「NEW YORK , NEW YORK」 Interview
NeoL / 2017年3月29日 15時50分
「NEW YORK , NEW YORK」 Interview
2月にLUMINE0にて開催されたポスト9.11のデザイナーとして選出されたクリエイター9組による『NEW YORK, NEW WORK』展。伝説的デザイナーSusan Cianciolo、HOOD BY AIRの創立者LUAR、Rihannaらが着用するアクセサリーブランドCHRISHABANAをはじめ、BARRAGAN、ECKHAUS LATTA、HOMIC、Nhu Duong、HEIDILEE、Petra Ptackovaらの作品とともにインタビューを紹介する。
Susan Cianciolo
—今回の作品のテーマを聞かせてください。
Susan「コンセプトは人生、死、夢、睡眠です。ここで寝ているドールと同じように、女性のパフォーマーが寝るというインスタレーションになっていて、1997年にパリで公開したものの再構築になっています。寝ている間に起きることと起きている間に起こること、生と死だったり空想の世界と現実の世界を表現しているものになっています。
このパフォーマンスはパリ以降、ベルリン・ビエンナーレやアメリカ、ポーランドでも行っていますが、この作品以外にも私は何度も作品の再構築をしています。世界を旅させる中で、どんどん人形の数が変わったり、見せ方が変わっていくのです。
今回の展示の大きなテーマは9.11。私自身も実際に現地で体験し、死というものを強く感じた出来事です。一度死んで新たな自分に生まれ変わるという経験をしたのです。それを経て、改めて私の作品で重要なのは、死、生命、夢だと思いました。死後はわからないし、未来も予想できない。それは寝ている時に見る夢と似ている部分がありますね」
—ランウェイコレクションはいまは行っていないけれど、ホームコレクションを再始動されましたよね。
Susan「はい。娘と二人で共同でやっています。あとは1990年代にアシスタントだった人と同等のポジションで作っています」
—娘さんと一緒にというのは具体的にどうやって?
Susan「人形の手のグリッターは彼女のものです。クーポンも切ってくれ、フェルトやペイントも彼女が描きました。この人形自身も彼女が実際に使っていたベッドのシーツを使っています。『なんで私の大切なシーツを使っちゃうの!』と言われました(笑)。ポーランドの展示の時に、この人形を五体作らなきゃいけなくて、素材が間に合わなかったから、娘のベッド以外にも家中の生地を全部剥がして作ったら娘が悲しんで。大事なものがどんどん取られてしまうから大切なものは隠しているんです。娘は毎日私のために作るアートピース用のものと、それには渡したくないパーソナルなものとのふたつを作っていて、そこがすごくかわいいんです」
—娘さんはアートという意識で作るというよりもママとの大切なコミュニケーションとして作っているんですか?
Susan「アート作品としてと、私との思い出の両方の意味で捉えていると思います。すごくパーソナルなものだけどアートピースとして世に出てしまいますよね。彼女自身もパーソナルなものを作ることとパブリックなものを作るとことの区別やアーティストとはなにかということを、作る過程でどんどん学んでいっているんだと思います。そして、私にとってこれらは娘を思い出させてくれる大切なものです」
—あなたにとっては大切な家族が創作の原動力になっているんですね。
Susan「まさにそう。外にあったアトリエを家の中に戻して、家事もアートとして捉えるようになりました。家族は、唯一無二の大切なものです」
アメリカン・インディアンの ヒーリングと薬の文化からヒントを得て、モダンにファッションを再構築し続けている彼女はデザイナーでもあり、マルチメディア・アーティストでもある。2011 年に一旦活動休止宣言をしたが、それは ファッションから手を引き、アートに専念する決心だった。今になり少しずつファッション界に顔をのぞかせている彼女は、昔から音楽ともアートとも限りなく近いデザイナーであり、現在でも幅広いジャンルの若手アーティストから尊敬と憧れの眼差しを受けている。
https://www.bridgetdonahue.nyc
INSTAGRAM: @susancianciolo
BARRAGAN
—作品のテーマを教えてください。
BARRAGAN「ダイバーシティ、多種多用性がテーマになっていて、モデルたちが第二の人間のような格好をして、ぶら下げている筆で自由に床にドローイングしたり、インタラクトな動きをしたり、インプロビゼーション形式で行います」
—ポスト9.11というテーマはその表現にどう関わってきますか?
