I Just am Issue: Interview with Marie Tomanova

NeoL / 2019年11月21日 17時0分

I Just am Issue: Interview with Marie Tomanova



ニューヨークを拠点に活動する写真家マリー・トマノヴァ。チェコ共和国の小さな町で育った彼女はアメリカへ渡り、写真を通して自分のアイデンティティを見つけた。『Young American』と名付けられたポートレイト作品は、ニューヨークのリアルな若者を切り取ったもの。200枚以上に渡る写真には夢や希望、自由が溢れている。2018年6月、チェコセンターニューヨークで開催した自身初となる個展をきっかけに注目を集め、憧れの写真家ライアン・マッギンレーの序文とともに今年3月には写真集をリリース。今夏の来日中には代官山蔦屋書店でソールドアウトしたことが記憶に新しい。現在は、プラハのプラゴフカギャラリーで個展を開催中。オープニングには多くの人々が集い、現地テレビやメディアでも大きく取り上げられた。そんな興奮冷めやらぬ翌日に滞在先近くのカフェでインタビューを敢行。作品のこと、リアルなアメリカとチェコについて話を聞いた。(→ in English)


ーー南モラヴィアの小さな町出身ですが、当時海外の情報はどうやって入手していましたか?


マリー「わたしはミクロフという小さな田舎町出身です。学校から帰ると畑を手伝ったり、犬と森の中を走り回っていました。今とはまったく違う世界ですね。海外のテレビチャンネルはないけど、国営放送でアメリカの映画を観れたんです。ほとんどがメインストリーム作品で、好きな映画のひとつは『プリティ・ウーマン(1990)』。16〜17歳のころは『セックス・アンド・ザ・シティ』をよく観ていました。アメリカに住んでいる親友のいとこがいつもDVDを送ってくれてたんです。かなりハマってましたね。わたしがアメリカについて知っていたことはそれだけです。当時はそれがアメリカなんだと思っていました」


ーー実際にアメリカ、そしてニューヨークへ移住して何を感じましたか?


マリー「とても衝撃を受けました。まずチェコとかなり違うこと。もうひとつは『セックス・アンド・ザ・シティ』ではなかったこと(笑)。実際はそれがとてもよかったんですけどね。ニューヨークは大きなエネルギーのあるとても”リアル”な場所。素晴らしい文化のるつぼなんです。どこから来たとか、何が好きとか、何を探してるとか関係ない。ニューヨークでは何かを見つけることができるんです。ここにはたくさんのレイヤーがあって、本当に気に入っています。わたしの新しいホームです」







ーーチェコでは絵画を専攻していましたが、ニューヨークでは写真をメインに活動していますよね。写真を始めたきっかけについて教えてください。


マリー「最初ノースカロライナに引っ越したときにはもう絵を描いていませんでした。でも日記を書くことに多くの時間を費やしていたんです。自分の感情や気付き、新しいと感じたすべてのことやたくさんの出来事を記録していました。書くことでカルチャーショックに対処しようとしたんだと思います。それから1年後にニューヨークへ移住しました。毎週末ミュージアムに足を運んでいて、あるときグッゲンハイムでフランチェスカ・ウッドマンの展示を見たんです。初めて彼女の作品を見たのですが、本当にインスパイアされました。そこには写真とともに彼女の個人的な日記が展示されていて、とても感動しましたね。これを機に写真を撮り始めたんです」


ーーセルフ・ポートレイトを通じてどのように自分のルーツやアイデンティティを見つめ直したのでしょうか?


マリー「セルフ・ポートレイトはわたしの写真活動にとってかなり重要なパートです。移住して最初の数年間、わたしはアメリカに所属していないと感じていました。まるで長い間見知らぬ土地にいるよそ者のようで。セルフ・ポートレイトを撮影することは、アメリカの風景の中にいる自分自身を強く主張するのに役立つ実践なんです。アメリカの風景の中にいる自分のイメージを見ることは、自分が所属していることをよりはっきりと自覚し理解する効果がありました。このプロセスは自分自身を理解する上でとても重要だったんです。『Young American』シリーズはある意味同じ実践の継続。アメリカの社会情勢とそんな社会にいるすべての若者、その中にいるわたしの空間を確立しているんです。わたしは今その一部だと感じています」







ーー素晴らしい経験ですね!セルフポートレイトから一転、『Young American』では、ニューヨークのリアルな若者を撮影しています。この作品を始めたきっかけとは何でしょうか?


