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Hong Bum Kim (DIM. E CRES. by CRES. E DIM.)Interview

NeoL / 2017年2月14日 18時54分

Hong Bum Kim (DIM. E CRES. by CRES. E DIM.)Interview

Hong Bum Kim (DIM. E CRES. by CRES. E DIM.)Interview



ストリートとモードをミックスさせたクローズとして高い支持を得ているDIM. E CRES. by CRES. E DIM.。韓国を代表するTOP5のデザイナーにも選出されたHong Bum Kimは、2010年に発表したCRES. E DIM.で、異なるファブリックをボディーに重ね合わせる実験から新しいシルエットを追求。独特のカラープランが最終的なアウトプットに生命力を与えるモダンなコレクションと表裏一体となるDIM. E CRES.では、ストリートの要素を取り込み、真逆なようでいてリンクした表現でグローバルな人気を得ている。ラフォーレ原宿で開催された“SEOUL BRAND at Laforet HARAJUKU”のために来日を果たしたKimにクリエイティヴについて、韓国のファッションシーンに関して話を聞いた。




—何度目の来日になりますか?


Kim「仕事はもちろん、プライベートの旅行も含めると10回くらいは来ています。外国に来るというより近所を歩くような感覚で、文化的にも近く、親しみやすさを感じています」


—ファッション関してもそうですか?


Kim「ファッションはちょっと違いますね。日本にはいろんなスタイルが存在していて、それをお互い尊重しあってるところが素晴らしい。それは韓国にはあまりない部分です」


—そうなんですね。なんだか意外に思えます。まず、あなたがファッションに興味を持ち始めたきっかけから教えてください。


Kim「小学校の時からスタイルやスタイリングというものに興味があり、大学でファッションを専攻し、深く掘り下げていきました。大学では海外のブランドのコレクションをたくさん見ましたが、特に北ヨーロッパのデザインやコレクションが好きでしたね。シンプルに見えるけど、過程に深みを感じます。そういうブランドの服は高くてなかなか買えなかったけど(笑)、実際お店に行って、触って、着ることで研究していました」



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—CRES. E DIM.はそのモードからの影響を感じます。一方、DIM. E CRES.は中でもストリートとモードのバランスを上手にとっているブランドという印象があります。


Kim「2010年からCRES. E DIM.というブランドを始めたんですが、それはかなりモードで、価格的にも高くて近づきにくい印象を持たれていました。そこで、もっとたくさんの人に身につけてもらいたくて、セカンドラインであるDIM. E CRES.を新しく立ち上げたんです。いろんな人に受け入れてもらえるように多くの試みをして、今の形ができあがりました。これは自分の内面の変化が大きかったと思います。
2010年にブランドを始めたときは、自分の中で欲が多かった。デザインは感性が問われる主観的なものですが、当時は客観的なものとして捉えていて、誰よりも服をうまく、きれいに作らなきゃという思いがありました。誰の目に映っても自分がデザインした服が素晴らしいという評価を受けなければならないと思っていたんです。当時の服を見てみると、悪くはないけれど重い感じがするんですね。
そうしているうちに、誰のためにファッションを提供しているのかなど、悩みが出てきて。そこで、自分自身についてもう一度考えてみたところ、日常的にも着れて、多様なカラーを使った服が好きだから、その方向でデザインする方が合っているんじゃないかという結論になったんです。だから一番大きい変化は、ファッションに対してすごくシリアスに考えていたのがウィットに変わったことですね」


—その変わったきっかけをもう少し具体的に説明していただけますか。


Kim「大学時代に専攻していたファッションがすごくシリアスなものだったんです。でも学年が上がっていくうちに、南米などのもっと明るいデザインにインスピレーションを受けるようになって。自分が今まで見てこなかった色使いやカラートーンがあり、すごく新鮮でしたし、自分は実はもっと色をたくさん使った多様性のあるものが好きなんじゃないかと気付きました。それで肩の荷が下り、ファッションにウィットを活かすようにしました。以前は机に向かってガリガリとデザインをしていたけれど、今は街に出て人々がどうやって音楽を聴いてるのか、話しているのか、歩いてるのかなど、実際に人々が過ごしている姿を観察しながらデザインするようになったんです。その反映もあってデザインが軽くなったのかもしれません」



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—人々の観察にはSNSも活用しているんですか?


Kim「SNSはたくさん見ています。各地に旅行をするのも、人と接するのが好きだからやっていることで、どの国に行ってもとても面白いですが、僕がいつも注目するのは“どこの国の”というのではなく、“個人”。どの国にも面白い人がいて、それぞれに特徴を持っていて、そういう基準で見ていると、国境などはまったく関係ないなと思います。そうやって僕が外に出て影響を受けるように、デザインも実際に外に出て色々なものに触れることによって良いものに変わる気がします」


—インプットのツールであると同時に、ブランディングにもSNSを上手に活用されていますね。


Kim「もっとうまくやってる人はいると思うんですが、自分たちのコンセプトや考えなどを、しっかりアイデンティティを持って伝えるのが重要だと思ってやっています。それらを一番わかりやすくダイレクトに、効果的に伝えるのがSNSです。お金があったらもっと効果的な広告を出したり、色々やってるんでしょうけどね(笑)」


—(笑)。ブランドには若いファンが多いように見えますが、実際の購買層もそうですか?


