陰陽座 47都道府県ツアー、川崎・クラブチッタ公演ライブレポート

dwango.jp news / 2019年11月13日 18時53分

 結成から20周年を迎えた、黒猫(vo)、瞬火(b&vo)、招鬼(g)、狩姦(g)からなる陰陽座。妖怪を始めとする、日本の伝承文化などをモチーフに、個性溢れる独特の音楽を築き上げてきた足跡は、今こそ改めて賞賛されるべきものだ。その彼らが、バンドに声援を送り続けてきたファンの元に自ら赴いて感謝の意を伝えたい――そんな思いを胸に、去る7月から、三度目となる47都道府県ツアー『生きることとみつけたり【参】』をスタートさせている。
 
 11月2日に行われた川崎・クラブチッタ公演は24本目。文字通りに折り返し点となるライヴである。チケットはソールド・アウト。暗転した満員の場内にオープニングSE「焔之鳥」が流れ始めた途端、大歓声が巻き起こった。もちろん、曲は「鳳翼天翔」へと導かれる。特に瞬火が敬愛するJUDAS PRIESTへのリスペクトを込めた屈指の代表的マテリアルである。
 同じセットリストは二度とないバンドであり、いつ、どこでどんな楽曲を演奏したか、データベースが作られていることも、ファンにはよく知られている。しかも、今回は特定の作品を引っ提げてのライヴではないだけに、どのようなメニューが用意されているのか、なおさら予想がつかない楽しみがある。
 陰陽座の楽曲として最も知名度が高いのは「甲賀忍法帖」だろう。山田風太郎の同名小説を原作とするアニメ『バジリスク』の主題歌としてお馴染みだが、今やテレビのヴォーカル・オーディション番組などで、この歌に挑戦する人も少なくないほど浸透している。この日も当然のように喝采を浴びた一つだ。
 ただ、何より驚かされるのは、どの時代のマテリアルがプレイされようとも、オーディエンスからは常に熱いリアクションが返されることである。久しぶりに演奏されたいくつもの楽曲群に対しても同様で、日頃からファンが陰陽座のありとあらゆる作品に親しんでいる事実が、こういった光景からも確信できる。ツアー後半戦に足を運ぶ人のために、いかなる曲が披露されたのかはあえて伏せておくが、喜怒哀楽のすべてを表現する様々な演目が、そのつど観客の昂揚感を高めていく。


 名盤を生み出し続けてきたバンドのポテンシャルは、キャリアを重ねるごとに成熟し、強固なファンベースを築き上げた。加えて重要なのは、メンバーの真摯な姿勢である。だからこそ、「好きな音楽を、ただやりたいように20年間もやり続けることができたのは、みなさんの熱い魂のお陰」(瞬火)といったMCも、心からの言葉として伝わる。「これから先も変わることなく、上ではなく前へ、一歩一歩進んでいきます」(瞬火)と宣言された、1999年の始動時から掲げてきた理念にも微塵の変化はない。このツアーは2020年2月26日の長崎公演まで続くが、今後も各地で熱狂に次ぐ熱狂へと誘うパフォーマンスが繰り広げられるのは間違いないところだ。
 なお、来る12月4日には、陰陽座の堅実かつ着実な歩みを総括した2つのボックス・セット『廿魂大全』と『単盤大全』がリリースされる。前者はスタジオ・アルバム全15枚に初期の名曲10曲をリレコーディングした特典ディスク『黎明転生』が付属されたもの、後者は全シングル16枚に“20周年記念新録版”と銘打たれた「甲賀忍法帖」が追加収録されたもの。彼らの威風堂々たる歴史を存分に堪能できるメモリアル作品となりそうだ。

文:土屋京輔
撮影:板橋淳一(JUNICHI ITABASHI)


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