーに触れてきたお子さんたちは、もうお父さんの仕事についても理解しているんですか?

DJ DARUMA「長女はもうDJという概念はわかってますよ。音楽をかけて、みんなを楽しい気分にさせる仕事。夜になって出かけようとすると『今日はDJ?』なんて聞いてきます(笑)」

——自分の影響を感じることはありますか。

DJ DARUMA「娘は親の目から見ていて絵を描いたりものを創ったりすることがすごく好きみたいで。絵画教室に通っているんですが、そこは工作も教えていて、毎回すごく独創的なものを創ってくるんですよ。まだ5歳ですけど、クリエイティブ気質があるのかなと感じます。かと思えば、『アイドルになりたい』とも言うんですが(笑)。下の子はまだ3歳なのでなんとも言えませんが、音楽に合わせて体を動かすのが好きなので4歳になったらダンススクールに行かせてみようかなと思っています。どんな事にせよ、親としては基本的には子どもたちのやりたいことをやらせてあげたいです」

——「子どもの声を聴こう」と心がけていることはありますか。 

DJ DARUMA「日頃から子供たちに言っていることがあって、それは『何かあったら必ずパパとママに相談して』ということなんです。そのときに『絶対に嘘はつかない』ということ、『相談することは恥ずかしいことでも怒られるようなことでもない』ということをしつこく言い聞かせています。『だから何か嫌だなと思うことや変だなと思うことがあったら必ず言ってね』と。『報告』『連絡』『相談』のことを『ほう・れん・そう』って略すじゃないですか。それを子供にも教えて、幼稚園から帰ってきたときに『はい、ほう・れん・そう』というと、今日何があったのか話してくれるんです。そんなときにちょっと口をつぐむようなこともあるんですよ。それで次の日に幼稚園に行きたくないと言い出したり。そんなとき『いつも言ってるでしょ。話してみて。大丈夫だよ』と話してるうちに少しずつ本音を話してくれる。聞いてみると、ちょっと乱暴な口調な男の子がいたとか、そのぐらいのことなんですけど、そういう経験を積み重ねて成長していくんだなということがわかるし、初めて“社会”の中で人間関係に直面して子どもなりに思うところがいろいろあると思うんですよ。それを抱え込ませないで、ちゃんと親が聞いてあげて一緒に向き合うことが大切なのかなと思います」

——何か問題が起きてからではなく、日頃から子どもの声に耳を傾けようとする姿勢を見せていくことが大事ですよね。

DJ DARUMA「それと、とにかく基本設定としてやっぱり愛をもって接してあげることですよね。『これが正解』という答えはもちろんわからないですが、何より重要なのは子どもに対する愛だと思います。娘が生まれたときはちょうどカレンOの『All Is Love』が流行っていた時期で、あの曲が僕たちの育児中のテーマソングになっていたんですが、本当にあの曲の通りですよ。すべては『愛』だと思っています」




DJ DARUMA

http://web.stagram.com/n/djdaruma/.

 

 

Save the Children「HEARプロジェクト」

http://www.savechildren.or.jp/hear/donation/

 

 

※本記事は個人のインタビューによって構成されており、公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの公式見解ではありません。

 

撮影 フジイサワコ/photo  Sawako Fujii

文 桑原亮子/text  Ryoko Kuwahara

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