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「TTT_MSW」TAMASHABU Interview

NeoL / 2017年2月19日 18時38分

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「TTT_MSW」TAMASHABU Interview



自身の頭文字にモダンストリートウェアという冠をつけたブランドを生み出し、破竹の勢いでシーンを席巻しているデザイナーTAMASHABU。時流を読み、昇華させる卓越したセンス、クリエイティヴへの確固たる視点、OTOGIBANASHI’S、OKAMOTO’S、KANDYTOWNといったストリートの中心軸を固める面子らと密接なコネクションーーこれから更なる飛躍を遂げることを確信させるファクターを備えたTAMASHABUに話を聞いた。


——いつから洋服作り始めたんですか?


TAMASHABU「ブランドとして初めて作ったのは19歳ですかね。文化(服装学院)の1年の時。ラフォーレ原宿で何人かでポップアップショップをやることになったのがきっかけです。その時はお金がなくて1型しか作れなかったんですが、そこからちょっとずつ増やしていきました」


——初めて作った服は?


TAMASHABU「スウェットです。ラビットファーのラグジュアリーなスウェットを作って、受注制にして販売したんです。そしたら50着くらいオーダーがついて、1着を3万5千円で売ってたから100万円くらい儲かったんですよ。それで『うわっ、すげぇ! 俺ブランドやれるかも』って感じで始めました」




——ラフォーレの次からは、どういう販売経路を作っていったんですか?


TAMASHABU「1回目の展示がたまたまいろんな大人の人の目に止まって、『生産をやらせてほしい』『セールスプレスやらせてほしい』という連絡がきて。それで4K!(プレスルーム)の合同展に出たら、DARUMAさんが推してくれたりして」


——それも偶然?


TAMASHABU「いや、友達の浅野啓介がDARUMAさんのブランドのモデルをした時に知り合って。それで横のブースで出展させてもらいました」


——そこでまたさらに声がかかって、今に至ると。


TAMASHABU「そうですね。その時に、卸すお店も決まって」


——ちなみに2回目は何型出したんですか?


TAMASHABU「7型くらいです。友達に手伝ってもらって、学校で全部手縫いしてました(笑)」


——えっ、じゃあ最初の50着も?


TAMASHABU「そうです」


——それはすごい。一点物だ。その次はスウェットとパンツと?


TAMASHABU「アウターとか。ちょっと舞台衣装に近いものでした」


——というと、今よりストリートの要素が薄かったんですね。


TAMASHABU「はい。元はモードなブランドが好きで。でも同時にストリートも好きだったんですけどね」


——モードというとどのあたりのブランドが好きでした?


TAMASHABU「RAF SIMONSがずっと好きで。高校生の時はそのあたりばかり見てました。構築的なデザインが好きで」


——建築からの影響もありますもんね。


TAMASHABU「そう。洋服からインスピレーションを受ける人より音楽や絵、建築物から作ってる人の服が好きかもしれないですね」



NeoL Magazine JP | Text: Ryoko Kuwahara | Photo Edit: Lina Hitomi | Brand: TTT | Designer: Tamashabu




NeoL Magazine JP | Text: Ryoko Kuwahara | Photo Edit: Lina Hitomi | Brand: TTT | Designer: Tamashabu




——TAMASHABUさんは何からインスパイアされて作ってるんですか?


TAMASHABU「うーん、何ですかね。本はめっちゃ読みます。文化(服装学院)は図書館がすごいんです。リュックができる仕組みや昔の車についてなどのプロダクトデザインの本もあるので、そういう所からアイデアを得たり。不必要なデザインはしたくないんですが、パッと見て可愛いと感じるのも大切にしてます。僕にとって、デザインは編集作業に近いんです。イラストレーターで組み合わせるイメージなので、オリジナリティを求めてパッと思いつくという感じではなく、資料を読んで、古着屋さんに行って、サンプリングしてとかばっかりやし、なにがなんでもオリジナルを追求するというよりセンスが良ければいいってタイプだし、それが得意だと思ってます」


——0から1を生み出すクリエイティヴでありたいというのは、みんなこだわっていて捨てられない部分ではあるけど、編集作業だと自分で言いきれる時点ですごいです。


TAMASHABU「それはそれですごい人がいて勝てない。僕は得意なところをやっていったほうが勝てるんで」


——なるほど。本以外に情報を得ているところというと?


TAMASHABU「ネットも見ますし、インスタとかも。海外のミュージシャンやアーティストは絶対チェックしますね。音楽自体もそうですけど、ヴィジュアルもかなりディテールまで見てます」


——ヒップホップのアーティストが多い?


TAMASHABU「ヒップホップの人は一番のアイコンだからチェックしてますね」


——一方でモードのコレクションも見て。その中で自分なりに編集作業して落とし込む。


TAMASHABU「いろんな所に行って写真を撮りまくって、2千枚くらいフォルダに貯めて、それを見返して服を作る作業です。いろんな建物を撮って、見て、作っていく、みたいな」


——シーズンごとにテーマとかあるんですか?


