大阪市・民間校長更迭 その先にあるものに期待

NewsCafe / 2014年3月26日 15時0分

大阪市教育委員会は24日、更迭の方針を固めていた民間出身の北角裕樹校長(38)を一転して留任させると決めました。校長の公募制は、橋下徹市長の重要政策の一つです。人間関係を悪化させたことを理由に、教委事務局は一度は更迭の方針でしたが、委員から「校長だけに責任があるわけではない」との声があり、留任となりました。この"更迭劇"とはいったい何だったのでしょうか。

大阪市では2013年4月1日から任期付き校長(民間出身)を採用しています。市職員以外から928人の応募者があり、その中から11人(中学校では2人。小学校では9人)が配属されました。このうち、今回の更迭劇となったのは、生野区の巽中学校の校長、北角氏でした。日本経済新聞社の新聞記者出身で、私と顔見知りです。

最近では校長となったため情報交換をしていませんが、赴任する前は、いろんな新しいことを取り組みたいと話していました。もちろん、新しい取り組みは反発が予想されます。そのため、やりたいことを全部はできないでしょうが、ゆっくり進めていく等と話していたのを覚えています。

24日の市教委の会議(非公開)で、事務局が北角校長の更迭の議案を提出しました。しかし、委員からは「校長が学校の問題に切り込こみ、人間関係を悪化させた。校長だけに責任があるのではない」との指摘があり、出席した委員5人が全員一致で留任を決めたのです。この学校では教務主任などの校内人事を職員間で決める慣習がありました。その慣習に反して、人事を校長が決めるように改善を試みたことが対立を呼んだといいます。

この問題について、いくつかの論点があるように思います。一つは、民間出身の校長であれば「慣習」を良しとするかどうかはわかりません。公募をしたからにはそうした判断は校長にまかされます。ただ、どこまでチャレンジできるのかは、現場の教員と民間出身校長との関係によります。今回は、対立を生んだようですが、両者の中にどれだけ信頼関係や歩み寄りがあったのか、が気になります。

もう一つは、校長権限の強化という点でも考えることができます。校長権限の強化は、職員会議の位置づけにも変化をもたらします。一般論としては、職員会議の形骸化や教員のモチベーション低下をもたらしかねないため、賛成できない立場です。校長は管理職ですので、文科省や県教委の意思を反映させたいと思っているでしょう。

ただこれまでの教育界だけを見てた校長と、教育界だけを見てきたわけではない民間校長とでは、権限強化は質が違っています。もちろん、一般の民間の論理をかざして効率再優先にしてしまうのでは、公立学校の場にはふさわしくありません。公立は様々な経済階層の子どもがおり、学力差もあります。そして多様な価値観を認め合うことが前提です。そうした子どもたちに対して、基礎学力の向上と、多様な進路の選択肢を提供しなければなりません。

北角校長が「何をしたかったのか」はまだ見えてきませんが、その手段の一つとして人事の慣習を打ち破ろうとしたのでしょう。「その慣習をなぜ変えなければいけないのか」。北角校長には今後、そんなプレゼンテーションをきちんとすることが求められるでしょう。そして現場の教職員も対立前提ではなく、いかなる手法が子どものためになるのかともに考える教育現場であってほしいと思います。

現在、文科省では教育委員会改革が提案されています。しかし、より日常的には、教育現場改革が必要なはずです。この更迭劇が改革のヒントになればよいと思い、見守りたいと思います。

[ライター 渋井哲也/生きづらさを抱える若者、ネットコミュニケーション、自殺問題などを取材 有料メルマガ「悩み、もがき。それでも...」(http://magazine.livedoor.com/magazine/21)を配信中]

NewsCafe

トピックスRSS

ランキング