“アニソン界の超人”串田アキラ デビュー50周年記念公演開催、半世紀の軌跡を凝縮

dwango.jp news / 2019年11月22日 14時45分

『宇宙刑事ギャバン』(82年)、『キン肉マン』(83年)など、数々のアニメ&特撮ソングで知られる串田アキラが、活動50周年を迎え、去る2019年11月17日、東京はよみうり大手町ホールにて記念ライブ「串田アキラ デビュー50周年記念公演 ~Delight 2019~」を行った。これまでに歌ってきた幾多のアニメ&特撮ソングはもちろん、デビュー曲、串田の活動の原点でもあるR&B、そしてCMソングと、およそ半世紀に渡る活動を、選曲&構成はもちろん、MCも自ら担当するなど、こだわりのセルフプロデュースで実現。ここではその模様をお伝えしたい。

チケットは発売早々にSOLD OUTとなり、当日は熱心なファンが会場を埋め尽くし、そんな中、「おかげさまデビュー50周年を迎えることができました。途中、葛藤はありましたが、皆さんの応援と声援をいただき、確実に歌の楽しさを一つずつ積み上げてきました。今日も目一杯歌います。楽しんでください」との第一声を経て、開幕を飾ったのは「太陽戦隊サンバルカン」(OP、81年)。串田にとっては初の特撮ソングで、「この曲があるから今日の僕があります。レコーディングでは何度歌ってもカッコ良さが分からず、これでだめなら帰ろうかと思ったところ“もう一回やってみよう”と歌ってみたらなぜかOKを貰えました。一年後に『宇宙刑事ギャバン』の主題歌を歌い、そこでようやく“ヒーローの見え透いたカッコ良さではなく内に秘めた優しさ”を求められていたんだと分かりました。ディクレターが教えなかったのは“自分で掴め”という教えだったんでしょうね」と、後の人生を左右した楽曲との邂逅を思い入れたっぷりに語った。そして『サンバルカン』の挿入歌「夢の翼を」を経て、アニメソング第1作となる『戦闘メカ ザブングル』(82年)からOP「疾風ザブングル」&ED「乾いた大地」を力強くも気持ちを込めて歌い上げた。『機動戦士ガンダム』(79年)の富野由悠季(当時は喜幸)が総監督を手掛けた本作、レコーディングでは「乾いた大地」の歌詞をいかに表現するかで苦心したが、実際に番組を観てその深い世界観に納得がいったという。

雑誌企画として誕生した『仮面ライダーZX』(82年)のイメージソングであり、84年の新春に放送されたテレビスペシャル『10号誕生!仮面ライダー全員集合!!』において主題歌に採用された「ドラゴン・ロード」は、串田との相性も抜群のR&B風の楽曲で、そのパワフルな歌声が会場を魅了した。なお、原作者の石ノ森章太郎とは、以前から顔見知りで、石ノ森がオーナーを務めていたクラブ「クローバー」で、自身のバンドで歌い、R&Bの曲やバンドについて語り合ったことはがあったが、その頃にはマンガ家であることは知らなかったという。「後に『仮面ライダーZX』のショーに歌いに行ったら、野外テントにクローバーのアフロの親父に似た人がいるんですね。それで“え、なんでいるの?”“なんだ、お前か!”と(笑)。そこで初めて、マンガ家で仮面ライダーの原作者・石ノ森章太郎先生だと知ったんです」と秘話を明かした。その仮面ライダーとの結び付きは、後に『仮面ライダーOOO/オーズ』(11年)で変身ベルト(※オーズドライバー)の音声に抜擢されたことでも話題になったが、ここで急遽、ベルト音声の生「タトバ」を披露して会場のファンを沸かせた。

続いて披露したのは、『トリコ』(11年)のOP「ガツガツ!!」、スーパー戦隊シリーズ『爆竜戦隊アバレンジャー』(03年)のED「We are the ONE ~僕らはひとつ~」の2曲。アニメ&特撮のジャンルでは、80~90年代に主題歌を多く歌ったこともあり、その当時に子ども時代を過ごした世代が、現在のファン層の多くを占めているが、一方で、『キン肉マン』と同じ「ジャンプアニメ」の『トリコ』、絶大な人気を誇る「スーパー戦隊シリーズ」の『アバレンジャー』と、時代毎で“今の子どもたち”に歌を通じてメッセージを送り続けているのも串田ならでは。中でも「We are the ONE ~僕らはひとつ~」は、近年のスーパー戦隊シリーズでは定番の“ダンスED”の鏑矢ともなった1曲で、串田自身もイベントやライブで歌う度に、ダンスが浸透していく様に驚いたそうだ。また、中米ツアー(※09年:グアテマラ、エルサルバトル、パナマ、コスタリカ)を行った際には主催者側の要望で、スペイン語に訳した「We are the ONE」をツアータイトルに掲げるなど、まさにワールドワイドなメッセージソングだと言えよう。

串田の活動を語る上では、R&Bも外せない。当日のセットリストは、アニメ&特撮ソングをメインにしつつも、前半と後半、2つのブロックに分け、プラターズの「My Prayer」、インプレッションズの「Pepole Get Ready」、オリジナルズの「Baby I'm For Real」、サム・クックの「A Change Is Gonna Come」の合計4曲をカヴァー。楽曲に応じて魅せるR&Bでの巧みな歌唱は、串田の“もうひとつの顔”だが、聴く者の魂を揺さぶる歌声は、アニメ&特撮にも通奏低音のように息づいている。そう感じ取ったファンも少なくないはずだ。また、80年代後半、アニメ&特撮ソングで活躍しながら、ライブハウスでR&Bを歌っていたところ、来日中のテンプテーションズのメンバーに誘われ、新宿厚生年金会館で共演したことも忘れ得ぬエピソードとして挙げた。

