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藤代冥砂「新月譚 ヒーリング放浪記」#46 睡眠

NeoL / 2017年9月20日 10時26分

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藤代冥砂「新月譚 ヒーリング放浪記」#46 睡眠



 無料アプリのSLEEP CYCLEを最近使っている。
 これは、睡眠状態を計測してくれるもので、人生の3分の1から4分の1に相当する睡眠について、その実態をしっかりと把握しておくことが、とても大切だろうと今更ながら気づいたからだ。


 ご存知の人も多いと思うが、睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠という二種があり、レムは主に体を、ノンレムは主に脳を休める分担となっていて、それが交互に繰り返されているというのが実態である。その繰り返しのパターンや睡眠の深さを計測してくれるのがSLEEP CYCLEで、就寝前に目覚めたい時間をセットしておくだけで、翌朝には夜間の睡眠内容をグラフとデータで示してくれる。スマホのマイクを通した呼吸のパターンを読み取っているようで、なんと鼾の時間まで算出される。日々の結果はまちまちで、ベッドでの滞在時間中の睡眠の質がパーセント表示されるのが分かりやすくていい。睡眠の質が悪かった時は、前夜の就寝前の過ごし方や、食事などを思い出し、それらを自身のデータとして記憶しておけば、上手な寝方を自分に合わせてカスタマイズできる。
 では、自分が現時点で気をつけている就寝前の注意点をいくつか紹介してみたい。
 まず、ゆったりとしたストレッチを30分ほど行うと、次第に自然と眠くなるような催眠効果がある。負荷が激しいストレッチは逆に興奮してしまうので、避けている。自分を労わり解すような丁寧なストレッチが効果的だ。
 入浴は、バスタブに浸かるのなら、40度以下のぬるめの温度にする。シャワーも同様で、熱い湯は気分をすっきりさせるが、神経を興奮させてしまうので、すぐにはベッドに向かえずに、落ち着くまでに2時間はかかってしまう。入浴後にゆったりと過ごす余裕があるならいいが、早く眠りたい時には、高温の入浴とシャワーは避けている。
 またPCやスマホは、就寝直前には絶対見ないし、2時間は空けるようにしている。(ちなみにテレビもだが、それは我が家にはない)ブルーライトの悪影響ならば、それをカットする眼鏡やスマホ自体に付いている画面の色調節機能で対応できるのだが、スマホやPCからの情報自体が、大方脳を興奮させてしまうので、避けるようにしている。
 この2例だけからも分かるように、自分が気をつけていることは、脳や身体を興奮状態のままにしてベッドに入らないということだ。これは良質の睡眠のための必須準備だと言っていい。




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 食事も、少なくともベッドに入る3時間前には終えるようにしている。脂っこいもの、消化に時間がたっぷりかかるものは、なるべく少なくする。
 あとは、瞑想も大切だ。詳しくはこことは割愛するが、深呼吸を吐く息を長くとりながら10回ほど繰り返すと、副交感神経が優位になり、リラックスできる。
 このようなことを気遣えた時には、睡眠の質は70%を超えてくる。逆にそれらができずに、むしろ悪いことばかりして眠ってしまった時には、26%という信じがたい数字を叩き出してしまったこともある。その数字を見た時は、愕然としたものだ。休むべき時に休めていないということは、なんと生き下手であろうか。


 平均6時間睡眠だとしても、人生を80年としたら実に20年は眠っていることになる。睡眠の質が、目覚めて活動している60年に影響があるのは当然なのに、不相応に軽んじられてきたようだ。その大切さに気づいたのは、この十年ぐらいのことで、しっかり休むことは、しっかり活動するための準備であるとは知っていても、それに伴うべき行動が追いつかなかったのは、怠惰というよりも、そんなことを気にしなくても十分な体力に恵まれていた年齢だったからで、その若さの神話が角を曲がる時になって、さてさてと重い腰をあげるのだ。


 図書館や書店で集めた睡眠に関する書籍は、色合いや語り口こそ違えども、大方述べている内容は一緒で、そこにはアヴァンギャルドな睡眠法は見つからなかった。どの本を手にしても、間違った方向に導くものはほぼ無いので、ここに記すことを参考にしてもらえば十分だと思う。
 寝具やナイトウェアへのこだわりは、昼間の活動時での良質のパフォーマンスを得るための投資の一つである。とは、特に女性向けの睡眠本に多い。アロマや音楽などに触れたものも女性向けに多い。雑誌などの特集では、セックスの催眠効果についても触れていたりするが、実際それは寝入りは良くなることはあれど、睡眠の質を上げはしない。それは肉体的疲労や絶頂感などの過度の興奮の反動で落ちるように眠るだけなので、言わば、崖から落ちるような睡眠である。
 これはアルコールにも言える。寝入りのために少量のアルコールは良いと大方の人は考えているが、アルコールを分解するのは結構な労働で、分解している間の眠りは浅くなる。寝入りは確かに良くなるが、質自体を向上させることはないとされている。
 またある説では、寝付いてから最初の90分の質が、その後の睡眠時間の質全体を決定するとも伝えている。