Kim「元々やっていたブランドにも若い客層がついていたので、DIM. E CRES.も若い子たちが買ってくれてるようです。クリエイティヴクルーが7人いるんですが、みんな20〜28歳くらいの若いクリエイターだから、感覚が近い若い層に受け入れられるのだと思います」


—各シーズンのルックは決まったチームで作っているんですか?


Kim「そうですね。僕は写真を撮る作業が一番重要だと思っているので、フォトグラファーのセレクトは大切にしています。知名度というより、その時々のコンセプトやこちらと意見が合うかなどが重要で。大部分は一人のフォトグラファーに撮ってもらっているんですが、実は彼はアマチュアなんです。だからこそ自身の考えに固執せず、こちらの意見を受け入れ、吸収してくれる。彼もブランドの撮影に参加しながら成長していっていて、その成長を見るのも楽しいです。スタイリングに関しては、スタイリストはたてず、デザインチームでやっています。アシスタントも含めて3人でやることが多いですね」


—モデルはどうやって選んでいますか?


Kim「モデルの経歴よりも、どれだけ新鮮な顔を持っているかを重要視して選んでいます。そのショーでのイメージをうまく出してくれるような子を毎回探しています」




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—ルックやシーズンのコンセプトは自身で決めているんですか?


Kim「はい、デザインしている時からずっと考えています。デザインのコンセプトとルックのコンセプトはある程度繋がってるから、決まった時点でコンセプトに合ったヴィジュアルを作るためにみんなで準備して撮影を行います。ただ、僕たちのファンは年齢層が低いので、コンセプトや考えを深く詰めても、まだしっかりは理解してない。そういう点はすごく残念です。このAWでは、ファッションで一番重要だと思ってることを凝縮して詰めているので、理解してくれたら嬉しいです」


—DIM. E CRES.は日本でも人気が高いですが、韓国以外だとどの辺りのファンが多いんですか?


Kim「タイではとてもポピュラーですね。アジア圏での人気は高くなってきて、コラボ企画をやろうというお誘いもあったり、ヨーロッパでも少しずつ受け入れられてきている状態です」


—国のバックアップもあって韓国の音楽はグローバルに広がっていますが、ファッションにもそういうバックアップがありますか?


Kim「政府のファッションへの接し方はまだ決まっていないと思います。音楽は一度聴いたら忘れない響きもあるし、フィードバックが早い。お金をかけたぶん、すぐ効果があらわれます。けれど、ファッションは長い時間をかけて効果を得たり、評価も相手からもらうものだからなかなか難しくて、政府も手をつけるかつけないか試行錯誤してる段階です。日本の方は韓国のブランドがグローバルに広がってきてるとおっしゃいますが、観点の違いで、僕からしたら日本のほうがグローバルだと思います。日本は世界に通用するデザイナーの方がすでにたくさんいらっしゃいます。韓国では小さいブランドがここ10年でたくさん出てきて、成長を遂げてきていますが、まだ深みはない。その日本でDIM. E CRES.が評価されているのは嬉しいです。僕はデザインする時から韓国だけをターゲットにしてるわけじゃなく、全世界的をターゲットにできるように考えています。だからこれを機会に、日本の人たちともっと積極的に色々やってみたいですね。韓国でもたくさん予定はあるんですが、地理的にもすごく近いし、一緒にイベントなど企画できたらいいなと思います」




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interview & text Ryoko Kuwahara


DIM. E CRES. by CRES. E DIM.
デザイナーHONG BUM KIMによって2010年にローンチされた韓国を代表すコレクションブランドであるCRES. E DIM.のセカンドライン。コレクションラインのCRES. E DIM.は2010年3月にソウルファッションウィークにてファーストコレクションを発表。‘CONCEPT KOREA’によって韓国を代表するTOP5のデザイナーに選出されるなど、現在の国内外での活躍の足掛かりとなった。以来毎シーズンソウルファッションウィークでコレクションを発表する韓国を代表するデザイナーズブランドとなっている。CRES. E DIM.は音楽用語「crescendo e diminuendo」の略称で、「だんだん強く」そして「だんだん弱く」を意味しており、HONG BUM KIMが追求するデザイン哲学の方向性を指し示している。
セカンドラインのDIM. E CRES.は、CRES. E DIM.発表の1年後の2011年6月にローンチ。コレクションブランドの表記を逆さまにした名前に現れるように、そのコンセプトは表裏一体でありながらよりカジュアルでウィットに富んだものとなっている。コレクションライン同様ユニセックスでの展開となっている。

http://www.cresedim.com

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http://www.neol.jp/fashion/

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