マリー「わたしにとってセルフ・ポートレイトは簡単ですが、誰かを撮影するとなると責任が多く発生するので抵抗があったんです。長い間してませんでしたね。そんな中、フォトグラファーの友人が街を離れることになって、彼女が撮影していたブルックリンのクィアマガジン『POSTURE』にわたしを引き継ぎ役として提案してくれたんです。そのときはダウンタウンのラッパー、カント・マフィアとの撮影でした。他の人を撮影するのは初めて、ドアを叩くときとても緊張しましたが、素晴らしい経験となりました。楽しい時間を過ごせましたし、彼女も写真を気に入ってくれて。この経験から、写真を通して人と出会える、簡単に友達を作れるということに気付いたんです。インスタグラムから連絡して、わたしをインスパイアする人たちと会うようになりました。1〜2時間ほど会って話して撮影をする。人と会って写真を撮ることが大好きで、それが新たな情熱となったんです」


ーーこのシリーズでは300人以上の人たちと会って撮影したそうですね。撮影で大切にしていることはありますか?


マリー「わたしにとって撮影する人との繋がりを作ることが大切ですね。お互い心地いいと感じて一緒に楽しい時間を過ごせば、いい作品が撮れるから。その人のことを知るためには、少なくとも数分間一緒にいる必要があるんです」







ーー作品を通して見えてきたアメリカの今、リアルな姿について教えてください。


マリー「ニューヨークの若者は『セックス・アンド・ザ・シティ』とは違います。たくさんの異なるアングルにおいて、よりリアルで多様、活動的なんです。わたしと同じように夢を叶えるためにニューヨークに集まった若者は世界中から来ています。彼らは人を感化し、コミュニティでとてもアクティヴ。環境の変化や平等の権利、銃規制などを改善しようと強く求めています。ソーシャルメディアは発言の場なので、彼らはここでもかなりアクティヴ。今どき話を聞いてもらうために『ニューヨーク・タイムズ』のインタビューを受ける必要なんてないですよね。インスタグラムでも同じように発言することができる。とても重要なことだと思います」


ーーニューヨークの若者からインスピレーションを受けたのですね。


マリー「はい。社会にはまだ起きるべき変化があります。それは若者がもたらすもの、権力とお金を持っている年配の人たちではありません。それがわたしの感じていることであり、『Young American』は異なる背景、ジェンダー・アイデンティティ、夢、意見を持つ若者についての作品です。彼らはアメリカの未来なんです。『Young American』は、まさに彼らが自分らしくいることについてまとめた作品でもあります。疲れていて、幸せで、優しく、傷つきやすく、不完全。ニキビや傷跡などもすべてです。一番大切なのは、あなたが自分らしくいるということ。そのままのあなたでいてください」







ーープラハ初となる個展のオープニングはいかがでしたか?


マリー「とてもよかったです!『Young American』をプラハに持って来れたことがとても嬉しかったんですよ。たくさんの若者がオープニングに来て、とてもいい反応をしてくれました。個人的な意見ですが、チェコはまだわたしが望んでいるほど進歩的ではありません。人と違うことをはじめ、性別や宗教、肌の色に関係なく平等に感じることが難しいんです。例えば大半のチェコのマガジンに起用されるカバーガールはいまだにブロンドか茶色のロングヘアー、セクシーで修正されたものが”女性の美しさ”とされています。凝り固まった美の理想を壊すことが重要です。わたしは『Vogue Czechoslovakia 』を高く評価します。同誌は実際にこの問題と向き合った先駆者ですし、前回のカバーでは流動的なジェンダーやセクシュアル.・アイデンティティのモデルを起用しているからです。とても大事なことだと思います。『Young American』を通してたくさん異なるアイデンティティがあることを表現し、見た人たちに人と違うのはいいことなんだと気付いてほしいですね」


ーーアメリカのトランプ政権、イギリスのジョンソン政権、チェコのバビシュ政権など、世界的に広がるポピュリズムの動きに対してどう思いますか?


マリー「政治についてあまり取り上げたくないのですが、それはすべて間違っているし正気ではありません。来年のアメリカ合衆国大統領選挙で変化が起きることを願っています。チェコも同じですね」







ーーアメリカへ移住して、自分のルーツであるチェコを俯瞰的に見ることができたと思います。最近のチェコについてどう思いますか?


