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世界はいつだって私たちのもの!女性目線で楽しむ第28回東京国際映画祭

NeoL / 2015年12月7日 5時50分

世界はいつだって私たちのもの!女性目線で楽しむ第28回東京国際映画祭

世界はいつだって私たちのもの!女性目線で楽しむ第28回東京国際映画祭

(c)2015 TIFF

 

世界中からホットな最新作が集う日本の一大映画祭「第28回東京国際映画祭」が10月末に開催されました。期間の10日間かけて色とりどりの映画作品が集中的に上映され、世界の映画人が集うこともあって、今年もシネフィルの熱気に包まれたメイン会場のTOHOシネマズ 六本木ヒルズ。

上映された海外作品の大半が日本未発表のものばかりですが、なかには今後、日本での配給が決まるものもあるはず。

 

今回ひときわ輝いていたのが、窮地に立ち向かう女性たちのドラマ。時には犯罪に巻き込まれ、ボーイフレンドを寝取られ、そして一方的な宗教観を押しつけられながらも、彼女たちの姿勢からは我が道を突き進む信念が感じ取れました。

ますます女性活躍の場が増える昨今だからこそ、浮き彫りとなる様々な現実問題。そのひとつひとつにどう立ち向かうかは人それぞれですが、ちょっとしたヒントをくれたり、背中押しをしてくれるのは映画のいいところ。

 

今回はそんな注目の三作品をご紹介します。

 



 

 

LAのLGBTが自分たちなりのファミリーと過ごす聖夜


 

『タンジェリン』(2015年、アメリカ)

 
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(c) Tangerine Film, LLC

 

ロサンゼルスはハリウッドを舞台に、トランスジェンダーの二人が繰り広げるドタバタコメディードラマ。

 

夏のように暖かいロスのクリスマス・イブ。ブロンドのカツラを被ったシンディと黒毛を被ったアレクサンドラ。二人は売春婦であり、大の親友。シンディは恋人の浮気相手をとっちめようと街中を駆け巡り、歌手を夢見るアレクサンドラはカフェでのライブ出演にドキドキ。

二人の大事なイヴの夜、結末は果たして……!?

 



 

 

今年、アメリカ全州で同性婚が法的に認められたこともあって、まさにタイムリーなLGBTを真っ向から捉えた本作。そればかりか、全編をiPhone 5Sで映像撮影したり、エキストラたちの大半が実際にその街で娼婦として暮らすリアルな人々であったり、とにかく話題だらけ。

つまりこれはフィクションでありながらも、限りなく現実に近い登場人物たちと、彼女たちにリアルな動きをしてもらうために最善のサイズ感と動作性を兼ね備えたiPhoneをカメラにした、ドキュメンタリーに近い新感覚の映画。

日本でクリスマス・イヴといえば、恋人同士で過ごす聖なる夜。だけど欧米では家族と過ごす一日。そんな大切な日にドタバタに巻き込まれていく二人ですが、ヘンテコながらも集った人々はみな〝切っても切れない縁〟で繋がれています。

生まれ持った家族ではなく、自分たちが見つけた〝ファミリー〟と過ごすイヴの夜。それは自分たちなりのやり方でストリートを生きると決めた彼女たちの意志を象徴づけていたのかもしれません。

 


ワンカットが見せる人生と運命のイタズラ


『ヴィクトリア』(2015年、ドイツ)


VICTORIA


 

(c)Matchfactory

人生と運命のイタズラに翻弄される女性の20分間を描いた『ラン・ローラ・ラン』を生んだドイツはベルリンから、またしても疾走感あふれる最新作が誕生しました。

 

スペインからベルリンに移住して三ヵ月の若い女性、ヴィクトリアは現地の友達を見つけるためにも、日夜クラブで踊り明かす。ある晩、四人の青年と偶然知り合い、やがて彼らが引き金となって犯罪に巻き込まれていく。


青年たちとの出会いから衝撃のラストに至るまでの140分間を、なんと脅威のワンショットで捉えた本作。

脚本は12ページのみ、大半の会話はアドリブ。午前四時半から七時までという夜明けのあいだに撮り切ることを条件にしたストーリーはもはや実現不可能な響きさえありますが、脅威の三テイクで撮り切ったのだそう。

青春を謳歌する若者たちが運命の歯車によって犯罪に巻き込まれていく過程が途切れることなくワンカットで描かれることによって、観客であるはずの私たちもいつの間にか、その一員として一喜一憂を共にしていることに気づきます。

 

冒頭でピュアなイノセンスをふりまくヴィクトリアが犯罪に巻き込まれていくなか、徐々にしたたかさを発揮し、か弱くも機転を利かせて生き抜こうと奮闘する姿には誰もが元気づけられるはず。

脚本重視の作品が多いなか、役者の感情や行動が織り成すドラマ性に大きく重きを置いた本作は実にユニークかつ爽快といえるでしょう。しばらく映画を観ていないという貴方にもきっとオススメの一本。


イラン発、女性の死に潜む伝統の闇


 

『ガールズ・ハウス』(2015年、イラン)


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全世界絶賛の傑作『別離』を生んだイランからは、伝統のタブーに真っ向から疑問を投げかけるサスペンス映画『ガールズ・ハウス』をご紹介。

 

結婚式を目前に控えた花嫁が遂げた突然の死。友人二人が、謎の電話や、亡くなったはずの花嫁の携帯から送られてくるメッセージを頼りに、幸せの絶頂期にいたはずの花嫁の身に起きた真相を探る。やがて彼女らがたどり着くのは、式の当日に花婿が姑から無理強いさせられた、ある儀式だった……。


『ガールズ・ハウス』The Girl’s House Trailer物語の時間軸が交差しながらも、ストーリーが進むにつれて暴かれる真実。花嫁がとったのは悲しい選択肢でしたが、それは不条理な道徳観や男性社会における女性弾圧に刃向かうための数少ない手段のひとつだったのでしょう。
イスラム社会の伝統的な宗教観に疑問を投げかける本作は、イランのファジル国際映画祭で上映されて以来、海外での初披露を今回の東京国際映画祭で果たしました。しかし本国イランにおいては、不道徳な映画として非難され、いまだ一般上映できずにいるほど。
とりわけ女性への制限が根強い中東において、それでもなお我が道を進もうとする女性たちの姿が示唆するのは、伝統と現代の狭間にいる若者たちの葛藤。決してひとつの答えが用意されているわけではなく、観た一人ひとりがそれぞれの解釈で自分なりの答えを考えたくなる、そんな一本に仕上がっています。

Text by Lena Oishi and Tomo Kosuga

関連記事のまとめはこちら


http://www.neol.jp/culture/

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