ヴィゴ・モーテンセン『はじまりへの旅』インタビュー
NeoL / 2017年4月1日 13時5分
ヴィゴ・モーテンセン『はじまりへの旅』インタビュー
本年度アカデミー賞主演男優賞にノミネートされたヴィゴ・モーテンセン主演。カンヌ映画祭「ある視点」監督賞を始め、世界中の映画祭で数々の賞を受賞したロードムービー『はじまりへの旅』が公開。「自分で考える」「自力で生きる」ことを徹底的に教える父、そしてその教え通り、身体能力も学力も人波以上に育っている子どもたち。しかし、彼らが街に出たら、そこには「当たり前」「常識」というものがまとわりつくーー。いまの時代にどのように生きるか、改めて考えさせられるこの名作の主演を務めたヴィゴ・モーテンセンへのインタビューを紹介する。
——この役には自分がうってつけと考えていたとおっしゃったとうかがいましたが、それはどんな理由からですか。
ヴィゴ・モーテンセン「キャラクターのタイプという意味だったんだけど、よく理解できる点があったということかな。毎回キャラクターを演じるには学ぶことがたくさんあるんだけれど、たとえば僕は、子供の頃に魚釣りや狩り、ガーデニングをしていたから、その経験が僕自身にとっても、チームにとってもすごく役に立ったんだ。 “うってつけ”というのはある一部に関してで、ロッククライミングは大の苦手だったから、トレーニングは大変だったけどね(笑)。子供たちはまったく怖がっていなくて、ランチタイムになると、みんなスパイダーマンのようにスルスルと器用に降りてきたんだ。マット(ロス監督)が『ヴィゴ、みんな待ってるよ!』と呼ぶんだけど、僕は『いま行くよ〜』と言いながら、なかなか降りられなかった(笑)」
——こういう役を演じることは、あなた自身にとってどのような意味をもちますか?
ヴィゴ「子供たちに自分自身で考えて行動させるというやり方は僕自身も賛成で、自分の息子に対しても行ってきた。ときには予想もしない結果をもたらし(笑)、常にお互いの意見が合うわけでもない。でも例え意見が食い違っても、そこには対話が生まれるし、なにかしらをもたらしてくれるんだ。僕がこの映画の脚本を気に入ったのは、親と子供の対話がたくさんあるという点。それに僕はサプライズが好きだ。完璧な父親なんていない。この家族の生き方はとても興味深いよ。彼らはいったいどこに行きつくのか。中にはちょっと極端な者もいるけれど、自由な思想を持っていて、率直すぎるところも好きだ(笑)。もちろん僕自身が完全に同じ意見というわけではないけれどね」
—この物語のどんなところに惹かれましたか。
ヴィゴ「印象に残ったのは、誰もパーフェクトじゃないし、ヒーローでも悪者でもない点。各々にストーリーがあって、お互い順応性がなければならない。少なくとも他人の意見にオープンで、変化に順応できなければいけないということを教えてくれるところかな」
——ヴィゴが(『ロード・オブ・ザ・リング』のような)刀を持たないことに、キッズたちはがっかりしたのでは?
ヴィゴ「チャーリーはがっかりしていたな。チャーリーはとても刀を持ちたがっていたよ(笑)」
——子供たちのために、あの作品のエピソードを話したりはしなかったですか。
ヴィゴ「いや、僕らは撮影まであまり時間の余裕がなかったから、この映画のことに集中していたよ」
——ヌードシーンについては、問題なかったですか。やりたくないと言ったという噂もありますが。
ヴィゴ「いや、やりたくないとは言っていないよ。脚本に書いてあったから、果たして本当にやる意味があるか、監督と相談したんだ。それに他のことをした方が効果的かもしれないし。それでよく話し合って、結果的にとても重要で意味のある行為だと納得した。彼らしいし、この家族のあり方をよく示すシーンだとね」
——あなたは、日本映画に関してどんなイメージを持っていますか。お気に入りの作品などはありますか。
ヴィゴ「小津安ニ郎の映画はどれも素晴らしいね。最初はたぶん黒澤明とかゴジラ映画を観始めて、そのあと小津などを観るようになったんだ。彼の簡潔さ、そして多くがローアングルからのフィックス・ショットであるという独特の撮り方——彼の映画は、観る者をストーリーとともに成長させてくれる。多くの場合、家族の話で、とても表現豊かで、たとえ異なるカルチャーでも僕にはすごくリアルに映る。最初に観て以来、何度も繰り返し観ているよ」
「はじまりへの旅」
監督・脚本:マット・ロス 出演:ヴィゴ・モーテンセン、ジョージ・マッケ
イ、フランク・ランジェラ
© 2016 CAPTAIN FANTASTIC PRODUCTIONS, LLC ALL RIGHTS RESERVED.
4月1日(土)ロードショー
公式HP http://hajimari-tabi.jp/
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