マリー「今チェコはまさに素晴らしいステージにいると思います。というのも、海外へ出ていろんな国で生活する本当をチャンスを得た最初の世代がわたしの世代なんです。海外を経験したほとんどがチェコに戻り、そこでインスパイアされた新しいレストランやコーヒーショップ、ギャラリーをオープンしています。彼らは自分たちの国に積極的に投資して、よりよい場所にしている。素晴らしいことですよね。世界を見てきた人々の新しい空気や波を得ることはいいことです。わたしが5歳のときに共産主義は終わりました。それまでこの国はとても孤立していたんです。そのため当時はアートやギャラリーの本格的なマーケットがありませんでした。お金がありませんでしたし、アートはただの贅沢品で手の届かないものだったんです。でも今ではそれも変わって、チェコのアート市場は成長しています。今はとてもエキサイティングで、新しいことを始めるたくさんの機会があるんですよ」


ーーこれからが楽しみですね!最後に何かお知らせがあればどうぞ。


マリー「11月4日から12月14日までプラハ芸術アカデミーで別の展示を開催しています。同校の220周年を祝うグループエキシビジョンで、わたしは特別ゲストとして招待されました。現在次の写真を制作中、来年はたくさんの展示を控えています。とても楽しみです!」
































Marie Tomanova
www.marietomanova.com
@marietomanova:https://www.instagram.com/marietomanova/


photography Marie Tomanova
text Yukiko Yamane






New York based photographer Marie Tomanova grew up in a small town in Czech Republic. She moved to the United States and found photography, through which she explored her identity. “Young American” is her portrait series, capturing the young people of New York today. There are full of dreams, hope and freedom, which is revealing in over 200 photographs. Since her first solo show at The Czech Center New York in June 2018, the diverse faces spread around the world. She released a book with introduction by Ryan McGinley earlier this March and the last copies sold out when she was in Tokyo this summer at the booklaunch at Daikanyama Tsutaya Books. Her new exhibition is on view at Pragovka Gallery in Prague right now. Many people visited the opening and Czech TV and media featured it. We got an opportunity to have an interview with her the next day after the opening. We met at a café and heard about her works, the real America and Czech, and more.


—You grew up in a small town in South Moravia, Czech Republic. How did you get information from overseas in those days?


Marie: I’m from small countryside town in Czech Republic called Mikulov. When I came home from the school, I worked in the vegetable garden or run around the woods with my dog. It was totally different world than now. There were no international TV channels, but we could watch some American movies from the national channel. Most of the movies were mainstream and one of my favorite one was “Pretty Woman”. I also used to watch “Sex and the City” when I was about 16 or 17 because my best friend’s cousin lived in the United States and they always sent us DVDs. I was obsessed with it. That’s all I knew about the United States and I thought that’s what America is.


—How did you feel when you arrived in the United States and New York?


Marie: When I moved to the United States and New York I was pretty shocked. First of all, it’s very different from the Czech Republic. Second of all, it didn’t look like “Sex and the City” at all (laughs), which was actually really great. New York is a very “real” feeling place with great energy. It is amazing melting pot of cultures. No matter where you come from, what you like, what you are looking for - you can find it in New York. There are a lot of layers in New York and I really like it. It is my new home.







—You studied painting in the Czech Republic, but you are working as a photographer since you moved to New York. Why did you start photography?


Marie: When I moved to North Carolina I wasn’t painting anymore, but I spent a lot of time writing journals. I was recording my feelings, observations, everything felt so new and a lot was happening. I think I tried to cope with culture shock through the writing. After the first year, I moved to New York. I went to museums every weekend and I saw Francesca Woodman’s show at the Guggenheim. It was the first time I saw her work and it really inspired me. There were her photographs and also her journals, her personal writing, which really moved me. It inspired me to start photography.


—How did you start exploring your roots and identity through self-portrait?


Marie: It was very important part of my photography practice. For the first few years I felt like I didn’t belong in the United States. I felt like a stranger in a strange land for a long time. Taking self-portraits was a practice that helped me assert myself in the American landscape. Looking at all the images of me in the American landscape had an effect of realizing and understanding more clearly that I do belong. This process was important for me to understand myself. And “Young American” series are in a way continuation of that same practice. It asserts my space in the social landscape of America and all kids in the society. I feel that I am a part of it now.