BARRAGAN「9.11と直接的な関係はないですが、多様性について考察しています。メキシコ出身で当時アメリカにいなかったのですが、アート作品を作るにあたっていろんな人と関わり、多文化とか何か、人種の違いや差別などを発信していきたいと思うようになりました」
—あなたの作品には工業デザイン出身というバックグラウンドだからこその独特の視点があります。
BARRAGAN「メキシコはファッションを学ぶ場所があまりないので、元々独学でファッションの勉強をしていました。工業デザインも学びましたが、そうした自分の歴史を見ても独特にならざるをえないし、それが良い方向に作用したと思います」
ビクター・バラガンはメキシコで生まれ、現在はNYを拠点に活動。メキシコで工業デザインを学んだ後、2010 年にファッションレーベル YtinifninfinitY を立ち上げる。ブランドは Tumblr を駆使して瞬く間にネットコミュニティーでカルト的人気を獲得。 当初このブランドはグラフィック T シャツに限られていたが、より幅を広げるために Barragan をスタート。 Barragan は、ファッションを通じてジェンダーやアイデンティティを表現する実験的なブランドとして、ファッション、メディア、ポップカルチャーなど私達の現代消費活動の在り方を問いかけている。ビクターは現在、彼が住むNYに Barragan を常設する場所を探している。Barragan は今日におけるドレス、消費活動、そして生活 についてその限界を模索している。
http://barragannnn.com
INSTAGRAM: @barragannnn
CHRISHABANA
—展示作品に関して聞かせてください。
CHRISHABANA「元々ゴス、パンク、トライバルという攻撃的な近未来的な傾向がありますが、今回の展示ではそれらをもっと爆発させたいという思いがありました。いつものコレクションラインをもっと発達させ、フルメタルとゴムで作られたハンドピース、フェイスマスク、ヘッドピース、貞操帯などを作りました」
—素材感やエッジを作ることで、とライバルな要素が近未来的に見えていくというのはとても面白いと思いました。
CHRISHABANA「そう、捉え方を変えるとトライバルは近未来になりますよね。もともとあるマイ・エネミーや、シルバーラインなどはまだトライバルさが強いと思います。しかし突き詰めていくと、お客さんにももっと挑戦してもらいたいとか、目にするものに対して考えてほしいという思いが強くなって、こういう作品にシフトチェンジしていきました。単なるジュエリーとしてじゃなく、何かしら見る人の心に訴えるものを与えたいというのは根本にあり、トランスフォーム(変身)できるジュエリーであるという信念をもって今回もこれらを発表しました」
イーストビレッジにアトリエを持つクリスハバナは、2008 年のデビューから、パンクやトライバルなデザイン要素を持ちながらも、現代的に鮮麗されたジュエリーを発表し続けている。フィリピンで過ごした幼少時代は、主に宗教とサイエンスフィクションに熱心で、ファンタジーに時間を取られていたという。HOOD BY AIR、OPENING CEREMONY, GYPSY SPORTS(2015 年 CFDA 受賞)など注目度が高いブランドとコラボレーションを発表。RIHANNA、Katy Perry や FKA TWIGS などのポップスター達の支持も強く、アルバムや雑誌のカバーに起用されている。
http://www.chrishabanajewelry.com
INSTAGRAM: @chrishabana
HOMIC
—今回の作品のテーマはなんですか?
