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高畑充希『煙霞-Gold Rush-』インタビュー

NeoL / 2015年7月11日 9時21分

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高畑充希『煙霞-Gold Rush-』インタビュー

借金を抱え、勤務先の私立女子校の正教員にもなれず、不安定な日々を送る美術講師。あるとき彼は、同じ境遇の同僚から相談を持ちかけられる。経営を私物化している理事長に証拠を突き付け、自分たちの身分保証を求めようというのだ。しかし思いきって理事長の愛人宅に乗り込んだまではよかったが、肝心の交渉相手が突然失踪。彼らは訳もわからぬうち、理事長が隠した金塊の奪取計画に巻き込まれてしまう──。WOWOWの連続ドラマW『煙霞-Gold Rush-』は、個性豊かな登場人物たちが巨額の金塊を奪い合う、痛快アクションサスペンスだ。主人公のしがない高校講師(森山未來)の“相棒”となるヒロインは、連続テレビ小説「ごちそうさん」などで人気が高まる高畑充希。数多く舞台・ドラマをこなしてきた彼女にとって、地元・大阪を舞台にした本作は新たなステージとなったようだ。若き演技派に、その思いを聞いた。



──WOWOWの連続ドラマW『煙霞 -Gold Rush-』。予告編を観ましたが、たった60秒の映像からも大阪のディープな空気感がひしひし伝わってきました。

高畑「はい、自分でもけっこうコテコテだなぁと(笑)」

──高畑さんの演じる正木菜穂子は、私立女子校に勤める音楽教師。原作を読むとけっこう破天荒でハスッぱな性格で、これまで演じてきたキャラクターとは真逆の印象もあったんですが……演じてみていかがですか?

高畑「今回は珍しく周りを振り回す役だったので(笑)。周囲が勝手に振り回されてくれるのは、けっこう楽しかったです。普段はそんなにパワー全開で自分を押し通すタイプでもないので。いつもとは逆の感じでした」

──たしかにこの話、菜穂子を軸にどんどん回っていく部分がありますよね。しかも役の上ではちょっと、悪女っぽいところもあったり。

高畑「でも、すごくチャーミングだなって思いましたよ。何をやっても悪気が感じられないし。ちゃんと自分の立ち位置を把握した上で、ポーンと衝動的に動ける子なので。どっちかというと森山さんの演じる熊さん(熊谷)の方が、『これはこうあるべきだ』みたいに考えちゃうタイプでしょう」

──主人公の熊谷。多額の借金を抱えつつ、同じ私立女子校でしがない美術講師をやっている。

高畑「そう。この物語の菜穂子って、実は熊さんの思い込みをガシガシ壊していく役どころでもあるんですね。それも『何を小っちゃいことにこだわってるん? そんなん、こっちの方が正解に決まってるやん』みたいな感じで(笑)。別に熊さんをイジメてるんじゃなくて、普通に喋るとそうなっちゃう。そういう部分が憎めないなと思いつつ、演じてました」

──じゃあ逆に、苦労した部分を挙げるとすると?

高畑「うーん……ストーリーが込み入ってる上に、順撮りじゃなかったことかな。しかも今回、共演者の方もスタッフさんも頭の回転が速い人ばかりだったので。頭の中がゴチャゴチャにならないよう、付いていくのが大変でした。ただ、その分開き直ってラクしちゃった部分もあったかもしれない」

──というと?

高畑「演技のお仕事をするとき、私はわりと頭でっかちになりがちなタイプだと思うんです。現場に入る前に、ついいろいろ計算していっちゃう。でも今回は、もし間違っても周りがフォローしてくれるという安心感があったので。前後の繋がりとかあまり意識せず、自分の中で菜穂子というキャラクターを保つことだけ気を付けていた。それ以外の細かい部分は、けっこう周りに頼っちゃってました(笑)」

──森山未來さんとは今回が初共演ですよね。

高畑「はい。森山さんがダンスの文化交流使としてイスラエルに行かれる前に、NHKの『夫婦善哉』というドラマに出られてて。私、その役がすごく好きだったんですね。いつかお仕事できたらいいなと思っていたので、今回のお話をいただいたときは嬉しかったです。」

──実際に共演してみた印象は?

高畑「今はもう空気みたいですね(笑)。らくちん」

──はははは。

高畑「私がこんな風に言うのはおこがましいんですけど。でも、どんなボールを投げても自然に返してくださるし。そもそも何も喋らなくても気まずくないし。すごく柔軟な方なので。本当にらくちんなんですよ。ただ、私が奥さんだったら怒ってしまうなと思うんですけど…」

──なんでですか?