TAMASHABU「あ、はい。一応ありますね」


——それはフォルダを編集していくと、一つのカラーが見えてくるという感じ?


TAMASHABU「見えます。こういう気持ち、こういうムードなんだなとか。ムードを感じとるのは一番得意かもしれないです。そこはミスらないと思います。ちょうどいいところでやれてると思います」



——それは最初に服を作った時から感じてました?


TAMASHABU「その察知能力みたいなものは、自分が服着てた時からありました。好きで流行るだろうと思って着てたら翌年流行ったり、積み重ねで実感があったんで。VETEMENTSとかKOCHEも流行る前からめっちゃ好きで着てました」



NeoL Magazine JP | Text: Ryoko Kuwahara | Photo Edit: Lina Hitomi | Brand: TTT | Designer: Tamashabu



——当初思い描いていた自分のブランドイメージと今を比較してどうですか?



TAMASHABU「徐々にブランド像が変わってきたと思います。最初は着たいものを好き勝手に作ったらいいやと思っていたんですけど、今はわりとビジネス的に考えてるかもしれない。どういうものが売れるのか、どうしたらいい方向にブランドを持って行けるのかとか」


——ストリート色が強くなっていったのはマーケットを意識し始めたから?


TAMASHABU「そうですね。デザイナーはアーティストとは違うので、ちゃんとそういうことも考えてやらないと意味ないなと思って。アーティストとして生きるなら好きなことをやっていいけど、デザイナーでブランドやってるとなると、ちゃんとお金を作って、回して、やり続けることが一番大事。デザイナーってそういう仕事なのかなと思います。格好いいことだけやるのは、ある意味簡単な気がするんです。だから『どうなりたいの?』って言われた時にはいつも、『売れたいです』とだけ言おうと思って。それ以外、何でもないなって」


——明確ですね。そういう発想に行き着いたのは何か理由があるんですか?


TAMASHABU「生活している中で、したいことがすごくたくさんあるんです。そのためにはお金がいるし、生きていく中でいろんなお金がかかると考えた時に、ブランドでちゃんと稼ぐというのは自分が幸せになるためには必要不可欠だと思います」




NeoL Magazine JP | Text: Ryoko Kuwahara | Photo Edit: Lina Hitomi | Brand: TTT | Designer: Tamashabu



NeoL Magazine JP | Text: Ryoko Kuwahara | Photo Edit: Lina Hitomi | Brand: TTT | Designer: Tamashabu



——学校を卒業して、独り立ちする時によりシビアに意識し始めた?


TAMASHABU「そうですね。みんなは就職するけど、俺一人やし。服って本当に出ていくお金がめっちゃ多いから、考えないとヤバいなって」


——生産の度に出ていって、入ったお金でそれを清算して、というサイクルですからストックがないと怖いですよね。


TAMASHABU「そうなんです。怖いんですよ」



NeoL Magazine JP | Text: Ryoko Kuwahara | Photo Edit: Lina Hitomi | Brand: TTT | Designer: Tamashabu



——卸先はどのあたりがメインなんですか?


TAMASHABU「東京だとCITY SHOPやCANNABIS、大阪は高校からの友達がやってるCONTENA STOREなどが大きくやってくれてますね。今は全国で12、13店舗くらいなんですけど、すごく力を入れてくれる店舗だけに絞るようにしています。どこで売ってるかも自分で調べてほしいのでインスタとかで情報出してないんですが、そのぶんオンラインで出したときの瞬発力もすごいので、単発のアイテムに関してはネット販売でも力を入れたいです」


——卸先を絞るという、そういう手法はどういう風に学んでいったんですか?


TAMASHABU「うちのお父さんもお母さんも服飾の会社をやっていて、実際に聞いたことはないんですけど、そういう感じでやってるように見えたんです。30年以上洋服でご飯食べてるからスゲェなって思います。そこから肌感覚で学んでるし、お金のことはちゃんとしないとダメだってよく言われます」


——自分を養っていけるぐらいのことはできないといけないと。


TAMASHABU「そうですね。一人アシスタントがいるんですが、そこも養えないといけないし。そうじゃないと服作りをやらないです」


——稼げなくても自分が好きな服を作るようなことはやらない?


TAMASHABU「それはそれで尊敬しますけど、俺はできないです。それやったら普通に働きます。お金稼がれへんやったらやめます」


——じゃあビジネスの目標も細かく立てている?


TAMASHABU「立てています。シーズンごとにいくらとか。数字じゃないところでは、次はパリで展示会するんですが、海外の取引先を増やしていきたいです」



NeoL Magazine JP | Text: Ryoko Kuwahara | Photo Edit: Lina Hitomi | Brand: TTT | Designer: Tamashabu



——それに向けて海外に響くようなアイテムを作っています?


TAMASHABU「デザインで日本らしさを出そうとは考えてなくて、日本人が作ってるし、どうやったってそれっぽさは出ると思うんで、そこを意識して作ることはしないです。それより、ベテランの方にお願いしたり、生産の体制も変えていて、ラックに並んだ時の縫製など、マテリアルな技術を上げていっています。日本の方が海外よりクオリティが高いいので、そこをより際立たせたいんです」


——ルックを作る時のメンバーは決まってますか?