HOMIC「新作の2017 AWコレクションを発表しています。カジュアルで着心地が良く、オーバーシルエットだったり動きやすさを重視したコレクションになっています」
—FITを卒業されていることもあって、構築的なシルエットですよね。
HOMIC「とても技術を重んじる学校だったので、建築のパターンメイキングなどテクニカルの部分を鍛えられました。ブランドも少人数制でやっていて、自分で切ったり、計算したり、フォルムを考えたりと大学で学んだ建築的な見方で作っています」
—性の柔軟性も謳っていますが、体のラインをあまり出さないことでユニセックスに着られることもそのコンセプトに基づいているのでしょうか。
HOMIC「以前はそれが強く出ていましたが、今回のコレクションに関してはあえてその要素を入れなかったアイテムもあります。もちろん変わらず重要なコンセプトなのですが、これから何年もブランドとして成長させていくうえで、全面に打ち出すより核として根底に置いて作っていくようになりました」
—今季はアジア的要素も感じますね。
HOMIC「そうですね。アジアのパターンは幾何学的で計算された模様が多く、FITで幾何学模様も勉強していたので影響があるかもしれない」
—今回の展示はポスト9.11というテーマがありますが、あなたはどのような影響を受けましたか。
HOMIC「考え方が変わりました。ただ物を作るのではなくて、自分に降りかかった影響や政治的な意味合い、自分が何かを変えられるんじゃないかという強い信念を持って物作りに勤しまなきゃいけない。ただ物を作るのではなく、そこにちゃんとした価値を見出して社会的に発信していくことを心がけるようになりました」
Joshua Homic がニューヨークのファッション工科大学 (FIT) 卒業後、2015 年に立ち上げたHOMIC。性の柔軟性を美意識の根底とし、独自のユニセックスを目指している。ファッションメディアの評価も高く、立ち上げ間もないがCoeval, Openlab, teen vogue, creem, Dreck magazine, essential homme などのファッション雑誌に多く取り上げられている。Joshuaの好きなフェティッシュ・カルチャーと 80 年代 のビジネスファッションにヒントを得たクリエイションで今後のさらなる活躍が期待される若手デザイナー。
http://www.homic.us
INSTAGRAM: @ho_mic
HEIDILEE
—アートとしても興味深い作品ですね。
HEIDILEE「実らぬ秘密の恋を描いた神話に興味があって、二つの交わらないものを一緒にするという作品を作ってみたかったとこから生まれました。9.11以降の今現在、常に誰かに見られているという感覚があり、すごく繊細になって周りを気にしてしまう。その感覚が神話の中の秘密の恋と繋がっています」
—だからこそたくさんの顔がついているんですね。3Dプリンターに興味を持ったのはなぜですか?
HEIDILEE「3Dプリンターは最終着地点じゃなく、あくまで作るための道具という意識です。私は竹から作られたものに興味があったんですが、作品に使うとなると壊れやすくて大変でした。それでもっと丈夫な素材がないかと、ナイロンの生地で作ってみたり色々試して。今使っている素材はその中で一番耐久性があったのです」
—なぜそんなにハットに惹かれるんですか?
HEIDILEE「叔父が50年以上ハットデザイナーとして活躍していて、大学教授をやっているのですが、その影響だと思います。私には常にハットが必要なんです。かぶっていると心が落ち着きます。愛するハットで、アメリカ最大の美術館で行われたアクセサリーのコンテストで優勝できたのはとても誇らしいことでした。ちなみに、2012年に作ったハットのインスピレーションは日本のお化けから得たんですよ(笑)」
3D プリントを駆使する新人女性アーティストとして注目され、世界各国のVOGUE やMACなどの広告イメージにも起用されている。ハイジの作るハットは Lady Gaga, Madonna, Anne Hathawayなど著名アーティストに支持されている。3D プリンターで使われるプラスチック素材の中でも特に柔軟性・耐久性に優れたものを使用し、一つ一つ手染めで仕上げている。「ハット」の精神的用途に興味を持ち、ハイジは自らマッドハッターと名乗っている。
http://www.heidi337.com
INSTAGRAM: @heidi_337
ECKHAUS LATTA
—すばらしいテキスタイルですね。
LATTA「この作品はNYファッションウィーク用に作ったもので二部構成になっており、MoMAとスージー寺山という別々のところで発表したもののうち、MOMAで発表した作品の再構築をしたものです。子供演劇の衣装を再構築したものと自分のマンガをミックスさせています。私はアート活動以外にマンガを描いているのですが、マンガは通常一方に進行していくけれど、私の作品は自分で切り取って順番を変えてそれぞれのストーリーを作れるようになっています。そのマンガの内容は“don’t touch me i’m tuck chic“。9.11を経験した女の子が、そこから避難して日本にやってきて3.11を経験するというストーリーになっています」
—服に西洋絵画的な要素を感じたのですが、絵を描いていらっしゃるということで納得しました。
LATTA「ファッション出身ではなく、美術学校出身で絵を描いていたので絵画からの影響はあると思います」
—あなた方にとってファッションはどういった位置づけですか?