高畑「自由すぎる(笑)。いえ、ホントにリスペクトしてるんです。自分のやりたいことが明確で、いろんなことをアクティブにどんどん生みだしていく方ですし。そこにリスクがあっても厭わない。私には絶対マネできないし、心底凄いなって思います。しかも、2〜3か月一緒の現場にいて、ずっと2人でお芝居していて、そういう威圧感を一切与えないところが、さらに凄いと思いました」

──ちょっとびっくりした?

高畑「ビックリしました。一緒にいてラクすぎて」




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──今回の『煙霞-Gold Rush-』は、キャストが「オール関西出身」なのも1つの売りになっていますが、お互い関西弁で喋れるというのも大きいんでしょうか。

高畑「それはあるかもしれませんね。原作を読んでも、言葉の量がすごく多いでしょう。内容的には金塊が絡んでたりして、けっこうシリアスだったりもするんですけど、関西弁でキャッチボールしてると不思議と重くならない。ボケとツッコミというわざとらしい感じすらなくて…。当たり前のように流れている関西の空気の中で、自然に喋ってる感じなんですよね」

──じゃあ掛け合いの中で、自然とアドリブが出たりも?

高畑「そうですね。無理に面白いことを言おうとか、そういうのはありませんでしたが、菜穂子としてその場にいて、台本にない言葉がふと出ちゃうことは、わりと多かったです。小林(聖太郎)監督がまた、なかなかカットをかけないんですよ。楽しくなっちゃうとずっとカメラを回してる。そんなに撮っても絶対使い切れないって思うんですけど(笑)。逆に言うと、台本のセリフがどうしても言いにくいときはすぐ察知して、『じゃあこの言い回しに変えてみようか』って、いろんなパターンを試してくださる方でした」

──『毎日かあさん』や『マエストロ!』など地に足の着いた人間ドラマの名手という印象が強いですが、小林監督の演出はかなりフレキシブルなんですね。

高畑「今まで経験したことのないくらい、柔軟な現場だったと思います。特に森山さんと私については、ほとんど放任状態で。事前のセリフ合わせもなく、最初は申し訳ないくらいグダグダから始まるんです。でも監督はそういうのはあまり気にせず、むしろ『言いにくい台詞があったら変えちゃっていいよ』って感じで…。役者が一番やりやすい状況を作った上で、いろいろ投げかけてくれるんですね。そうやって数回リハーサルをし、カメラテストを重ねるうちに、互いのスピードが合ってきて。いいパターンが見えてくる。森山さんだけじゃなく、他の共演者の方とも基本的にはそういう感じでした」

──なるほど。考えてみれば『煙霞-Gold Rush-』って、ワケありの男女が偶然1つの目的を共有するバディ・ムービー(相棒もの)的な面白さもありますよね。

高畑「そうやって楽しんでもらえたら嬉しいですね。私、恋愛ものはともかく、男性としっかり向き合って会話で引っ張っていくお芝居は初めてだったので、その意味でもすごく新鮮だったんです。そういえば今回、森山さんと2人並んで歩くという場面が多くて。撮影の初日か2日目に、どっちがどちら側を歩くかという話になったんですね。私、普通なら人の左側を歩くんですけど、熊さんとの関係性を想像すると『どこかでこの人の上に立っていたい』と思ってしまって(笑)。それで男性みたいに右側を歩かせてもらうことにしました」

──やっぱり菜穂子が物語を動かして、主人公の熊谷はそれに引っ張り回されるという物語構造ですね(笑)。

高畑「森山さんにその話をしたら、『うん、やっぱりそうだよね』って(笑)。それまであまり会話もしたことなかったんですけど、あの瞬間バディとしての2人の関係性が決まったような気がします」

──桂文珍さん、木村祐一さん、木下ほうかさん、尾上寛之さんなど、共演陣の存在感、関西感も凄そうです(笑)。

高畑「役柄上はコワモテだけど、みんな本当にいい方で。でも関西人って、やっぱり人との距離感が近いんですかね(笑)。撮影期間中にすごく仲良くさせていただきました。中村ゆりさんとも、ドラマ内では雌猫同士みたく暴言吐き合ったりしてますけど、サッパリした性格なので辛くなかったです」



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──ちなみに今回の役は、普段着が革ジャンにスキニーパンツだったり。ファッションもロックっぽいですね。ライブハウスで歌うシーンもあったりして。そういう音楽好きな部分って、役作りにプラスになったりしました?

