詩から感じる“美を伝えることば” 伊藤悠子さんが『現代詩花椿賞』受賞
NeoL / 2016年12月15日 13時3分
詩から感じる“美を伝えることば” 伊藤悠子さんが『現代詩花椿賞』受賞
何かに悩んでいるときや気持ちがふさぎ込んでしまったとき、心の支えになってくれる「詩」に出会ったことはありますか? 去る12月9日、年度内に発刊された詩集の中で最もすぐれた作品に贈られる『現代詩花椿賞』の贈賞式が行われました。
1983年に“美を伝えることばの力を高めたい”という思いで創設された同賞。会場にずらりと並べられた歴代の受賞作の1番右に、今年の受賞作、伊藤悠子さんの『まだ空はじゅうぶん明るいのに』(思潮社)が加えられました。
ゲストとしてお祝いに駆けつけた女優・杏さんは真っ白なドレス姿で登壇し、伊藤さんに花束を贈呈。受賞作のタイトルでもある詩『まだ空はじゅうぶん明るいのに』を壇上で朗読するシーンも。
「ただ目で読むだけでなく、口で発することの楽しさを感じました。この詩集からは空の色のように触れたら壊れてしまいそうな愛おしい瞬間を感じます。この詩集と出会えてよかったです」と笑顔をみせました。
杏さんに詩をつくる上でのこだわりを尋ねられた伊藤さんは「こだわりというのは特にありません。ただ、自分の詩の中には自分の言葉でない言葉があります。人がつかった言葉を使うとき、その言葉をわたしの言葉として受け入れる覚悟があります」と語ると、杏さんは「素敵です。この本と出会えてよかったです」と返しました。
同賞の選考委員を務めた佐々木幹郎さんは選評で「伊藤さんの、外部のモノとスタンスの取り方は、わたしを底無しの問いに導いてくれました」と受賞作を高く評価。続けて杏さんの朗読についても「とてもシンプルでこの詩集のよさをひきたてるものでした」と絶賛。
伊藤さんには正賞の特製香水入れと副賞の100万円が贈呈。読者の心を虜にした伊藤さんの詩集『まだ空はじゅうぶん明るいのに』は書店でも販売中。その世界観に、ぜひ触れてみてくださいね。
伊藤悠子(いとう・ゆうこ)
1947年東京生まれ。津田塾大学卒業。2005年頃から詩作をはじめる。第一詩集『道を 小道を』(ふらんす堂)で注目を集め、第二詩集『ろうそく町』(思潮社)は2012年第44回横浜詩人会賞を受賞。第三詩集となる『まだ空はじゅうぶん明るいのに』(思潮社)は、エッセイ集『風もかなひぬ』(思潮社)と同時刊行。
思潮社 公式サイト» 伊藤悠子『まだ空はじゅうぶん明るいのに』
http://www.shichosha.co.jp/newrelease/item_1630.html
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