LATTA「その答えわかっていたらこの活動はしてないと思います。作ったものを人がどういう思いで着るか、着た人がどう解釈するのかが重要だと思っています」
—アートと同じで、受け取る側とのインタラクティヴな関係を楽しんでいるのですね。
LATTA「ファッションとアートは切り離しておらず、同じ枠組みで考えています。ミュージアムやギャラリーでも商業施設でもやるし、ファッションとアート全部ひっくるめていろんなとこで活動できるというのがコンセプトとしてあります」
ECKHAUS LATTA はマイク・エクハウスとゾーイ・ラッタによるファッションブランド。彫刻とテキスタイルデザインを学んだ2人は、大学卒業後、多くのブランドやアーティスト、研究機関で様々な活動に従事。マイクは Marc by Marc Jacobs と Opening Ceremony で 2 年間 メンズアクセサリーのテデザインを担当。ゾーイは自身のテキスタイル会社を設立し、Calvin Klein, Opening Ceremony, Marc Jacobs などにニットや生地を提供。アート、ファッション、教育現場での経験も豊富な2人は2011 年にECKHAUS LATTA を立ち上げ、 最も注目されるブランドの一つと言われている。
http://eckhauslatta.com/collections/
INSTAGRAM: @eckhaus_latta
Nhu Duong
—今作のテーマを教えてください。
Nhu「去年のSSコレクションのテーマがユニフォームや作業着だったのですが、そこからインスパイアを受けた作品になっています。型にはまったパブリックなものをパジャマのように着るなど、公を私に変化させて表現できるかにチャレンジしました。着る人によって見え方が違うという、着こなしの部分を重要なポイントとして考えています」
—Karl Holmqvistとコラボレーションしたのはなぜですか。
Nhu「言語や陶芸といった彼の分野に興味があったからです。今回のコラボレーションが初めてではなく、以前に彼のパフォーミングアートの衣装を提供してたこともあって、逆に自分の作品関わってもらうという形でファッションショーを開き、ベルリン・ビエンナーレにも出ました。私はファッションも言語だと捉えています。言葉が色々なパーツを合わせたら文章として表現として成り立つように、ファッションも色々なパターンを組み合わせたらひとつの表現になります」
—9.11がテーマの展示にこの作品を選んだ理由は?
Nhu「私は直接的に9.11に関わっていないかもしれないけれど、ポスト9.11のアーティストとして、その時代を生きる一人として来ました。9.11の時はNYではなくスウェーデンにいたんですが、自分の周りにいる同世代の人やコラボレーション相手などで実際に経験した人も多く、人ごとじゃなく自分も深く関わっていると感じています」
ホーチミン生まれの彼女は、カンフーマスターであり仕立て屋の父を持つ。7歳でスウェーデンに移り、フィレンツェでファッションの勉強を始めた。Acne Studiosのアシスタントデザイナーを勤とめる傍ら、アーティストとコラボレーションをしながら創造する重要性を自身のブランドを通じて伝える。ヌーは単にコレクションをランウェイで発表するだけではなく、アートイベントや、映画の衣装、募金活動などに積極的に関わり、自身のライフスタイルとしてのクリエイションを発表している。世界の流れ身を委ねつつ創造するスタイルは、カンフーの教えに似ていなくもない。
http://nhuduong.com
INSTAGRAM: @nhu_duong_
LUAR
——今回のテーマをおしえてください。
LUAR「NYに生まれ育ったのは、多分この展示アーティストの中では僕が唯一なので、9.11以降のNYの現状をまとめて表現しました。例えばこの足場は、塗装の人が使う竹馬のようなものをイメージしていて、どこに行っても工事中の光景を目にする日常を切り取っています。こういう蛍光灯も常に光っていますしね。ドレスはNYの歪なビルの形をイメージしています。単なるゴミのような汚いものでも僕らにとっては美しいものでもある、そんな表現です。
もっと遡ると、80年代、90年代のNYは過酷な状態でした。僕が住んでいたウィリアムズバーグというブルックリンの方はすごく治安が悪くて、おしゃれな洋服を着て電車にも乗れなかった。差別も当たり前にありました。でも高校の時に通っていた学校がメキシカンもいればラテン系もアジア人もいるメルティングスポットで、いろんな影響を受けました。多様性があるコレクションはそのせいなのかも。いまのNYはいろんな刺激があってクリエイションが生まれやすい。僕は物書きではないけど、その代わりとして服やアートピースで表現しています。
——創作のインスピレーションはそうした生活に密着したことですか?
