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TOY『Clear Shot』Interview

NeoL / 2016年11月25日 21時44分

TOY『Clear Shot』Interview

TOY『Clear Shot』Interview



ロンドンの5人組、トーイの最新作『クリア・ショット』は、ミステリー・ジェッツの『カーヴ・オブ・ジ・アース』と並んで、今年イギリスでリリースされた屈指のサイケデリック・ロック・アルバムの一枚。もっとも、以下にトム・ドゥーガル(Vo/G)が語ってくれたように、「サイケデリック」という言葉だけでは捉えきれないスケールと多様な音楽性こそが『クリア・ショット』の醍醐味、であることは言うまでもない。ポスト・パンク、シューゲイザー、ゴシック、クラウト・ロック……などが全編を通じて複雑に交差し、いわく形容しがたい輝きをその音楽は放っている。バット・フォー・ラッシーズとのコラボ・プロジェクト、セックスウィッチも話題を集めたかれらの、最新メール・インタヴューをお届けする。



―最新作『クリア・ショット』は3年ぶりのアルバムになります。トーイの音楽世界がさらに奥深くまで押し広げられた作品、という印象を受けましたが、当人としての手ごたえはいかがでしょうか?


TOY「新しいアルバムを出せたことと、サウンドの仕上がりにはとても満足しているよ。感想を伝えてくれてありがとう。前のアルバムを出してからいろいろなことが起きたし、僕らも音楽や他の芸術の分野においていろいろな手段を試してみたんだ。それらのことが何らかの形で僕らの世界に滲み出してきて、それがこのアルバムに反映されているように感じるよ」
We're very pleased with how it sounds and to have a new album out. Thank you for your observation. Since the previous album a lot has happened and we've explored a lot of different avenues in music and other art forms. I feel these have seeped into our world somehow and are reflected on the album.



―ベクトルやディテールは異なりますが、ミステリー・ジェッツのアルバム『カーヴ・オブ・ジ・アース』と並んで、今年イギリスでリリースされたサイケデリック・ロック・アルバムを代表する作品、という印象を受けました。この意見についてはいかがでしょう? 


TOY「ミステリー・ジェッツのアルバムをレコーディングしたのは僕らの古くからの友達だし、僕らも彼らがあのアルバムのレコーディングをしたのと同じスタジオを使ったんだ。実験的なことをするのにいい空間だよ。彼らのアルバムは聴いていないけど、いいアルバムらしいね。僕らはこのアルバムが特にサイケデリックだとは思っていないんだ。最近じゃサイケデリックって言葉は何に対しても使われているよ。僕はこのアルバムは特定のジャンルに括ることが難しいと思う」
The person who recorded the Mystery Jets album is a very old friend of ours and we have recorded in the studio they did that album in. It's a great space for experimentation. I haven't heard their record but I have heard it is good. We don't really feel like this record is particularly psychedelic. The term psychedelic is used to describe everything these days. I think this record is difficult to assign to a specific genre.





Processed with VSCO with a6 preset



―今回の制作にあたり、描いていたサウンドの方向性やヴィジョンとはどのようなものだったのでしょうか? また、曲作りにおいてもっとも重要なポイントを置いていたのはどんな点でしょうか?


TOY「作曲のプロセスは(これまでと)似ていると言えるよ。僕らは全員曲を書いて、アイデアを共有して、それからお互いの家でそれぞれの曲のデモを作るんだ。このアルバムでは初めてこれまでと違うレコーディング・プロセスをとったんだ。違うスタジオと、違うプロデューサーを使ったんだよ。それに僕らは前のアルバムよりも多重録音を減らした、少しクリーンなレコーディングをするというヴィジョンを持っていた。僕らはこのアルバムでは、ヴォーカルのハーモニーと曲自体により重きを置くことで、より映画的なサウンドにしたかったんだと思う」
The writing process was similar I would say. We all write songs and share ideas then demo tracks at each other's houses. The recording process was different for the first time on this record. We used a different studio and a different producer. We also had a vision of recording it slightly cleaner than the last album, with less overdubs. I think we wanted a more cinematic sound for this record with more emphasis on vocal harmony and the songs.


―今回のアルバムは、現在のメンバー編成(※キーボード奏者のアレハンドロ・ディエスが脱退、代わりにザ・プロパー・オーナメンツのマックス・オスカーノルドが加入)になって初めて制作されたアルバムになります。これまでのレコーディングと比べてもっとも変わった点を挙げるとするなら、どんなところでしょうか?


TOY「前は全員ただ自分の楽器を演奏していたけれど、マックスが参加したことは僕らにより自由な、緩さのあるやり方を開拓させてくれたと思う。バンドの全員が、このアルバムの色々な部分で色々なシンセやキーボードを弾いているんだ。チャーリー(Dr)は「Fast Silver」でオルガンを弾いていて、ドム(G)もマックスも僕もそれぞれいろいろなパートを弾いているよ」
Before everyone would just play their own instruments but I think with Max joining it opened us up to being a bit freer and looser with how we do things. Everyone in the band at different points on the album plays different synths and keyboards. Charlie plays the organ on Fast Silver, Dom and me play various different parts as does Max.


―また、サウンド面に関して、これまでの作品と今回のニュー・アルバムとのもっとも大きな変更点を挙げるとするなら、それはどんなところでしょうか?


TOY「(前のアルバムからの)ごく自然な進歩だと思うよ。僕らはいつもその時起きていることを反映した音楽を作っているんだ。僕らはパーソナルなところから曲を書いていて、それは変わっていない。レコーディングの仕方や、アルバムを形作る助けになった僕らの人生における出来事、それとマックスの参加が大きな変化だったと言えるかな」
I think it is just a natural progression. We always make music that's reflective of what is going on at that time. We write from a personal level and that hasn't changed. I would say the way we recorded it and the events in our lives that helped shape it were the big difference as well Max joining.