—Very important experience! At the same time you photograph these young kids in New York for “Young American”. Why did you start this portrait series?


Marie: It was easy for me to do self-portraits but I was really scared on the beginning to take pictures of other people because there are a lot of responsibilities. I didn’t do it for a long time. However my photographer friend had to leave the city and she proposed me to step in for her to do a shoot for the Brooklyn queer magazine called “POSTURE”. It was a shoot to photograph the downtown rapper Cunt Mafia. It was the first time I photographed somebody else. I was so nervous before knocking on the door but it was great experience. We had a great time and she loved the images. Through this experience I realized that I can actually meet people and make friends very easily through photography. I started to reach out to people on Instagram and meeting new friends, people who were inspiring for me. We would meet for 1 to 2 hours and we talk and take pictures. I love meeting people and taking pictures, it became my new passion.


—Then you met and took pictures of over 300 people for this series. What is important for you in the pictures?


Marie: It’s important for me to create a connection with the person I photograph because the pictures work better if we both feel comfortable and are having a good time. I always need at least few minutes to try to get to know the person.







—Please tell us about the real America through “Young American”.


Marie: The kids in New York are not like “Sex and the City”. It’s way more real and diverse, energetic in many different angles. These are the kids who come to New York to make their dreams come true like I did. They come from all over the world. They are inspiring and very active in the community: pushing for the environmental changes, equal rights, gun control and so on. They are also very active on social media because it is a platform that gives them voice. Nowadays you don’t have to have an interview in “The New York Times” to be heard. You can have voice as well on Instagram. I think that’s important.


—You got inspired by young kids in New York.


Marie: Yes, there are still changes in the society that need to happen and changes like that come with young people, not with the old people who have power and money. That’s how I feel and that’s what “Young American” is about - all these kids who have different backgrounds, gender identities, dreams, opinions. They are the future of America. “Young American” is also about people being exactly who they are. Being tired, happy, tender, vulnerable, prefect in the imperfection. Having pimple and scar and all of that. It’s most importantly about being exactly who you are. Being YOU.







—How was the opening of your first solo exhibition in Prague?


Marie: Great! I was very happy to bring “Young American” to Prague. Many young people came to the opening and the show had an amazing response. In my opinion, it’s still not as progressive in Czech as I would like it to be and it is still hard to be different, to feel equal no matter what gender, religion or color of skin. For example the cover girls on majority of Czech magazines are still the very defined “female beauty” with long blond or brown hair, very sexy, very retouched. It’s important to break the stale ideals of beauty. I admire the Czechoslovak Vogue, because they actually are pioneering in this matter in Czech and on their last cover where beautiful people with fluid genders and sexual identities. I think it is very important. And I hope that through “Young American”, representing so many different identities, people will realize that it is ok to be different.


—At the moment populism spreads around the world. Trump in the United States, Johnson in the United Kingdom, Babiš in Czech and so on. What do you think about this trend?


Marie: I really don’t want to get into politics, but it’s all wrong and insane. I hope it’s going to change at the next elections in the United States as well as in Czech.







—I think you could see your roots from a different perspective since you moved to the United States. What do you think about Czech these days?


Marie: I think Czech Republic is at a really great stage at the moment because my generation is the first generation that had a real chance to go abroad and live for a while in different parts of the world. And most of the people are now coming back and settling back home in Czech. They are starting new restaurants, coffee shops and galleries inspired by what they saw overseas. They are actively investing back in their country and it makes it a better place. I think it is great. It’s good to get new air and new wave of people who saw how it works around the world. The communism ended when I was 5 years old. We were very isolated before that. So there wasn’t really any serious market for art and galleries. People didn’t have money and art was just a luxury that wasn’t accessible. But that is now changing and the market for art is growing in Czech. It is very exciting time and there are a lot of opportunities to start something new.


—That sounds awesome! Do you have any upcoming news that you want to share with the readers?


Marie: I have another exhibition at Academy of Fine Arts (AVU) in Prague from 4th November until 14th December. It is a group show celebrating the 220 years anniversary of AVU. They invited me as a special guest. Also I’m working on the next book and lots of exhibitions that are coming next year. Very exciting!


































Marie Tomanova
www.marietomanova.com
@marietomanova:https://www.instagram.com/marietomanova/


photography Marie Tomanova
text Yukiko Yamane

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