主題歌歌手を務め、挿入歌の大半を歌った『機動刑事ジバン』(89年)&『世界忍者戦ジライヤ』(88年)の2作品は、『ギャバン』からの宇宙刑事三部作を含む、「メタルヒーローシリーズ」の2作品で、今年30周年を迎える『ジバン』からはOP「機動刑事ジバン」&ED「未来(あした)予報はいつも晴れ」、『ジライヤ』からはOP「ジライヤ」&挿入歌「空からひびく声」をチョイス。中でもしっとりとしたバラード曲の「空からひびく声」は、レコーディング以来歌う機会がなく、串田本人も忘れていたが、参加形式のライブでファンが歌っていたことから再びレパートリーとして歌うようになった、隠れた名曲である。

前半のトリを飾ったのが、串田のデビュー曲「からっぽの青春」(69年)。当時、暗いイメージで売り出され、「三ヶ月でやめようと思った」と振り返る、苦く不本意なデビューであった。だが、自分なりにポジテイブに捉え、気持ちを切り替えて行くことで、その後の道を切り開き、「今振り返れば、空っぽじゃなくて、ぎっしり詰まった青春でしたね」と心情を吐露。大勢のファンは串田の歌声を通じて、その“歴史の1ページ”を体感した。
後半は串田がバンドメンバーのchoemonよりサックスを習う余興を挟み、『ギャバン』のED「星空のメッセージ」から幕を開けた。劇中ではギャバンが戦う際のアクションソングとしてもお馴染みの挿入歌「チェイス!ギャバン」、そして「宇宙刑事シャイダー」(OP/84年)の“宇宙刑事縛り”を経てCMソングコーナーへと突入。ここではCMソングの代表作「富士サファリパークCMソング」(80年)を筆頭に、デビュー50周年記念アルバム「~Delight~」(日本コロムビア)にて初めて音源が収録された小川珈琲の「Orange County」(80年)、そしてCMソングとしては最新ものとなり、今夏には多くの人が耳にしたであろう、サッポロビール「麦とホップ」(19年)をアカペラで歌い、大いに盛り上げた。
 バンド紹介のコーナーでは、『ジモトがジャパン』(19年)のOP「あっぱれ!ジモトがイチバン!!」を歌いながら、串田が出身地と名物を挙げつつ、メンバを紹介していく趣向で盛り上げた。ちなみにこの日のバンドは、「スーパー戦隊"魂"」でもお馴染みのスーパーレスキューバンド(gt:鍋島圭一、dr:岩田ガンタ康彦、key:松原ひろし、ba:吉岡満則)に、アップルパイ(平山佳代子、杉山小絵子)&ザ・カインズ(貴日ワタリ、常見弘士、斉藤淳一)のコーラス、そしてヒーローソングには、欠かせないホーンセクションに、ZETKIの4名(tp:AKUZAWA、KENITO、sa:choemon、tb:OZAKI)を加えた総勢13名で、最強の布陣が串田のために顔を揃えた。

そして、全編英語詩でアダルトな魅力を内包した、映画『マッドマックス』の日本版主題歌「Rollin’ Into The Night」(79年)、アニメ『RobiHachi』(19年)に登場する、往年のロボットアニメ風の劇中番組の主題歌「銀河道中ヒザクリガー!」(19年)と全く毛色の違う2曲を歌いこなして、いよいよライブもラストスパートの残すところ3曲へ。
遠くブラジルでも大人気の串田の代表曲の一つである『巨獣特捜ジャスピオン』(85年)から挿入歌「超惑星戦斗母艦ダイレオン」、そして『宇宙刑事シャリバン』からED「強さは愛だ」、OP「宇宙刑事シャリバン」をノンストップで駆け抜けて、会場のボルテージも最高潮に。さらに盛大なアンコールに応えて串田が再びステージへ現れたが、ここで、特撮関連のトークイベントでもおなじみ、読売新聞の鈴木美潮記者の案内で、串田の盟友とも言える、歌手のMoJoと宮内タカユキがサプライズで登場、大勢のアニソン仲間&関係者による「お祝いメッセージを収録したDVD」をプレゼント。串田の顔から満面の笑みがこぼれた。

アンコールは「キン肉マンGO FIGHT!」(『キン肉マン』OP/83年)、「宇宙刑事ギャバン」(OP/82年)の2曲を観客と一体となって熱唱。さらに宇宙刑事ギャバンとキン肉マンが登場し、串田との貴重な3ショットを決めた。
客席には「宇宙刑事ギャバン」や「太陽戦隊サンバルカン」など、セトリ中、最多の9曲を手掛けた、レジェンド作曲家の渡辺宙明、『キン肉マン』の原作者ゆでたまごのひとり・嶋田隆司の姿もあり、この記念すべき一夜を大勢のファンと共に祝した。

遡ること、10年前に行った40周年ライブ「夢中者」では、多数のゲスト出演やヒーローショーを盛り込むなど、いわばライブ&エンターテイメントとして成功を収めたが、今回のアニバーサリーライブでは、冒頭のMCで語っていた「歌の楽しさ」を見事に体現した内容で、「とにかく一生懸命考えたけど、やっぱり自分には歌しかありません!」との発言は、多くのファンの心に響いたことであろう。そして串田は会場に向けて「明日から未来へ。毎日がスタートです!!」と声高に叫び、常に前へ進み続けんとする、自身の決意を今一度表明して、ライブは幕を閉じた。

取材・構成:トヨタトモヒサ

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