―プロデューサーを務めたデヴィッド・レンチとは、今回のレコーディングにあたりどんなことを話されましたか? かれとのやり取りのなかで印象に残っていることがあれば教えてください。


TOY「彼はとてもいい耳と、細部にまで至る注意力を持っていて、僕らもすぐそれに気がついたよ。僕らは全員自分たちの頭の中で鳴っているサウンドについての細かいこだわりが強くて、彼とクリス・コーディ(※ヤー・ヤー・ヤーズ、ビーチハウスetc)はそれらを実現させるために素晴らしい仕事仲間だったよ」
He had a really great ear and a minute attention to detail which was immediately something we noticed. We are all quite particular and single minded about the sounds we have in our heads and him and Chris Coady were brilliant in working with is to achieve them.



Processed with VSCO with a5 preset



―アルバム全体を貫くストーリー、世界観のようなものがあれば教えてください。


TOY「(前作の)『ジョイン・ザ・ドッツ』の終わりから現在までの間の変化や時間、出来事と、それが僕らの人生にどんな影響を与えたかについてだよ。僕らの他のアルバム全てと同じく、これは僕らが一緒に共有している体験の、現在形の物語なんだ」
It's about the changes, times and events in-between the end of Join The Dots and now and how they affected our lives. Like all our albums it's the on going narrative of our shared experiences together.


―“I'm Still Believing”はタイトルも印象的ですが、この曲ではどのようなことが歌われているのでしょうか?


TOY「新しい人を見つけて、そっちの道を選んだときに身の回りで起きる変化についてさ」
It's about finding someone new and changes that can happen around you when you choose that path.


―“We Will Disperse”というタイトルも、非常に暗示的である印象を受けました。この曲ではどのようなことがテーマになっているのでしょうか?


TOY「永遠に続くものなんてないって考えだと思う」
I think it's the idea that nothing lasts forever.


―ところで、昨年にはバット・フォー・ラッシーズのナターシャ・カーンらと結成したプロジェクト、セックスウィッチの活動も大きな話題を呼びました。こうした活動が今作の制作に影響やインスピレーションを与えた面もありますか? あるとするなら、具体的などんなポイントにおいてでしょうか?


TOY「あれは僕らが友達のパーティーでナターシャ・カーンに会ったときに、コラボレーションをやったら楽しいだろうなと思って、1日でやった楽しい経験だったよ。僕らはイラクやタイなどの曲が入った、中東や極東のフォーク・ミュージックのコンピレーションを聴いていて、それらをある日録音したままそのことを忘れていたんだ。間違いなく、学んだリズムとかいろいろなものは、何らかの形で今僕らがやっていることにも滲み出ているよ」
It was a fun experience that we did in a day we met Natasha Khan at friends party and thought it would be fun to collaborate. We had been listening to compilation of middle and far eastern folk music with songs from places like Iraq and Thailand and recorded them in one day then forgot about it. The rhythms and some of the thongs we learned seeped in to what we were doing somehow, i'm sure.


―ちなみに、今回の曲作りにおいて、サウンドとリリックのそれぞれに関してインスピレーションとなったアーティストや作家、出来事など、対象は問わないので教えていただけると嬉しいです。


TOY「ヒッチコックのサウンドトラックや、『タクシー・ドライバー』のスコアを担当したバーナード・ハーマンはある種の影響を与えたと思う。彼の音楽のフィルム・ノワール風な雰囲気が大好きで、それを“Spirits Don't Lie”とかの曲では真似しようとしたんだ」
I think Bernard Hermann the composer of soundtracks for Hitchcock who also scored Taxi was an influence in some way. The film noir atmosphere from his music is something we loved and tried to emulate on tracks like Spirits Don't Lie.



photo Kentaro Takahashi
interview & text Junnosuke Amai
edit Ryoko Kuwahara





Warpaint_OuterSleeve

TOY『Clear Shot』
(Heavenly/MAGNIPH/Hostess)
発売中
※ボーナストラック4曲、歌詞対訳、ライナーノーツ付

トラックリスト
1. Clear Shot
2. Another Dimension
3. Fast Silver
4. I'm Still Believing
5. Clouds That Cover The Sun
6. Jungle Games
7. Dream Orchestrator
8. We Will Disperse
9. Spirits Don't Lie
10. Cinema
(日本盤ボーナストラック)
11. Spellbound
12. News From Nowhere
13. Poor Jack
14. Love seeker
https://itunes.apple.com/jp/album/clear-shot/id1139667296?app=itunes&ls=1&at=11lwRX



TOY
2010年に結成されたロンドンを拠点に活動する5人組ロックバンド。アルバム・デビュー前からNMEの「今聴くべき100のバンド」に選出。ザ・ホラーズのスパイダー・ウエッブもバンドを絶賛し彼らのUKツアー・サポートにトーイを起用した。2012年のデビュー作『トーイ』はNMEで8/10のレビューを獲得する等称賛された。サマーソニック2012で初来日を果たす。英ロックバンドのトラヴィスは自身の楽曲「ムーヴィング」で「今日は高速道路でトーイを聴かなきゃ」と歌っておりミュージシャンからも熱い支持を集めている。2013年、セカンド・アルバム『ジョイン・ザ・ドッツ』をリリースし、2014年にはHostess Club Weekenderで2度目の来日を果たす。2015年には紅一点のメンバーであった Alejandra Diez が脱退し、その後Max Oscarnoldが加入。2016年10月、新メンバーを迎えて初となるニュー・アルバム『クリア・ショット』をリリース。


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http://www.neol.jp/culture/

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