いけばな小原流の家元 小原宏貴が初の作品集『NOVUS PLANTS 奇想の植物』に込めた想いとは
NeoL / 2018年11月12日 14時58分
日本の「いけばな」の三大流派のひとつ、小原流。その家元・小原宏貴氏が初の作品集『NOVUS PLANTS 奇想の植物』を発売した。6歳にして五世家元を襲名し、現在は芸術家としても活躍する小原氏が表現する“いけばな〜IKEBANA〜”の魅力が詰まった一冊となっている。
そんな本書の発売を記念して、同タイトルの写真展も同時開催、東京・代官山 蔦屋書店を皮切りに、日本国内外を巡回予定だ。
そして11月9日には代官山 蔦屋書店で小原氏のトークイベントも開催されたが、そこで小原氏は、そもそも作品集を出そうと思ったきっかけを「アートとしてのいけばなを見出したかった」と語った。
「いけばなは伝統文化のイメージがあると思いますが、アートとして捉えていくことで、もっと多くの人に新しいおもしろさや悦びをもたらせるのではないかと思いました。そしてこの作品集で最も表現したかったことは、『私の眼に映る植物の命の様々な魅力』です。種の状態から、朽ち果てて土に還るまでの移ろいゆく生命を魅力を、私がどう捉えているかをアートとして伝えたかった」(小原宏貴氏、以下同)
その手法として小原氏が選んだのは、植物を重力と花器から解放させること。自身と植物の間にある余計なものを一切省き、視点すら自由にすることで、今までにない斬新な表現を可能にしている。
「私と植物との関係性とは何か。まさに、私にとってのいけばな、ということに他ならないですが……『命にかたちを与える』ということになります。空間や、器がどうこう、という話ではありません。そして、この作品集では、私の痕跡さえも感じさせないよう留意しました。つまり、いける側である私が『こうしたい』と考えるのではなく、植物から聞こえてきた声や訴えかけてきた言葉を最大限に見せられるように、ひたすらそれを考えるのです。それは職業柄、いけようとしてしまう自分を制止することでもありました」
はたして小原氏の眼や耳には、植物のどのような言葉や声が届いているのだろうか。それは本書に収録された66点にも及ぶ一期一会の作品に集約されている、という。植物たちの溢れんばかりの生命力、儚さなどが表現された姿には、きっと誰もが目を奪われるはずだ。
さらにトークイベントの最後には植物を「まずは共同制作者。そして何よりも、美しさ、面白さ、狡猾さ、残酷さ……そうしたポジティブなものやネガティブなものを兼ね備えた命ある何か、それ以上の特別な存在」と語ってくれた小原氏。いけばなの家元として20年以上も植物と向き合ってきた小原氏には、植物の本来の魅力や循環する生命の輝きが見えているのだ。
「まだ次の作品作りの方向性は見定めていませんが、今後も植物と相談しながら、どういうものを作りたいかを考え続けていきたいです。もちろん、いけばなの家元としても、植物の魅力を多くの人にわかりやすい言語や作品に置き換えて伝えていきたいと思っております」
■小原宏貴プロフィール
いけばな小原流五世家元 / 芸術家
1988年、神戸市生まれ。1995年、6歳で五世家元を継承して以来、「いけばな」の普及と、芸術家として国内外の活動に力を注ぐ。現在は、小原流研究院院長、公益財団法人日本いけばな芸術協会副理事長、兵庫県いけばな協会理事、大正大学客員教授、小原流ビギナーズスクール校長を兼任。
■小原宏貴作品集『NOVUS PLANTS 奇想の植物』
定価:4320円
発行:美術出版社
サイズ:縦297mm×横200mm/192ページ
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http://www.neol.jp/art-2/
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