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 SLEEP CYCLEで計測した自分の睡眠のパターンを一定期間観察してみたが、寝付いてから最初の30分ほどで、いきなり深い深い睡眠へと落ちることがほとんどだった。脳が覚醒していて身体が休養を取る眠りの浅いレム睡眠を素通りして、いきなり脳も活動を停止する深い睡眠であるノンレム睡眠へと急降下するように至る。(余談だが鼾をかくのはこのノンレム睡眠時が自分の場合には多い。)この最初の深い睡眠時に、成長ホルモンがたっぷりと分泌される。このホルモンは名の通り、身体を修復し、成長させる役割があり、アンチエイジングの役割もある。この最初のノンレム睡眠が短かったりすりと、疲れが残りやすく、身体も十分修復されず、老化も進む。まずは、スムーズに寝付くことが大切である。入り方がうまくなれば、睡眠の質はほぼ手中にあると言っていい。そのためには前述の、いくつかが参考になると思う。


 深い睡眠、ノンレム睡眠にはストレス消去効果があるとも言われる。ストレスを発散させるホルモンであるコルチゾールがノンレム時に分泌され、ストレスの記憶を消去してくれるのだ。
 一方浅い睡眠であるレム睡眠は、記憶を整理する効果がある。レム睡眠時、脳は活動を継続し、インプットがオフになっている最中に、1日の出来事を記憶の棚に整理してくれるのだ。時系列さえ散らかった様々な出来事が、しっかりと整理されるのは、この睡眠時だと言われている。


 このように、睡眠は、脳や身体の休息、ホルモンの分泌、ストレスの消去、記憶の整理などの働きがあり、この睡眠が疎かになると、上記4つの働きが失われてしまうことになる。脳や身体が休めずに、ホルモンの分泌が滞り、ストレスはそのままに、記憶がぐちゃぐちゃなまま、翌日を迎えることが、大きなロスを生むことは想像に難くない。
 漠然と、睡眠は大切だとは分かっていたが、このように分解して見ていくことによって、その大切さが、ひしと分かる。


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 だが、特に都市で働き、住む者にとって、夜というのは大きな楽しみの一つである。睡眠時間を惜しんでも、その楽しみを優先させたい時期や、日もあるだろう。また眠りたいのはやまやまだが、仕事が終わらずに(付き合いの食事会も含めて)睡眠不足ということもあるだろう。時間が足らないからこそ、睡眠の質がやはり大切になる。ショートスリーパーという言葉があるように、中には短時間睡眠の方が調子がいい人もいる。これには質が良いとう前提があると思う。


 では、質を高めるには、どうしたらよいか。常識的なことも含めて、おさらいしてみよう。
 まず、昼間に適度な日光を浴びること。これによって催眠効果のあるメラトニンのスムーズな分泌を促す。次に、冷え性の人は足湯など末端を温める。眠くなると足や手が温かくなるのは、そこから放熱して体を冷やして睡眠へと誘うためである。冷え性の人は、まず温めることから。次に、昼間に適度な運動、歩行を行うこと。それらは心を穏やかにするセロトニンを分泌してくれる。また、朝には日の光を浴びることも、体内時計をリセットしてくれるので、夜になれば自然に眠気を催させてくれる。リストラクティヴヨガもいいだろう。体を横たえて、足を壁につかせて上げるポーズは、血液とリンパ液を心臓に戻し、体全体の巡りを整えてくれ、すっきりとした気分で眠気を誘う。また眠る前のルーチンを作るのもいい。読書やストレッチ、音楽、アロマなど、自分に眠る合図を送るのだ。


 ざっと挙げてみたが、そんなに新鮮味はないかもしれない。ということは、改めて睡眠を大切し扱おうとする決心がつかないかもしれない。そこには新種の遊びめいた仕掛けがあるといいかもしれない。そういう意味では、無料アプリのSLEEP CYCLEは役に立ってくれるだろう。繰り返しになるが、自分の睡眠が手に取るように分かるのだから。それを起点にして、前夜の過ごし方の分析に繋がると思うし、自分だけのデータを基にあれこれ考えてみるのは、案外楽しいものだ。はじめは半信半疑で使い始めた自分も、今ではSLEEP CYCLEのタイマーをセットして目をつむる時が、翌日のスタートに思えるほど、楽しみになっている。Sleep Qualityが80%を超えた日は、心身軽やかに日中を送れるような気がしている。


 では、良い、睡眠を。おやすみなさい。
 

※『藤代冥砂「新月譚 ヒーリング放浪記」』は、新月の日に更新されます。
「#47」は2017年10月20日(金)アップ予定。

関連記事のまとめはこちら


http://www.neol.jp/beauty/

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