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CHVRCHES × MARCY(THE BAWDIES)対談インタビュー

NeoL / 2016年3月3日 15時0分

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CHVRCHES × MARCY(THE BAWDIES)対談インタビュー


昨年リリースのセカンド・アルバム『エヴリ・オープン・アイ』が、世界中の音楽メディアによる年間ベストアルバム企画でピックアップされ、セールスだけでなく、評価の面でもブレイクスルーを果たしたチャーチズ。紅一点のヴォーカリスト、ローレンを擁するイギリスはグラスゴー出身のエレクトロポップ・トリオである彼らをこよなく愛するルーツ指向の4人組ロックバンド、THE BAWDIESのドラマー、MARCY。一見すると、接点がなさそうな2組の対談がここに実現した。ふたを開けてみれば、両者が大切にしているライヴ感や現代感覚といったキーワードを共通項に、言葉の壁を越え、会話は盛り上がりをみせた。


MARCY「赤坂BLITZでのライヴを拝見させてもらったんですけど、すごいアグレッシヴだったし、エレクトロポップでありつつ、生バンドらしいアプローチも取り入れていて、素晴らしいパフォーマンスでした」


ローレン「ありがとう。そう言ってもらえてうれしいわ」


MARCY「ローレンの歌い方がヴォーカリストとして格好良くて、生バンドを観ているような印象だったし、マーティンがヴォーカルを務めている曲“Under The Tide”も最高でした」


マーティン「アリガトー(笑)。やっぱり、お客さんがあれだけ盛り上がってくれると、僕もさらに盛り上がって、バンドもエネルギッシュになるんだよね」




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MARCY「チャーチズの作品では、リズムの作り方が好きで、そこにきれいなメロディが乗っていて、日本人の耳に馴染みやすい曲が多いなと思ったんですけど、曲を作る際の3人それぞれのこだわりというのは?」


ローレン「曲の作り方としては、まずはトラックよね。ヴォーカルが入っていないビートやサウンドを作って、そこにヴォーカル・メロディを付けていくの。イアンとマーティンの2人がそのプロダクションを担っているんだけど、その際に私が歌詞を仕上げて、曲を作り上げていくのが、チャーチズのやり方ね」


イアン「僕たちはスタジオに入ると、言葉で意思の疎通を図ることが少ないんだ。そうではなく、誰が出した音に対して、別の誰かが反応して、無言のまま、曲を作り上げていくんだよ。例えば、誰かが流したドラムループに対して、『そのリズムだったら、こういうフレーズはどう?』って感じで、キーボードのフレーズを弾いてみる。そして、そのフレーズを聴いた、また別の誰かが『そのフレーズだったら、こういうことも出来るよね?』っていう感じでさらに音を加えてみる。その都度、ありなしの判断をして、ゼロから少しずつ形にしていく。ある時点で誰かが『そのトラックなら、こういうメロディが合うじゃない?』っていうメロディのアイデアを思い付くと、そこからの作業はすごく早くて、ヴォーカル・メロディはどんどん出来上がるんだ」


MARCY「シンガーとプロデューサーということではなく、すごくバンドらしい制作プロセスですね。ライヴでは、ローレンがドラムのパッドを叩いたり、ベースを弾いたり、生楽器も要所要所で取り入れていましたけど、そういったことは作品を作る段階から考えているのか、それともライヴのリハーサルで決めているのか、どちらなんでしょう?」


マーティン「ライヴで使っている楽器も基本的にはレコーディングでも使っているものなんだけど、制作の段階ではその曲をライヴでどう再現するかは見えてないんだ。考えるのはその後の作業だよね。3人だけでその曲をどう演奏するか。しかも、観ている人が楽しめるように演奏するのはどうすればいいか。ツアーが始まる前に、3人で綿密なミーティングをするんだよ」


イアン「僕らはエレクトロニック・バンドだから、作品の再現だけを考えたら、ライヴ的な動きがないコンピューターやキーボードの操作だけになってしまって、オーディエンスにとっては視覚的に楽しめないライヴになってしまう。だから、作品をライヴで再現するにあたっては、オーディエンスが楽しめるような方法であることが何より重要なんだ」


