Mystery Jets × 福永浩平(雨のパレード)『Curve of The Earth』対談インタビュー
NeoL / 2016年7月21日 13時11分
Mystery Jets × 福永浩平(雨のパレード)『Curve of The Earth』対談インタビュー
1月にリリースされた5枚目のニューアルバム『カーヴ・オブ・ジ・アース』で壮大で美しい新たなる音楽像を提示したミステリー・ジェッツ。彼らの約5年ぶりとなる来日公演が5月12日に大阪のsoma、翌13日に東京の恵比寿LIQUIDROOMで開催された。東京公演のリハーサル後の限られた時間のなかで、ブレイン・ハリソンとウィリアム・リースがメディアの取材に応じた。Neolでは、ポストダブステップやインディR&Bなど海外の同時的なサウンドを意識的に自らのポップサウンドに昇華し、注目を集める日本のアートロックバンド、雨のパレードから、フロントマンである福永浩平との対談を企画。その模様をここにお届けする。
福永「僕は雨のパレードという日本のポップスバンドをやっていて。影響されている音楽は、海外のエレクトロハウスやエレクトロR&B。そこから得たものをいいバランスでポップスに混ぜることを意識して曲を作ってるんですね。ミステリー・ジェッツのニューアルバムを聴いて心がときめいたので、今日お会いできたのはとてもうれしいです」
ブレイン&ウィリアム「どうもありがとう」
ウィリアム「僕らの2ndアルバム(『トゥエンティー・ワン』)はイギリスで有名なDJのエロール・アルカンにプロデュースしてもらったんだ。彼が僕らと『ギターアルバムを作りたい』と言ってくれて、彼のダンスミュージックの要素と僕らのポップな要素が融合した作品だった。もしかしたら君のやっているバンドの音楽性とリンクする部分があるかもしれない」
福永「今作を聴いて思ったのはミステリー・ジェッツと僕らはルーツにしている音楽が全然違うんだろうなということで。そのうえでクロスするところがあるとしたら、ポップな部分だと思ったんです。今作は特に3曲目(『バブルガム』)がポップに響いてきました」
ウィリアム「指摘してくれた通りだね。今作は決してポップアルバムではないんだけど、『バブルガム』でアルバムにおけるポップな時間を作ってると言える。このアルバムのなかでポップな時間を用意したことはとても重要な意味があると思う」
ブレイン「僕らはもともとあまりポップソングを聴いてこなかったんだ。自分たちで意識してポップに接近していったのは、さっきも話に出た『トゥエンティー・ワン』というアルバムで。あのアルバムから作品のストーリーを伝えたり、メッセージを歌に込めてリスナーに届けることが大事なんだって思うようになったんだよね」
ウィリアム「ポップソングで一番重要なのは、大勢の人がひとつになれることだから。それはポップでなければ成し得ないことだよね」
ブレイン「うん。だから、僕らにポップの重要性を教えてくれたアルカンには今でも感謝してる。セカンドライフをバンドに与えてくれたと言っても過言ではない。それほどバンドとして前進することができたんだ」
福永「作品のテーマやサウンドのアイデアのフィーリングはどのように得てますか?
ウィリアム「僕らはつねにオープンなマインドでいるんだ。それと同時に自分たちの人生経験がダイレクトに音楽に反映されていく。ほら、人生ってどんどん変化するでしょ? たとえば前作(『ラッドランズ』)はベースのカイ(・フィッシュ)が脱退したことも作品に大きな影響を与えたんだ。そうやって、つねに新しい人生経験が、新しいサウンドとなって曲に反映されていくんだよね」
ウィリアム「君のバンドはセルフプロデュースで制作してるの?」
福永「今のところセルフプロデュースでやってます」
ブレイン「機材はいろんなものを使ってる?」
福永「機材が多いバンドだと自分でも思いますね。僕らの音源を聴くとライブで同期を使っているように感じるリスナーが多いと思うんですけど、全部生で演奏してるんですよ。パッドやアナログシンセを駆使して」
ウィリアム「いいね。僕らは東京に来ると必ずFive Gというシンセサイザーシヨップに行ってシンセを買うんだ」
福永「おっ! 僕もFive Gでアナログシンセを買いました」
ブレイン「ちなみに明日も行くよ」
福永「一緒に行きたいなあ(笑)。ちなみに今のロンドンの音楽シーンはどういった状況ですか?」
ブレイン「今のロンドンは、さまざまなタイプの音楽にあふれていて、刺激的だよ。エレクトロニックな音楽もエクスペリメンタルな音楽も盛り上がってるし、何より若いバンドの勢いがすごい。毎晩、エキサイティングなことがいろんな現場で起こってるよ」
福永「日本ではまだかろうじてメディアとしてのCDが生き残っている文化があって、UKはそうじゃないと思うんですけど」
ブレイン「そうだね。だいたいみんなストリーミングで音楽を聴いてるね。でもヴァイナルの売り上げがどんどん上がってるんだよね」
ウィリアム「去年のUKでのヴァイナルの売り上げは、ここ23年間で最高だったらしいよ」
福永「日本でもヴァイナルは若い世代を中心に盛り上がってます」
ブレイン「あとは、やたらフェスが増えてるね」
