1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

G.RINA『LIVE&LEARN』Interview

NeoL / 2017年2月7日 17時39分

写真

G.RINA『LIVE&LEARN』Interview



2015年に5年ぶりにリリースされたソロ・アルバム『Lotta Love』から約1年強を経てリリースされる『LIVE & LEARN』。ジャケットからも感じられる80s~90sフレイヴァを作品の基調にしながらも、ヒップホップ以降の、そして現代的な音像をそこに込めることに寄って、単なるリバイバルに留まらない先進的な作品性を形作っている。しかし同時に、その聴感や感触は非常にポップでリスナー・フレンドリーな表情を湛え、リスナーに様々な情景を楽曲ごとに見せる。鮮やかで艶やかな、G.RINAの描き出す世界は、やはりセクシーだ。



——前作「Lotta Love」から今作の間には、TOKYO HEALTH CLUB“Last Summer (Sunset Breeze Version)” 、Negicco“Good Night ねぎスープ”、 「T.R.E.A.M. PRESENTS : 田中面舞踏会サウンドトラック - LIFE LOVES THE DISTANCE」収録のG.RINA, Koedawg & 紫陽花“Instant Lover”と、方向性も内容も、提供形態も全く違う作品を手がけられましたね。


G.RINA「はい。異なるタイプの依頼をいただくのは自分でもおもしろくて。ありがたいですね。いろんなオーダーに応えたいと思っています」


——それだけG.RINAさんの作家性が幅広いということですね。


G.RINA「求められるものに応えたいのと、プラスアルファで提案を返したいと思っていて、いつもチャレンジなんです」


——そして新作『LIVE & LEARN』は、前作の『Lotta Love』からも感じた80sや90s初中期の雰囲気を、より強く押し出したようにも感じました。


G.RINA「そうですか。受け取る人によって、感想やイメージが違うんですよね。それが面白いなって」


——前作に見られた「今っぽい崩し方」よりも、今回はストレートな感触を受けたので、そう思いましたね。


G.RINA「前作は温かみのあるサウンドにこだわったんですが、今回はエレクトリックなシンセを強調したり、ビートもダンサブルな部分が強いかなと思います」


——それは制作の前提としてそう思われていたんですか?


G.RINA「結果的に、ですね。トラックの段階での“想像未来 feat. 鎮座DOPENESS”が出来た時に、これは前回とは違うアプローチがちゃんと提示できると確信が持てて」


——具体的にはどういった部分ですか?


G.RINA「80sファンクや90sリバイバル的な音楽が沢山出てきてると思うんですけど、そこでまだ使われていないような引用の仕方をしたいとも思っていて。“想像未来”や他のいくつかの曲では、ブラック・ミュージックだけじゃない80sのムードを意識的に取り入れました」


——個人的にはそれを“想像未来”のコーラス・ワークの部分で感じました。音楽的構造の上で「合わせる」と「ずらす」のバランスに、非ブラック・ミュージック的な部分を感じて。


G.RINA「熱い具に冷たいソースをかけるような感じというか。これがスゴく実験的な曲だったから、シンプルにソウルフルな“フライデーラヴ feat. yoshiro (underslowjams)”や“しあわせの準備”のような曲との振り幅が出せるかなと思いました」


——“想像未来”は1曲の中でビートの打ち方の変化で印象がガラッと変わる、トラックの中に時間の経過を感じる構成ですね。


G.RINA「色んなパターンのメロディやドラム、ビートを作って、行き着いた先に出来た曲で、出来上がりまで一番時間がかかりましたし、あれが正解だったか未だに分からない(笑)」



G.RINA "close2u" full length music video from plusGROUND on Vimeo.




s_grina1




——ただ実験的なんだけど、聴感はスゴくスムーズですね。「実験をしました」というようなエゴは前には出ていない。その意味では、鎮座DOPENESSとのタッグも、実験的だと思うんですが、スゴくポップな感触があって。


G.RINA「アルバムに鎮座くんを呼ぶ時に、何曲かトラックを聴いて貰ったんですけど、この曲を選んでくれたから、どう乗ってくれるんだろう?とワクワクしました」


——鎮座くんを迎えられた理由は?