MARCY「うん。チャーチズのライヴは、そういうことが考えられていたから、観ていて、すごく楽しかったです。ちなみにライヴ中、ローレンが叩いていたドラムというのは?」


ローレン「ローランドのV-Drumsという電子ドラムよ。見た目は普通のドラムっぽいんだけど、実はサンプリングされた音に繋がっていて、色んな音色で叩けるの」


MARCY「へぇー、あのドラムセットはそんなスゴいことになってるんだ!」



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――MARCYは電子ドラムこそ叩いていませんが、THE BAWDIESは、60年代のガレージロック・バンド、THE SONICSとの出会いをきっかけに、深く掘り下げるようになったリズム&ブルースやソウル、ロックンロールがルーツにありつつ、バンドとしては現代的な発想に立った音作りをしているんです……よね?


MARCY「(笑)その通りです」


マーティン「なるほど。THE BAWDIESの音楽スタンスはチャーチズとすごく近いと思うな。僕らも80年代、90年代のシンセポップ、エレクトロニックポップに片足を突っ込みながら、今の時代ならではの音にも耳を傾けていて、自分たちにとっては、今日生まれた音楽に興奮するのも、30年前に生まれた音楽に興奮するのも一緒なんだ。チャーチズは、そういう至極今日的な感覚に、自分たちの個性を加えることで、現代のリスナーに共感してもらえる音楽を産み出そうとしているんだよ」


MARCY「チャーチズの考え方は僕らと似てると思います。THE BAWDIESは、60年代のサム・クックとかオーティス・レディングが好きなバンドなんですけど、その良さを現代のリスナーに伝えるのは難しいから、チャーチズの音楽を聴いたりしながら、現代に生きている自分たちならではの音作りや曲のテイストを取り入れたりしているんです」


――現代的な音作りというのは?


MARCY「レコーディングは基本的に一発録りだし、もちろん、ドラムは生で叩いているんですけど、例えば、そのリズム・パターンをループ的なものにしてみたり、録り方を工夫したり、音を加工することで、ダンスミュージックのビートに近づけたり、その都度、試行錯誤をしているんです」


マーティン「一番大事なのは、曲だと思うんだ。サム・クックやオーティス・レディングの曲は、確かに昔に作られたものだけど、今でも聴き手の心に響くのは、素晴らしい曲、素晴らしいヴォーカルパフォーマンスがあるからだよね。そのうえで、THE BAWDIESのようなバンドだったら、メンバー全員が一つの部屋に集まって演奏することで生まれるエネルギーを伝えることは大事だと思うし、そのエネルギーをリスナーに伝えるためには、現代的な音作りや手法が必要になってくる」


イアン「僕らの場合、デモの段階がなく、作り始めた時点からレコーディングが始まるというか、レンガを積み上げるように少しずつ曲を作っていくから、その点はバンドと大きく違うところなんだけど、僕らは3人ともそれぞれ、チャーチズ以前はギターで曲を書いていくスタイルのバンドで活動していたから、チャーチズの曲作りは、その時の経験も活かされているんだと思う」


ローレン「私はエレクトロポップ・バンドではあるけれど、気持ちとしては、オルタナティヴロック・バンドの精神性を持ったバンドとしてライヴで演奏してるから(笑)」


MARCY「機会があったら、僕たちのライヴも観て欲しいな。僕らは、去年、フランス、イギリス、ドイツを回るヨーロッパツアーに行って、すごい反応が良かったんですけど、チャーチズは僕ら以上に世界のあちこちをツアーで回ってるじゃないですか? その土地によって反応だったり、演奏する側の意識は大きく違うものだったりするんですか?」


イアン「文化や国の違いによって、オーディエンスの反応は違うし、ライヴで感じられるエネルギーも違うから、ツアーではその違いが楽しみどころでもあるよね」



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――母国のイギリスだけでなく、世界の他の国で成功するためには何が必要だと思いますか?