福永「それも日本と同じですね(笑)」
ブレイン「UKのどのフェスを合わせてもフジロックには敵わないけどね。フジロックは世界一のフェスだと思う」
福永「おおっ! 日本のミュージシャンでカッコいいと思う人はいますか?」
ウィリアム「正直あまり知らないんだけど、YMOは好きだね」
ブレイン「YMOはカッコいいよね。あとはBOREDOMSも」
福永「僕はいつか日本だけではなく海外にも自分たちの音楽を広く発信していきたいと思ってるんです」
ウィリアム「クールな音楽がどうかって、アーティストの素直さがそこにダイレクトに反映されているかどうかだと僕は思うんだよね。自分ではない別の何かになろうとしている音楽はクールじゃないと思う。君たちの素直さや誠実さが音楽に反映されたらきっと日本以外のリスナーにも届くはずだよ」
ブレイン「日本語のまま海外に発信したいの?」
福永「そうです。日本語のままで」
ブレイン「それはいいね! 映画の歌は世界中にあふれすぎているしね」
ウィリアム「そうそう。西洋人は西洋の音楽ばかりを聴きがちだけどね。君の試みをリスペクトするよ」
福永「ありがとうございます。いつかミステリー・ジェッツとフジロックで共演したいですね」
撮影 依田純子/photo Junko Yoda
取材・文 三宅正一/interview & text Shoichi Miyake
企画・編集 桑原亮子/direction & edit Ryoko Kuwahara
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後日当選された方にはいただいたメールアドレス宛にNeoL編集部よりご連絡させていただきます。
Mystery Jets
『Curve of the Earth』
発売中
(Caroline / Hostess)
1. Telomere
2. Bombay Blue
3. Bubblegum
4. Midnight’s Mirrior
5. 1985
6. Blood Red Balloon
7. Taken by The Tide
8. Saturine
9. The End Up
10. Spiralling(日本盤ボーナストラック)
11. Kickass(日本盤ボーナストラック)
※日本盤はボーナストラック(2曲)、歌詞対訳、ライナーノーツ付
※最新アルバム『Curve of the Earth』iTunes絶賛配信中!
https://itunes.apple.com/jp/album/curve-of-the-earth/id1051575450?at=11lwRX
雨のパレード
“You”
7月20日発売
(ビクター)
1. You
2. In your sense (「Happy Rainy J-WAVE」キャンペーンソング)
3. morning (NHKアニメ「ほのぼのログ」テーマ音楽)
【初回限定盤DVD】 (Live at clubasia 2016.4.9)
1. epoch 2. Tokyo 3. Petrichor 4. bam 5. new place
https://www.amazon.co.jp/You-初回限定盤-雨のパレード/dp/B01GOFEW8K
Mistery Jets
ブレイン・ハリソン、ウィリアム・リース、カピル・トレヴェディ、ジャック・フラナガン、ヘンリー・ハリソンから成るUK出身ロック・バンド。 2006年にはフジロックにて初来日。80's、プログレッシヴ・ロック、サイケデリック・ロックと全ての良いとこ取りをしたようなキャッチーなサウンドでここ日本でも高い人気を誇る。2010年6月には名門レーベル<ラフ・トレード>移籍後初となるサード・アルバム『セロトニン』をリリース。そして12年4月、オリジナル・メンバーであるカイが脱退するも通算4作目となるアルバム『ラッドランズ』をリリースしHostess ClubWeekenderで来日。15年11月、新メンバー、ジャック・フラナガンを迎え入れ5枚目のニュー・アルバム『カーヴ・オブ・ジ・アース』を2016年1月15日にリリース。国内外のメディアで絶賛を持って迎えられた。2015年11月にHostess ClubWeekenderにて3年振りの来日を果たし、続く2016年5月に約5年ぶりとなる単独来日公演を行った。
海外公式サイト:http://www.mysteryjets.com/
日本公式サイト:http://hostess.co.jp/mysteryjets/
雨のパレード
2013年結成。2016年3月2日1stフルアルバム『New generation』でメジャーデビュー。Vo.福永浩平の声と存在感、そして独創的な世界観は中毒性を持ち、アレンジやサウンドメイキングも含めまさに“五感で感じさせる”バンドとして注目されている。7月20日、メジャー1stシングル“You”をリリース。
http://amenoparade.com/
関連記事のまとめはこちら
http://www.neol.jp/culture/
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