高畑「うーん……どうだろう。私、普段はほとんど音楽聞かないんですよ」

──へえ、ちょっと意外です。朝ドラ「ごちそうさん」でも、素敵な歌を披露していましたが…。

高畑「もともとルーツがミュージカルなので、舞台の曲はたくさん知ってるし歌えるけれど、ポップスのCDを買ったことはほとんどないんです。そこは本当に月並みな感じで。菜穂子と重なるところもなかったと思います。ただファッションやメイクってその人の性格がすごく出るでしょう。なので彼女を演じる上で、あの服装に助けられた部分は大きかったかな」

──『煙霞 -Gold Rush-』、いずれにしても新しい高畑さんと出会えそうです。

高畑「本当にそうだといいなぁ。少なくとも自分では、すごく楽しかった。ほとんどお芝居している感覚がないくらい、自由にやらせてもらいました。台詞は一応決まってても、その日に何が起きるかは分からなかったし……カメラマンさんとお喋りしていたとき、『このドラマは、実際撮ってみるまで何が出てくるか分からない。だからやっててすごく楽しい』って言ってくださったんですよ。撮ってくれる人からそう言ってもらえるのは、一番幸せなことだなと思って」

──放送が楽しみですね。

高畑「ほんと、どんな映像になってるでしょうね(笑)。私、撮影中は結局一度もモニターをチェックしなかったんですよ。見なくても、小林監督なら良い物になっていると感じたので」

──それは、小林監督に対する信頼感ですか?

高畑「100%そうです。あとは監督にお任せです。なんて、こんなこと言ったらまた小林監督から怒られちゃいますけれど(笑)」





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WOWOW 土曜オリジナルドラマ
連続ドラマW 『煙霞-Gold Rush-』
特設サイト : wowow.co.jp/dramaw/enka
大阪在住の直木賞作家・黒川博行の小説「煙霞(えんか)」をドラマ化。ごく最近も実際に関西方面で大きな話題となったような私立学校の乱脈経営の実態を背景に、にぎやかな登場人物たちが巨額の金塊を奪い合いながら大阪~神戸を疾走する痛快アクションサスペンスだ。策略に次ぐ策略、一体誰が、いつから、騙し騙されているのか? 二転三転するストーリーが、観る者を二度三度と煙に巻く。
主演は、2013年から1年間、文化庁の文化交流使としてイスラエルのダンスカンパニーに所属した森山未來(兵庫出身)。帰国後初の映像作品への出演は大きな注目だ。そして、ヒロイン役に、数多くの舞台、連続テレビ小説「ごちそうさん」などで人気が高まる若き演技派・高畑充希(大阪出身)、さらには桂文珍(兵庫出身)ら異色の個性派キャストが勢ぞろい。監督は、映画『マエストロ!』の小林聖太郎(大阪出身)、脚本はドラマ「花咲舞が黙ってない」の江頭美智留(兵庫出身)。「オール関西出身」の主要スタッフ、キャストが「本当の関西」を映し出す、とびきり楽しいエンターテインメントの登場だ。



ストーリー
美術講師・熊谷(森山未來)は、理事長の酒井(桂文珍が経営を私物化している「礼儀・純潔・奉仕」がモットーの大阪の私立晴峰女子高校で働いているが、給料が正教員の三割引きというしがない立場。 ある日、破天荒な言動で学校からにらまれている音楽教師の菜穂子(高畑充希)とともに体育講師・小山田(尾上寛之)から、酒井に不正の証拠を突きつけ、自分たちの身分保証を求めようと持ちかけられる。思い切って酒井の愛人・朱実(中村ゆり)のマンションに乗り込んだところまでは良かったが、その後酒井と朱実が行方不明に。なぜか“教育コンサルタント”箕輪(木下ほうか)と中尾(木村祐一)に誘拐されてしまったようだ。熊谷と菜穂子は訳も分からぬうちに、酒井の隠し財産である巨額の金塊を奪う計画に巻き込まれることに……。果たして真の犯人は?そして気になる金塊の行方は?騙し騙されながら、大阪、神戸を駆け巡る金塊争奪戦が始まった!
原作:黒川博行『煙霞』(文春文庫刊)
監督:小林聖太郎(映画『マエストロ!』『毎日かあさん』) 脚本:江頭美智留(「ごくせん」「花咲舞が黙ってない」)
出演:森山未來、高畑充希、中村ゆり、木下ほうか、木村祐一、尾上寛之/桂文珍 ほか



撮影 中野修也/photo Shuya Nakano
文 大谷隆之/text  Takayuki Otani
ヘアメイク 市岡 愛/Hair Make Ai Ichioka(PEACE MONKEY)
スタイリスト 大石 裕介/Stylist Yusuke Ooishi(DerGLANZ)


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http://www.neol.jp/culture/

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