LUAR「街を歩いて思いついたことだけじゃなく、図書館に行って本を見て勉強したり、思いついたものと学んだものの両方を取り入れています。アーティスト名をLuarにしたのは、反対から読むと本名のRaulになるという、二面性の意味を込めている。それくらい二面性があるブランドなのです」
——クリエイティヴと商業のバランスをとるというあなたのフィロソフィーもまた二面性に繋がります。
LUAR「そう、そのバランスがまさに僕なんです。例えばこのパンツはアートなものだけど、デコラティブな部分を取り外しすると普通に着られる機能性もある。元々オシャレが好きで、ショートパンツなどを積極的に穿いてたんだけどパーティでは長いズボンを履かなくちゃいけないから、フードを足につけて長さが変えられるものを作ったり、どっちにも対応できるということをやっていました。僕が着たい実用的なものが二面性を兼ねているのです」
ブルックリン、ウィリアムズパーグで生まれ育ったラウル・ロベスは、 2年ぶりにNYファッションウィーク 2017SS で Luar を発表。以前 LUAR Zepol として活動していたラウルは、シジェンダーの限界に挑むデザイナーとして、また HOOD BY AIR の創立者として、全く新しいコンセプトをファッションに持込んだクリエイターとしてその地位を確立。現在は Luar としてメンズウェア、レディスウェア、 アクセサリーのコレクションを発表。彼の新たなシグネチャーデザインとなるハンドライティングのデザインと、商業性と創造性のバランスを重視した作品に焦点を当制作している。
http://luar.io
NSTAGRAM: @luar
Petra Ptackova
—今回の作品のテーマを教えてください。
Petra「自分の考えている脳内をキャンパスに描いて、洋服たちに変身するというのがコンセプトになっています。毎回新しいコレクションを考える時は絵を描いてからやっているんですが、今は私自身の分岐点として立ち止まる時で、いつもと同じような感覚ではいかなかったんです。なので、今回はすごくパーソナルな作品になっています。普段いろんなものを見たり学んだりして吸収するんですが、今回の作品は自分の内側を問いつめていってできた作品です。そしてあの無造作な部分のドローイングは自分の中の遊び場を表現しています」
—ポスト9.11というテーマはどのようにこの作品にコネクトしているんですか?
Petra「私自身が交通事故で経験した視覚障害と9.11との間に共通するのがトラウマなんですが、そうした出来事の後でも生きていかなきゃいけない。未来や過去ではなく、今あるものでなんとかやっていくという風に考えることができたらポジティヴになるんじゃないかなと思います。今を楽しんでいれば未来のことは関係なくなりますよね。この作品を作るのにもとんでもないプレッシャーがありました。今の時代、多種多様でいろんな選択肢があるかもしれないけど、今そこにあるものでなんとかするというのが私の信念です」
—それは素晴らしい信念であり、このペインティングもスランプなんて感じさせない強さと繊細さがあります。
Petra「ありがとう。ペインティングで無造作に描かれたラインをそのまま洋服に落とし込んで、ラフなシルエットにしました。巻けたり、いろんな形にできるので、作品で身を包んで心を安らかにできるんです」
昨年住んでいたパリで遭遇した交通事故による視覚障害をベースとした「I see, twice.」という画期的なコレクションを発表。コートが 3 パターンの顔を見せる作りや、ジャケットがショルダーバッグになるデザインなどで、自身の目の見え方 = 物の捉え方が大きく変わった事を表現している。彼女の作る一着は様々な変形が可能で、着ている人達にも新しい着こなし方を促す。ブランドのコンセプトは、幻想的で気まぐれなスポーツウェア。彼女はブラジルの格闘技カポエイラの熟練者であり、プロのスタントウーマンでもある。プラハ出身のペトラは、新しい生活を始めたNYで様々 なインスパイアを受けながら制作を続けている。
http://petraptackova.com
INSTAGRAM: @petraptackova
edit&interview Ryoko Kuwahara
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http://www.neol.jp/art-2/
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