2019年2月の出来事:はやぶさ2の着陸成功から10年前を振り返る
NeoL / 2019年12月20日 8時51分
2019年2月、探査機「はやぶさ2」が小惑星「リュウグウ」への着陸に成功した。太陽系の歴史や生命の起源を知るため、リュウグウに存在する砂や岩を採取することが目的の今回の着陸は、「タッチダウン」と呼ばれる特殊なもの。素早く地表に降り、金属製の弾丸が地表に向けて発射、舞い上がった砂埃からサンプルを採取した後、すぐに上空へと戻るという新しい方法だ。2月に続き、同年7月には同様の方法でリュウグウ内部の岩石を採取するなど世界初の偉業を達成。弾丸を撃ち込んだ際にできたクレーターは「おむすびころりんクレーター」と呼ばれ、2019の新語・流行語対象にノミネートされるなど大きな話題となった。
プロジェクトマネジャー津田雄一自身も「パーフェクトだった」と振り返るはやぶさ2の成功。もちろんその裏には、2010年、数々のトラブルを乗り越え、小惑星「イトカワ」から地球へ帰還した「初代はやぶさ」の奮闘がある。約10年前、日本中に「はやぶさフィーバー」を巻き起こした初代はやぶさの物語、覚えているだろうか?
本書『はやぶさ、そうまでして君は〜生みの親がはじめて明かすプロジェクト秘話』は、初代はやぶさの開発者である川口淳一郎教授自身が書き下ろした回想録。数あるはやぶさ関連本の中で、プロジェクトの当事者によるものは少なく、それだけにプロジェクトの意義やトラブル解消への道のりなどが克明に記されている。
とはいえ、本書は小難しい専門書ではない。技術的な説明は平易で、むしろ、数々のトラブルと計画中止の危機の中で、プロジェクトチームと単なる探査機であるはずの初代はやぶさの間に生まれた「情」としかいえない強い結びつきがひしひしと伝わってくる。
最新の科学技術とその周りにいる技術者たちの想いが作り上げた、初代はやぶさの奇跡をもう一度振り返ってみよう。
『はやぶさ、そうまでして君は〜生みの親がはじめて明かすプロジェクト秘話』
川口淳一郎
宝島社
1320円
Amazon
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