△特集:YOSHIROTTEN Interview
NeoL / 2017年2月26日 18時40分
△特集:YOSHIROTTEN Interview
数多くのCDジャケットや映像、広告ヴィジュアルなど、ファンならずとも気付かぬうちに目にしているであろうYOSHIROTTENの作品群。そのクリエイションに特徴的に使われているモチーフが三角である。グラフィックアーティストである彼の目に、三角はどのように映っているのか。それは、一目見たら忘れられない彼のモノ作りの秘訣にも通じる話となった。
三角には神秘的なイメージがあると思います。三角は一番数少ない点でできている面ですよね。バランスが三点にわかれていて偏っていない。中にある空間が、前後左右なく、時空もよくわからない。そのバランス感が遠い存在だと感じさせるんじゃないでしょうか。実際に、山やピラミッドなど、崇められるような存在は三角が多いから、自分が使うときもそういう印象を抱いてほしいときだと思います。
仕事柄多くのサインやマークを調べるんですが、フリーメイソンや魔術、死装束の三角頭巾もそうですが、神がかったものごとには必ず三角が出てきます。
三という数字自体も、三井、三菱という代々続いている財閥の名字や、家紋などによく使われていて、神秘や権力と縁があるのもおもしろい。
創作していて思うのは、意志が一番あるのが三角だということ。丸や四角はもっと静かで語らないけど、三角は尖っているし、いちばん詰まっている。街中でも三角のものが突然表れたらビックリしますよね。人の注意をひくんです。
これは勉強して得た知識ではなく、自分がやっていく中で感じて、積み重なった印象。比率などのロジックで考えているわけではなく、感覚として得たものです。
インパクトを求められることが多いからなのか、仕事でも三角のモチーフは好まれる傾向があります。
例えばTeddyLoidというアーティストのCDジャケットを手がけているんですが、色々案を出したなかでも、なにもないところにいきなりピラミッドが浮かび上がってきたというアイデアが採用されて。シリーズになったので、作品が増えるごとに浮かんでいるピラミッドが増えていくという設定になりました。
JOHN LAWRENCE SULLIVANのTシャツを作ったときは、デザイナーの(柳川)荒士さんも三角が好きだったんですよ。シャープで鋭利で、なんかクールなあの形という、その感覚が共通していたから「なにか作ってくれ」ということになって。
DRESSEDUNDERSSEDからは、「三角でロゴを作ってほしい」というオーダーがきて、オリジナルのタイポグラフィを作りました。三角にしていくと記号っぽくなり、人間味もなくなるんですよ。DRESSEDUNDERSSED自体がそういうブランドなのでマッチしていると思います。ちょっと象形文字のようでもありますよね。
三角に呼ばれた仕事というのもあります。
TOYOTAの仕事で、三角のフレームの中に車を展示し、そのフレームの中におかしな映像を映そうという企画があったそうなんです。その元ネタを作ってくれるのは誰だということで僕に依頼がきました。まさに呼ばれた感じですよね。
パーソナルな作品でも三角モチーフは多いです。
一番最初の展示をやったときに、作品を入れるフレームを全て三角にしたんです。そうすることで不思議な世界観を表現できた。なにかメッセージ性も感じられ、見る人に引っかかりを作ることができたと思います。
3年くらい前にGALAというクッションブランドの延長としてインテリア用品を作ったことがあって、ホロスコープのマークがモチーフだったんですが、それに引っ掛けた三角の時計を作ったり、ホロスコープの相関図を絵にしたカーペットを作りました。それらのマークには意味があると思いますが、僕は成り立ちより形そのものたちに意味を見いだすタイプで、形からインスピレーションを受けてできたモノたちです。
これは、中心に向かってウワーッとなにかの物体が動いているような風景があったらおもしろいと思って、その思いつきだけで作ったステッカー。『インターステラー』で五次元に行ったときに、光の線が止まるじゃないですか。あれを観たときビックリして、隣の見ず知らずの人に「やばいっすね!」って言っちゃったんですよ(笑)。あの光の放射みたいな感じです。丸があるのも変ですよね。こういうモノを作るときって、この場所にこんなありえないものがあったらおもしろいだろうなと想像しながら作ってます。
透明な三角の箱を作って、食料とかいろんな物を詰めて写真を撮ったこともあります。かなり大きい箱で、今見るとなにを考えていたんだろうと思うんですけどね(笑)。
単純に、三角はかっこいい。
interview&text Ryoko Kuwahara
YOSHIROTTEN
1983年生まれ魚座。グラフィックアーティスト、アートディレクター、デザイナー。多くのレコードジャケットやファッションブランドとのコラボレーション、パッケージ、広告、空間デザイン、映像制作に至るまで幅広く活動中。GASBOOKより作品集をリリース。ロンドン、ベルリン、東京で個展を行う。3月よりルミネの全ウィンドウをジャック。3年ぶりの国内での個展、ニューヨークでの展示も計画中。
http://www.yoshirotten.com/
△特集
天野太郎「アートにおける△ 」
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光嶋裕介「ちいさな祈りの空間」
http://www.neol.jp/culture/53827/
Movie Selection by Kunichi Nomura
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http://www.neol.jp/culture/53992/
関連記事のまとめはこちら
http://www.neol.jp/art-2/
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