マーティン「イギリスでも、例えば、アメリカやヨーロッパであったり、西洋圏以外の国でなかなか受けなくて、どうしてだろうと思っているバンドは沢山いるんだけど、自分たちが作った音楽を違う文化圏の人が共鳴、共感してくれるかどうかということに尽きると思うし、そこには正解はないと思うな」


MARCY「機会があったら、いつか一緒にライヴが出来たらうれしいんですけどね」


――チャーチズの男性陣はゲーム好きだとうかがっているんですけど、MARCYは「モンスターハンター」のゲーム大会で優勝した腕前なんですよ。


マーティン「え、マジか!」


イアン「攻略法教えてよ!」


MARCY「じゃあ、攻略法教えるから、THE BAWDIESをチャーチズのツアーに連れてってくださいよ!(笑)」


マーティン「はっはっは!オーケーオーケー! 考えておくよ!」


 

撮影 倭田宏樹/photo Hiroki Wada(TRON)

取材・文 小野田 雄/text Yu Onoda

企画・編集 桑原亮子/edit Ryoko Kuwahara



 


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CHVRCHES / Every Open Eye (jake-sya)

CHVRCHES(チャーチズ)


『Every Open Eye(エヴリ・オープン・アイ)』


(Hostess)


発売中


※ボーナストラック4曲、ライナーノーツ、歌詞対訳付


http://www.amazon.co.jp/エヴリ・オープン・アイ-チャーチズ/dp/B012LBMQKC/ref=sr_1_4?s=music&ie=UTF8&qid=1456853709&sr=1-4


https://itunes.apple.com/jp/album/every-open-eye-special-edition/id1015827170?at=11lwRX



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THE BAWDIES


『Boys!』


(Victor)


発売中


http://www.amazon.co.jp/Boys-BAWDIES/dp/B00NLZ2HRU/ref=sr_1_1?s=music&ie=UTF8&qid=1456853789&sr=1-1


https://itunes.apple.com/jp/album/boys!/id937193565


CHVRCHES

グラスゴー出身のローレン・メイベリー(Vo)、マーティン・ドハーティ(Key,Vo)、イアン・クック(Key,B,Vo)で結成した3人組 バンド。注目新人を 選ぶBBCサウンド・オブ・2013で5位を獲得。レーベル契約前からネットを中心に 人気が爆発。2013年3月、配信と12イン チシングルで『Recover EP』を発表。同月に出演した米テキサス州オースティンで行なわれた世界最大の音楽コンベンションSXSWでは、会場に詰めかけたオーディエンスと音楽関 係者で超満員となった。同年7月日本独自企画盤『EP』で日本デビュー。8月にはサマソニで初来日を 果たし話題をさらった。9月、待望のデビュー・アルバム『ザ・ボーンズ・オ ブ・ワット・ユー・ビリーヴ』をリリース。全英チャート初登場9位(10/5 付)、全米チャート12位(インディー1位)(10/12付)を記録。2014年2月には Hostess Club Weekenderに加え東京と大阪で単独公演を行った。2015年9月にセカンド・アルバム『エヴリ・オープン・アイ』をリリース。国内外の年間ベストア ル バムにも続々と選出されるなどそのキラキラとしたポップ・サウンドは変わらぬ人気と高評価を得ている。


http://hostess.co.jp/chvrches/

 

THE BAWDIES

ROY(Vo,B)TAXMAN(G,Vo)JIM(G)MARCY(Dr) 2004年結成。唯一無二の圧倒的なボーカルを武器に、彼らの敬愛してやまないリズム&ブルースやロックンロールをルーツにした楽曲や熱いライブパフォーマンスで魅了する4人組ロックンロールバンド。2014年12月に5thアルバム『Boys!』をリリースし、2015年3月には自身二度目となる日本武道館公演を大成功に収める。今年は初の野外ワンマンライヴ「SHOUT OUT LOUD!」を2016年6月18日(土)大阪城野外音楽堂、7月2日(土)日比谷野外大音楽堂に敢行する。


http://thebawdies.com/


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http://www.neol.jp/culture/

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