TAMASHABU「いつも同じです。みんな友達ですね。写真は僕の学校の先輩で、スタイリングは基本は僕がやります。モデルはそのときのムードに合っている人で、そのキャストをするのも僕です」


——コレクションのテーマが見えた時点でルックの方向性も決まっているんですか?


TAMASHABU「スタイリング重視で服を作るので、先にスタイリングを考えて作るアイテムをはめ込んでいくんです。だから、ルックのことも作る時点で頭にあって、どういうムードでどういうシチュエーションで撮るか全部わかってます。僕のブランドにとってスタイリングはとても重要なんですけど、自分の服だけより、いろんなブランドをごちゃ混ぜにした方が楽しいじゃないですか。だからブランド名もそういう意味をもたせていて。Tというのが僕の最初の頭文字で、あと二つのTが上下に重ねた時に+(プラス)になる。T+(プラス)何か=(イコール)生まれるという、自分だけで完結していないブランド、本当に自由に着てほしいブランドなんです」


——インスタレーションもやりたいと思います?


TAMASHABU「ああ、やりたいですね。ランウェイショーはあまり興味なくて、やるとしたら多分音楽中心になると思います。KANDYTOWNや(オカモト)レイジくん、OTOGIBANASHI’Sとかみんないるから、レイジくんがドラム叩いてどんどんラッパーが出てきてラップするのも面白いかな。ショーはエンターテインメントでいたいなと思って。そんな格好つけずに、面白くてちょっと吉本新喜劇的なノリでいいと思うんです」


——菅田(将暉)くんやKANDYTOWNを取材した時も思ったんですが、みんな同年代を大切にする意識が強いですよね。


TAMASHABU「それは大事だと思います。他のブランドも人に紹介するし、突っ張る必要はない。BIMとかも同い年なんですけど、もっと売れたらいいと思うし、KANDYTOWNとかもそうだし。大人へのリスペクトももちろんあるんですけど、同年代へのリスペクトもあるから、そこで僻んでいるより、ちゃんと評価してみんなが上がっていったほうが気持ちいい。ただ、メンバーはスゲェ選んでますけどね。ダメなやつはダメなんで。チョイスが間違ってないからみんなをリスペクトできるというのもあります。全くジェラシーとかないですもん。ジョニオさん(高橋盾/UNDERCOVER)や藤原ヒロシさん、NIGO® さんとかの世代に近いとよく言われるから、それもなんか嬉しいです。でも同世代がいないので、面白いデザイナーはもっと欲しいです。めっちゃイケてる、G.V.G.V.みたいなテイストのレディースのブランドが出て来てもいいのにと思ったりします。あと、もっと全部曝け出すことができる人がいたほうがいいなとは思います。格好つけてる人が多いけど、全部出しても格好いい人ってほんまに格好いい人やから」


——普段、友達とどんな話をしてます?


TAMASHABU「なんの話してるんやろ。服とかそういう話はしてないです。音楽を教えてもらったり、結構映画の話をしますよ。そういう何気ないところからプロジェクトの話が生まれたりします。いまムービーを作ってるんですけど、いつもルックはバイヤーさんとかに見せやすいように正面から淡々と撮ってるから、もっと違う見せ方がしたくて、『動画を撮りたいんですよね』って話をしたら、俳優の友達が『俺を出さしてよ』ってなって、野崎くんに脚本と監督やってもらうことになってーー本当に自然な流れです」


——コラボレーションしてみたい人やブランドはありますか?


TAMASHABU「COMME des GARÇONS とはやってみたいと思います。高校生の時に好きで着てたし、もう伝説みたいな感じなんで。UNDERCOVERとも一回やらせてもらいましたが、それもよかったです」


——次はパリでの展示ということですが、最終的にはどこに向かっているのか、具体的な目標を教えてください。


TAMASHABU「25歳までに年間で一億円は稼ぎたいです。先輩方の話を聞いてると、頑張れば8千万円まではいけるらしいんですけど、あと2千万円がきついらしくて。それを超えたらドンッといけると。それでどうやったら実現できるか考えているんですが、自分のブランド、他のブランドのデザイン、あと衣装や制服を作ったり、なんでもやらないと達成できない。それで実際に加藤ミリヤさんの衣装をやらせていただいたり、今もYUKIさんなどの衣装を作らせてもらっていて。さっきも言いましたが、1億円稼いで裕福な生活がしたいというより、ものづくりのためにお金使いたいから稼ぎたいんですよ。いま作っている動画もそうですが、映画も作りたいし、やりたいことがたくさんある。それを実現するために必要なツールとしてちゃんと稼ぎたいと思っています」



NeoL Magazine JP | Text: Ryoko Kuwahara | Photo Edit: Lina Hitomi | Brand: TTT | Designer: Tamashabu



TAMASHABU
TTT_MSWデザイナー
info@tttmsw.com
tttmsw.thebase.in/




Brand : TTT
Designer : Tamashabu
Text: Ryoko Kuwahara
Photo Edit: Lina Hitomi

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