G.RINA「ずっと前から一緒に曲を作って見たかったんです。B-BOYでありながら多面的な感じがありますよね。実際彼はたくさん音楽を聴いてるし、色んなパーティに呼ばれてて、良い意味で普通じゃない曲との相性はバッチリでしょ?」


——大河ドラマの番宣でラップしてますからね。


G.RINA「そうそう、あれもポップであり実験ですよね。この曲に関しても、ちゃっちゃと打ち返すことも彼ならできたと思うんです。でも4日ぐらい一緒にスタジオに入って、ああでもないこうでもないって、一緒に悩んで制作して。熱い作業でしたね」


——そのまま客演勢について話を伺ってしまいます。他にラッパーでは“夏のめまい”に田我流を呼ばれました。


G.RINA「田我流くんはバンド『田我流とカイザーソゼ』をやっているし、発想が柔らかい印象があったので、自然と声をかけてました。テーマとしては直球で『男女の曲』を作ろうと思ったんですが、やりとりしてたのが真夏の時期だったのでどうにも夏の内容になっちゃいました(笑)、でも年間通して聴いて貰えればなって」


——山梨という海無し県出身の田我流が海のことを書くのも面白いですね。


G.RINA「たしかに(笑)。妄想が余計に膨らんだかも知れない(笑)」


——男性ではシンガーとしてunderslowjamsのyoshiro、元Y2FUNXのKick a Showが迎えられています。


G.RINA「男性シンガーが全編を歌う曲が欲しいと思った時に、usjが昨年出したアルバム『PHONETIC CODE』が素晴らしかったので、yoshiroさんが浮かんだんですよね。アルバムに色気のある表現が出来る大人な男性の声が欲しかったんです」


——いわゆる「R&Bシンガー然」とした歌い方とは違う感触と色気があるヴォーカルの持ち主ですね。


G.RINA「そうなんです、『型』としての黒人ミュージシャン的な歌い方ではない、ってところも大事で。上手いけれど節まわしを技巧的にしすぎない。ソウルがあるかどうかは技術とは別の問題じゃないかと思ってて」


——いい意味でヴェテランらしいオーディナリーな歌の上手さがありますよね。一方でKick a Showは新進気鋭な存在で、その対比も興味深かったです。


G.RINA「Kick a Showくんの作品は直球に下半身R&Bだったりするんですが、ふしぎと切なさもあって、とにかく貴重種だなと思って(笑)。特にこのアルバムでは男性歌手にセクシーに存在してほしかったので、それぞれの個性にインスパイアされながら歌詞も書いていきました」


——今作も勿論ですが、G.RINAさんの作品は「セクシー・ミュージック」という部分が重要なファクターになっていますね。


G.RINA「 全曲ではないですが、そういう要素は入れたいと思っています。それも『よく聴くと実はエロティックな内容だな』って感じるぐらいの温度が良いかなって。人間の生活や愛の表現をしようと思ったら、どうしてもそれ(エロス)が漂って自然というか」


——ただ「よく聴くと」というお話があったように、明け透けな感じではないですよね。そのバランスも素晴らしいと感じました。一方で土岐麻子さんを迎えた“All Around The World”は、非常に可愛らしいニュアンスもあって。


G.RINA「シンガーとしては一番最初に呼びたいなと思ってた方で、OKがでてから土岐さんのヴォーカルや存在感をイメージしながら作りました。歌詞的にも、人が歌ってくれるならわたしもこういう甘い曲を書いてみたい、土岐さんも、人の歌詞で人の作品だったら、土岐さんの中の甘い部分をためらいなく出せるんじゃないかと思って」


——その意味でも、お互いに引き出し、引き出された上で作ることができた曲というか。


G.RINA「そうですね」


——“close2u”は音楽賛歌という意味でも非常に明確なメッセージになっていますね。


G.RINA「ダンス・ミュージック/クラブ賛歌ですね。今はスマートフォンひとつで色んな音楽が聴けるし、それでお腹いっぱいになることも出来るけど、クラブに遊びに行ったり、大音量で音楽を聴くことの楽しみも、伝えたいなって。それに付随して、そういう場所の空気感ーーそこで恋に落ちたり、朝起きたら『…なんだったんだ』っていう勘違いだったり(笑)。夜遊びならではの珍事をまじえて、ダンス音楽やそれを取り巻く環境の魅力を伝えたいと思ったんですよね。それも殊更に『素晴らしい!』っていうんじゃなくて、ちょっと下らなかったり、笑える部分も込めた形で表現したかった」


