結成20周年を迎えたEGO-WRAPPIN’ 「イヤホン1個でも伝わる音楽を」
NeoL / 2016年4月20日 2時44分
結成20周年を迎えたEGO-WRAPPIN’ 「イヤホン1個でも伝わる音楽を」
今年、結成20周年を迎えたEGO-WRAPPIN' が、3枚組みのオールタイムベスト&カヴァーアルバム「ROUTE 20 HIT THE ROAD」 を4月20日にリリース。そこで、同アルバムのレコーディングが行われているスタジオにお邪魔して、中納良恵さん(Vo)と森雅樹さん(Gt)にインタビューをさせていただきました! アルバムに収録される新曲のエピソードや、20年を振り返って感じた想いとは!?
<新譜2曲、カヴァーに「さよなら人類」も>
ーー今回のアルバムは、開放的な選曲の「太陽盤」、しっとりと聴く「月盤」、全曲カヴァーの「星盤」3枚組みという20周年にふさわしい豪華な内容ですね!
森「EGO-WRAPPIN'として、年末はキネマ倶楽部、夏は野音でお祭り騒ぎみたいな、外と中を両方魅せているってことでスタッフが企画を提案してくれました。10周年でベストを出しているので、プラスアルファのものとしてカヴァーアルバムも入れて。キネマ倶楽部や野音でもカヴァーを入れた選曲をしていたんで、ライブでお馴染みのカヴァー曲から、新たなカヴァー曲までアレンジして詰め込みました」
中納「自分の曲なら中から見ていく感じなんですが、人の曲だから外から見るというか。カヴァーだけのアルバムを作るのは初めてのことやったので、いろいろと勉強になりましたね。難しいけど面白い作業でした」
ーー洋楽から邦楽までカヴァーされていますが、「さよなら人類」は意外でした。選曲はどのようにして決められたんですか?
中納「森くんがマニアックな曲をいっぱい持ってくるんです。でも、それがことごとく権利の問題でNGな曲が多くて。『さよなら人類』も森くんが提案してくれました」
森「すごい良い曲ですよね。カヴァーすることで当時の聴き方と今の聴き方の感じが変わるっていうか。それをきっかけにアルバムを聴き直したりしますよね。それにしてもたまは名曲が多いです。もの作りは楽しんでやっていますが、追い詰められることもあります」
中納「そうですね。昨日も『サル〜』って歌詞が、寝るときも頭から離れなかったです(笑)」
ーーたまの名曲がEGO-WRAPPIN'テイストになるとどうなるのか本当に気になります(笑)。「太陽盤」「月盤」には、1曲ずつ新曲が収録されますね。
中納「ひとつは愛の曲で、男女の恋とかだけじゃなく、親子愛だとか人と人といった、もっと大きな愛をテーマにしました。恋の歌は西野カナちゃんに任せておいて(笑)。もうひとつは、ハッキリ言ってるわけじゃないけど『人間すごいぜ』みたいなことを歌ってます。囲碁で人間のプロ棋士が人工知能に負けたってニュースがありましたけど、それをテレビとかでニコニコ言ってるのが怖い。ホンマ手塚治虫の世界やなと。みんなそうなると予想しているだろうけど、絶対アカンと思うんですよね」
ーーその新曲は20周年を意識して作った部分はありましたか?
森「意識してないけど、ベスト20年と新譜を入れて21年目みたいな感じで。また1年目からやるとしたら、あんまりとらわれずやっていこうって。いつもならバンドで録音するんですが、新曲2曲は自分たちでドラム叩いたりベース弾いたりして、楽器パートもほぼ二人で完結させました。繊細なところも組み込むのが好きで、よっちゃんはソロの時にシンセが多様されてたこともあり、ソロの感じがエゴに戻って導入されて、良いミックス感が出ていれば良いかなと思ったんですよね」
<イヤホン1個でも伝わる音楽のほうが良い>
ーー改めてこの20年を振り返って、思うことはありますか?
中納「あっという間の20年だった。世の中もデジタル化したり、一瞬で色んなものが変化していますが、変わらんものもあると思うんです。自分のことで言ったら音作りや表現の仕方は変わってないですね。デジタルも使うけど、やってることは昔から結構アナログやったりして。そういう人もいっぱいいらっしゃるんじゃないかと思います」
森「うん、デジタルが進むほど、アナログなものに魅かれるというか、逆に高貴に見えるというか。聴き手の環境や機材が変わっても変わらず心に届く音楽を作りたいですね。音楽のジャンルにもよると思うんですけど、流しのおっちゃんの音楽とかグッとくるやつあるじゃないですか。ああいうのって、そういうものを超越したものがあるから、そこが伝わるのが一番すごいんちゃうかなって。だから、片方のイヤホン1個でも伝わる音楽のほうがなんか良いなって思いますね。聴こうとして聴くんじゃなく漏れてくるっていうか。自然に漏れてくる音って音楽っぽいなと」
中納「その漏れてくる音が良いって思う人もいれば、それを聞き流す人も多かったりする。そういうの感じれるって、すごい大事ちゃうかなと思う」
森「蓄音機のシステムもそんな感じするんですよ。ドアの開きで音の調節をしたりするんですけど、ええなって。デジタルが進行するほど、そういうものがたまらんって人が出てくるんじゃないかな」
中納「今はジャンルも細分化されているし、パソコンだけでしか音楽聴かへん人がほとんど。かといってPCから流れてくるようにミックスしているわけじゃない。発信する側というより受け手側の問題で、あんまり振り回されないようにしようと思いますね」
ーーたしかに、デジタル化が進行するほどお二人の音作りの価値が高まりますね。最後に、21年目のEGO-WRAPPINの展望を聞かせてください。
森&中納「もっとEGO-WRAPPIN、自分の心を解放していきたい。やっぱり、知らず知らずのうちに制限をかけてしまうのが大人になるってことじゃないですか。でも20年ってすぐやったし、こうやって過ぎていくねんなってスゲェ思う。どんだけあがいても泣いても笑っても勝手に過ぎていくから。だから心の鎖を外して感じたいです。いろんなことを。UNCHAIN MY HEART!」
撮影 中野修也/ photo Shuya Nakano
取材・文 中川謙次/interview & text Kenji Nakagawa
EGO-WRAPPIN’
『ROUTE 20 HIT THE ROAD』
2016/04/20 ON SALE
3996円(税込)
関連記事のまとめはこちら
http://www.neol.jp/culture/
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