——メッセージという意味では、アルバムの入口となる“想像未来”、そしてピリオドとなる“しあわせの準備”は、どちらも未来に対する希望や願いという部分で共通していると思うし、その意味でも円環状の作品になっていると感じました。


G.RINA「その2曲にはジャケットも含めた作品全体の世界観や、メッセージがより強く入ってるかもしれません」


——そういった「願い」をメッセージしたのは?


G.RINA「私は現場で自分よりも若い子たちの多い空間にいることも多いので、私が私の年齢なりに伝えられることもあるかなと思ったんです。……わたしの活動初期には、歌手としてとりあえずデビューして有名になってから好きなことをすればいいなんていう大人が結構いました。良かれと思って言ってくれたのかもしれないけれど、私はどうしても自分でつくることをしたかったから、自分の技量が足りないのならば技量を磨こうと思ったし、自分のリスクで発表すればいいと思ったんですね。そういうことを続けていたら、アルバムが増えて、こうして自分のアルバムでヴォーカルを招いてプロデュースしたり、バンドでいろいろなところに呼んでもらえるようにもなってきた。ゆっくりかもしれないけれど、理想を持ってやりつづけなければ、そうはならなかったなと思うんです。もちろん自分のプロジェクトに関わってくれた人を幸せにしたり還元したりもしたい、課題は常にあります。でも夢を持つ一歩目から、誰かがこうすべきなんて通りにしなくたっていいし、既存の成功例も気にしなくていいんじゃないかな。みんなそれぞれなんだから。日々のどんなことでも、自分でいいイメージを持って進めばいい。その都度ベストを尽くして…、それがわたしの感じる『LIVE & LEARN』なんですよね」



interview & text Shinichiro "JET" Takagi
edit Ryoko Kuwahara



アルバムJKT

G.RINA
『LIVE&LEARN』
発売中
(VICTOR)
ゲストに土岐麻子をはじめ、鎮座DOPENESS、underslowjamsのyoshiro、田我流、そしてKick A Show(収録順)というフレッシュなキャストが揃ったプロデュースアルバム全10曲!
1.想像未来 feat. 鎮座DOPENESS
2.close2u
3.All Around The World feat. 土岐麻子
4.そばにおいで
5.フライデーラヴ feat. yoshiro(underslowjams)
6.街のレクイエム
7.memories
8.夏のめまい feat. 田我流
9.ヴァンパイア ハンティング feat. Kick A Show
10.しあわせの準備
Amazon → http://amzn.to/2jzmR7N
iTunes → http://goo.gl/FRlGLm




■G.RINA & Midnight Sun LIVE & LEARN リリースワンマンショウ with Guests
2017年3月2日(木)
東京 渋谷 WWW
出演: G.RINA & Midnight Sun ※ゲストは近日発表
開場 19:00 / 開演 20:00
前売 3,300円(税込 / 別途ドリンク代)
※お問い合わせ WWW 03-5458-7685


G.RINA(ジーリナ)
東京出身のシンガーソング・ビートメイカー/DJ。
2003年、作詞・作曲/演奏/プログラミングを自ら手がけた1stアルバム「サーカスの娘 -A Girl From A Circus-」でデビュー。これまで5枚のオリジナルアルバムを一貫してセルフプロデュースでリリースしている他、様々なアーティストへの歌詞/楽曲提供、客演をしている(土岐麻子、南波志帆、坂本冬美、Dorian、RSD、DjMadd、tofubeats、OMSB、Negicco他)。
5年の活動休止を経て2015年『Lotta Love』そして2017年『LIVE & LEARN』と、縁のある歌手やラッパーをゲストに迎え80sのブラコン/ディスコ/ブギーを現代的に捉え直した作品を発表。ライヴパフォーマンスはG.RINA & Midnight Sunとしてダンサーも交えたショウを展開している。

関連記事のまとめはこちら


http://www.neol.jp/culture/

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください